&CROP編集部のしょうのです。
服を販売するうえで欠かせない「下げ札」。ブランド名やサイズ、価格などを伝えるだけでなく、商品の印象やブランドの世界観を表現する大切なアイテムでもあります。
ですが、量産に向けて服づくりを進めていると、つい服そのものに集中してしまい、「急いで作らなきゃ!」「すっかり忘れていた…!」となってしまう方も多いのではないでしょうか。いざ作ろうと思っても、紙の種類や形、サイズ、加工方法など選択肢が多く、初めてだと迷ってしまいますよね。
そこで、この記事では初めて下げ札を注文する方向けに、よく使われる下げ札のパターン・依頼時に伝えておくとスムーズなポイントなどを、わかりやすくお伝えしていきます。
下げ札とは?
下げ札とは、アパレル製品等を店頭などで販売する際に、製品に取り付けてブランド名や製品の説明や詳細などを消費者に分かりやすく伝える為の主に紙で作られた商用資材です。また輸送時や倉庫や店舗での管理などにおいても、商品の判別をする為の役割なども担っています。
下げ札にはブランド名やブランドロゴやマークを印刷したブランド下げ札、製品品番や色番、サイズ、JANコード等が表記されている品番下げ札など種類もいくつかあり、下げ札の種類によって用途も変わってきます。
また、下げ札には“情報を伝える”という役割だけでなく、そのブランドの価値をつくる為の一つの要素にもなっている為、下げ札自体のデザインもとても重要です。

よく使われるパターンをご紹介
下げ札は、素材やロゴの入れ方など実は数え切れないほど種類があります。 本来はとても奥深い世界ですが、今回は初めての方が迷わないよう、まずはこれを選べば間違いない「定番の種類」を厳選してご紹介します!
下げ札を注文する際に、まず決める必要がある主な項目は以下の4つです。
- 形状
- 紙の種類
- 紐の種類
- ロゴの入れ方
下げ札は、この組み合わせによって雰囲気や印象が大きく変わります。それでは、それぞれのよく使われるパターンをご紹介していきます。
- 補足
下げ札を作成する際によく出てくる「型代」や「版代」について、あらかじめ補足しておきます。
これらは、印刷や加工を行うための“初期費用”のようなもので、デザインごとに発生します。仕様やサイズによって変動はありますが、一般的には 2万円〜6万円程度が目安となります。そのため、同じデザインで継続して使用する場合は効率的ですが、短期間で変更がある場合はコスト面も踏まえて検討することが大切です。
形状
まずは、下げ札の「形状」です。形によってブランドの印象も変わるため、デザインに合わせて選ぶことが大切です。
定番の「四角形」
最も一般的なのが四角形タイプです。シンプルで使いやすく、さまざまなブランドに合わせやすい定番の形状になります。また、四角形は基本的に型代が不要なため、比較的コストを抑えて作成できるのもポイントです。さらに、
- 角を丸くする
- 縦長・横長にする
- 小さめ・大きめにする
など、サイズや細かな仕様も自由に調整できます。

型代が必要な特殊形状
一方で、特殊な形状にする場合は、型代が必要になることがあります。例えば、
- 丸型
- ひし形
- オリジナルの変形デザイン
などは、専用の型を作る必要があるため、通常の四角形より費用がかかります。
また、一見四角形に見えるデザインでも、
- 角の丸みを細かく指定したい
- 特殊なカットラインにしたい
といった場合には、型代が発生するケースもあります。
紙の種類
下げ札は、紙の種類によって見た目の印象や高級感が大きく変わります。同じデザインでも、紙が変わるだけで雰囲気がかなり違って見えるため、ブランドイメージに合わせて選ぶことが大切です。
サンカード
少し光沢感のある、定番の紙です。発色がきれいで扱いやすく、比較的コストを抑えて作れるため、初めて下げ札を作る方にもよく選ばれています。カジュアルからきれいめまで、幅広いブランドに合わせやすい素材です。

ボルビザン
ボルビザンは、サンカードと似た質感を持つFSC認証紙です。
※FSC認証とは、適切に管理された森林資源を使用していることを示す国際的な認証制度です。
サンカードとほぼ同じ価格帯で作成できるため、
- 環境配慮を意識したい
- サステナブルな取り組みを取り入れたい
というブランドにもおすすめの紙になります。

マットカード
さらさらとした質感が特徴の紙です。落ち着いた上品な印象があり、サンカードやボルビザンよりも高級感を演出しやすい素材になります。
アパレルでは特によく使われ、
- ミニマル系
- 高価格帯ブランド
- 上品・洗練されたデザイン
との相性も良い紙です。

特アイボリー
マットカードと同じく、さらっとしたマットな質感の紙ですが、やや黄みがかったアイボリー色が特徴です。白い紙に比べて柔らかく温かみのある印象になり、より上品で高級感を演出できます。ブランドの世界観や雰囲気を大切にしたい方、ナチュラル系・クラシック系のテイストと合わせたい場合にもおすすめの素材です。

気包紙U-FS
マットな質感に加え、表面に細かな凹凸があるのが特徴の紙です。シンプルなデザインでも表情が出やすく、他とは少し違った印象の下げ札に仕上がります。ナチュラル系やクラフト感のあるブランド、素材感を大切にしたいデザインとの相性が良い紙です。こちらもFSC認証紙です。

◎紙に関するQ&A
- 紙の厚さは選べるの?
選べます!!中でも「310g/㎡」は特によく使われます。厚みにすると約0.3〜0.4mmほどで、しっかりとした高級感のある仕上がりになります。 - 紙の色は選べるの?
色紙を使用することも可能ですが、白い紙に印刷で色を付けるケースのほうが多いです。
紐の種類
次は、下げ札に取り付ける「紐」の種類です。紐の長さも選ぶことができ、特にご指定がない場合は、下げ札サイズの約1.5倍の長さで手配されることが一般的です。
綿糸
ナチュラルな雰囲気に仕上がる定番の紐です。やわらかい印象があり、
- ナチュラル系ブランド
- カジュアルブランド
- エコやサステナブルを意識したブランド
などによく選ばれています。

人絹撚糸(じんけんねんし)
つや感があり、上品で高級感のある紐です。綿紐よりも少しフォーマルな印象になり、
- きれいめブランド
- レディースブランド
- 高級感を出したいデザイン
などと相性が良い素材になります。

WAX CORD
表面にコーティング加工がされている、おしゃれな紐です。高級感と存在感があり、インポートブランドや価格帯の高いアパレルブランドでもよく使用されています。シンプルな下げ札でも、WAX CORDを合わせることで一気に洗練された印象になります。

ロゴ入れ方法
ロゴを入れる方法にもさまざまな種類があります。加工方法によって、下げ札の雰囲気や高級感が大きく変わります。
プリント加工
もっとも一般的な加工方法です。プリントにもオフセット印刷とシルク印刷の2種類があります。

オフセット印刷
一般的なプリンターで印刷するようなイメージの加工方法です。
- 版代がかからない
- フルカラー印刷ができる
- 細かなデザインも表現しやすい
という特徴があり、コストを抑えながら作りたい場合にもおすすめです。

シルク印刷
インクを1色ずつ重ねて印刷する方法です。発色がよく、インクの存在感が出やすいのが特徴で、ブランドロゴをしっかり見せたい場合にもよく使われます。ただし、単色ごとに版を作る必要があるため、版代がかかります。色数が増えるほど費用も上がる仕様になります。ですが、シルク印刷はいくつも版を作って重ねるときれいな表現がしづらいため多色使用は推奨していません。
箔押し
ロゴ部分をキラっと光らせる加工方法です。金や銀のイメージが強いですが、実はさまざまな色から選ぶことができます。
- 高級感を出したい
- シンプルでも印象を強くしたい
- ラグジュアリー感を演出したい
という場合によく使われる加工です。また、箔押しは専用の型を使用するため、型代がかかります。


エンボス加工
紙をへこませたり、盛り上げたりして立体感を出す加工です。印刷だけでは出せない上品な質感があり、シンプルなデザインでも高級感を演出できます。また、インクを印刷した上からエンボス加工を施すことも可能です。こちらも型代が必要となります。

UVプリント
ロゴ部分に透明な樹脂を重ねる加工方法です。少しぷっくりとした立体感が出て、つやつやした高級感のある仕上がりになります。こちらも型代が必要で、インクの上にUVの透明樹脂をのせる仕様のため、細かすぎるデザインや線は、加工時にズレが出てしまう場合もあるので要注意です。そのため、比較的シンプルなロゴデザインとの相性が良い加工です。

注意点
下げ札を制作する際には、デザインや仕様によって仕上がりやコストに影響が出るため、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
- 細かすぎるデザイン
箔押し・UV加工・エンボスなどの特殊加工は、細かすぎる線や小さな文字だと再現できない場合があります。加工を前提とする場合は、ある程度シンプルでメリハリのあるデザインにするのがポイントです。 - ロット数
100枚からでも生産はできますが、ロットが小さいと割高になってしまうため、合計金額は300枚で生産するのと大きく変わりません。そのため、一般的には300枚以上からの発注になるケースが多いです。一度データを作成すれば継続して使用できるため、長期的には効率よく運用できます。ただし、ブランドを運営していく中で世界観や方向性が変わる場合もあるため作りすぎには注意です。 - 穴あけ位置
紐を通す穴は、指定がない場合「上から5mm・直径3mm」が基準となることが一般的です。ただしデザインによって見え方が変わるため、必要に応じて位置の指定を行うと安心です。
まとめ
| 種類 | 特徴 | 型代 |
形状 | 四角形 | シンプル・低コスト | 不要 |
| 特殊形状(丸やひし形など) | オリジナリティ・高コスト | 必要 |
| 種類 | 特徴 |
| 紙の種類 | サンカード | やや光沢・発色が良い・コスパ◎ |
| ボルビザン | サンカードに近い質感+環境配慮 | |
| マットカード | さらさら質感・上品・高級感 | |
| 特アイボリー | 温かみのある色味・やわらかい高級感 | |
| 気包紙U-FS | 凹凸あり・素材感が出る |
| 種類 | 特徴 | |
| 紐の種類 | 綿糸 | ナチュラル・やわらかい印象 |
| 人絹撚糸 | ツヤ感・上品な仕上がり | |
| WAX CORD | コーティングあり・高級感・存在感 |
| 種類 | 特徴 | 型代・版代 | |
ロゴ入れ | オフセット印刷 | フルカラー可・低コスト・細かい表現が可能 | 不要 |
| シルク印刷 | 発色が良い・インクの存在感が出る | 必要 | |
| 箔押し | 光沢・高級感 | 必要 | |
| エンボス加工 | 凹凸で立体感・上品な仕上がり | 必要 | |
| UVプリント | ツヤ・ぷっくりとした立体感 | 必要 |
いかがでしたでしょうか。下げ札はつい後回しにしてしまいがちですが、服を販売するうえで欠かせない大切な付属です。
余談になりますが、先日、ブランド立ち上げに伴い「こだわりを持った下げ札を作りたい」とお客様がご来社されました。そのお客様は、「今まで服などを購入した際、開封時に下げ札を見て『細かいところまでこだわっているなぁ』と思うことがあり、よりそのブランドのことが好きになるんです」とお話されていました。そのため、ご自身のブランドでも紙の種類から紐、文字の色まで、ものすごくこだわって選ばれていました。
私自身も、かわいい下げ札やブランドの世界観が存分に反映されている下げ札を見ると、捨てずにとっておいた経験が何度もあります。下げ札は商品に負けないくらい、ブランドの世界観を表現できる大切な付属です。だからこそ紙質やロゴの入れ方など深く知った上で、特別な下げ札を作りませんか?
下げ札をはじめ、アパレル資材に関するご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。