
&CROP編集部の瀧澤です
薄地織物(シアーファブリック)を見分けるには、ただ生地の名前を覚えようとするよりも、糸の撚り、織り密度、仕上げ加工という3つの要素で生地を知るのが近道です。オーガンジーのハリ、シフォンやジョーゼットのシボ、ローンやボイルの透け感、デシンのとろみ、これらの薄地織物の特徴は「素材×3要素」の組み合わせでデザインされています。名前だけで覚えようとするとどれも同じような薄地の織物に見えて混同してしまいがちですが、生地の構造から理解すれば、初めて触る生地でも見分ける手がかりが掴めるようになります。
もくじ
よく使われているのに、意外と説明できない薄地たち

ブラウス、ドレス、スカーフ、袖の切り替え等々…、シアーファブリックは色々な場面で扱っていても、いざ「ローンとボイルの違いは?」「シフォンとジョーゼットをどう使い分けるの?」と問われると、ハッキリと説明できる人は多くないのではないでしょうか。
今回扱う、オーガンジー、シフォン、ジョーゼット、ローン、ボイル、クレープ・デシンの6種類は、いずれも「薄くて透ける」という共通点を持ちながら、実際に触ってみるとハリの強さ、シボの有無、透け感など、どれも風合いが違っています。今回はこれらの生地の来歴や設計の違い、用途をわかりやすく解説します。
なお、同じく薄地として使われる機会の多いチュールは編物(メッシュ)なので今回は対象から外しました。また和装に多く用いられるちりめんやファイユ、タフタ、グログランといった畝織り系の生地は今回の比較には加えずにまた別の機会に取り上げたいと思います。
この記事を最後まで読んでいただくことで、これらの薄地の見分け方がわかり、混同しやすい生地の違いを理解して、企画意図に応じた使い分けができるようになります。
薄地の風合いを決める3つの要素

生地名を並べて特徴を覚えようとすると、6種類でも混乱してしまいます。しかし薄地の風合いは、実はシンプルな3つの要素の組み合わせで決まります。糸の撚り、織り密度、仕上げ加工です。この3つを押さえておくと、初めて触る薄地でも、なぜその風合いになっているのかを構造的に読み解けるようになります。
糸の撚り

糸には「無撚糸」「甘撚糸」「強撚糸」の区別があります。強撚糸には右方向に撚った「S撚り」と左方向に撚った「Z撚り」があり、この配列の仕方によって、精練の工程で生地が収縮し、表面にシボが生まれます。
- S撚りとZ撚りを1本ずつ交互に配列(S1Z1):シフォンに見られ、微細なシボになります
- S撚りとZ撚りを2本ずつ交互に配列(S2Z2):ジョーゼットに見られ、より明確なシボになります
- 経糸を無撚、緯糸をS2Z2の強撚に:クレープ・デシンに見られ、横方向のさざ波状のシボになります
- 経緯とも通常の撚り:ローンに見られ、フラットな表面感になります
- 経緯とも強撚(いわゆるボイル撚り):ボイルに見られ、シャリ感のある肌触りになります
織り密度

薄地織物は高密度織物と粗目・低密度設計に大別されます。ローンは薄地のなかでは上品な半透明感を生む高密度織物の代表格です。対照的にボイルやオーガンジーは、意図的に糸の間隔を開けた低密度設計で透明度と通気性を実現しています。また、シフォンはジョーゼットより密度が低く透け感が強い薄地織物です。このように織物の密度は生地の表情を左右する重要な要素です。
仕上げ加工
6種のシアーファブリックの来歴・素材・仕上げについて
ここからは6種類のシアーファブリックについて、素材の変遷、織り方・糸の特徴、仕上げ加工、来歴・産地、主な用途を整理しています。前章の3要素も意識しながら読んでいただくことでこれらの生地の違いをより深く理解していただけると思います。
オーガンジー|擬麻加工による強いハリ感と透け感

オーガンジーは、もともと綿を原料に、リネンの持つ硬質なハリを再現しようとして生まれた生地です。現在ではポリエステルやナイロンなどの合繊が主流で、合繊化によって引裂強度と寸法安定性が向上し、プリーツ加工や昇華転写プリントも可能になっています。
組織は平織で、意図的に糸と糸の間隔を粗く設定して透け感を表現しています。綿素材のオーガンジーには擬麻加工(硫酸仕上げ)が施されます。これは化学処理によって繊維を膠着させて硬いハリと透明感を出す加工方法です。合繊の場合は樹脂加工を施すことで、ガラスのような透明感と、洗濯しても落ちない硬質な反発力を付与しています。
オーガンジーのルーツは、中国発祥のシルク(絹)生糸を用いたオーガンザ(Organza)と呼ばれる薄地平織物です。中世にシルクロードを経てヨーロッパへ伝わり、王侯貴族のドレス素材として発展しました。一方で中世から近代にかけてフランスのラン(Laon)では極めて精緻で美しい極薄のリネン織物が織られていました。このリネンのローン(Laonが英語読みのLawnに転化したと言われている)は極細のリネン糸で織られた特有の硬質なハリと美しい透明感を持つ織物です。これも王侯貴族の間でドレス素材や高級なハンカチとして極めて珍重されていました。これらの生地素材は非常に高価であったため産業革命期にイギリスでより入手しやすい綿(コットン)を用いてリネンの風合いを模倣する試みがされてリネン特有のハリと透け感を綿で再現することを目的として誕生したと言われています。
現在ではポリエステルやナイロンフィラメント素材に樹脂加工を施してオーガンジーのハリ感や透明感を表現したオーガンジーが主流となっています。用途としては、ウェディングドレスやフォーマルウェアのオーバーレイ、ドレスの形を内側から支えるパニエ、シアー袖のブラウス、コサージュ、繊細な刺繍を施すためのベース基布などが挙げられます。
オーガンジーとオーガンザとの違いについては、現代ではどちらもポリエステルなどの合繊で作られることが多く、オーガンジーは綿由来のマットな質感と軽いハリが特徴の超軽量な平織物。オーガンザは絹由来の鋭い硬質光沢と、バネのような強い反発力のある、より打ち込み密度の高い目付の重い織物くらいに理解してください。
シフォン|S1Z1配列が生む微細なシボと羽毛のような軽さ

シフォン(chiffon)は、極めて薄く羽毛のように軽い透け感のある平織物です。19世紀末から20世紀初頭にかけてのフランスで、シルクの高級ドレス素材として確立されましたが、そのルーツは絹の産出国である中国の高度な薄地織物で、シルクロードを通ってフランス織物産業の中心地リヨンへ伝わりました。シフォンという言葉はフランス語で「ボロ切れ」や「使い古した端切れ」を意味する「chiffon」に由来しているそうです。合成繊維が開発されるとレーヨンを経てポリエステルが主流となり、現在流通しているシフォンの大半はポリエステルシフォンです。
組織は平織で、経糸(たていと)・緯糸(よこいと)ともに、1メートルあたり2,000〜3,000回もの強い撚りをかけたフィラメントの強撚糸(きょうねんし)を用い、S撚りとZ撚りを1本ずつ交互に配列するのが特徴です(S1Z1配列)。精練工程で熱水に通すことで、強撚糸のトルクが解放されて自律的に収縮し、生地の表面に微細で均一な小さなシボが生まれます。このシボによって、マットで上品な光沢に仕上がります。織り目が詰まっていないため透け感があり、使用する糸が細いためソフトでしなやかな風合いとドレープ性があるのが特徴です。
伝統的な産地としてはフランスのリヨンが挙げられ、現代の高級ポリエステルシフォンについては、日本の北陸産地が10デニール以下といった超極細のポリエステルマルチフィラメント糸を自在に操る、極めて高度な製織技術を有し、中低価格帯の製品が中国(紹興、呉江など)や韓国で大量生産されるのに対し、日本は技術難易度の高い高付加価値なハイエンド市場において高い評価を得ています。
シフォンの用途は、羽毛のような軽さとシアー感、ドレープ性を生かしてフェミニンなレディスウェアからフォーマル、舞台衣装、ファッション雑貨と幅広く使われていて薄くて軽いのでレイヤードで奥行きを表現したいときにも用いられます。
ジョーゼット|S2Z2配列で表現される砂目状のシボ感とコシ

ジョーゼットは、正式には「ジョーゼット・クレープ」と呼ばれる生地です。素材はシルクから始まり、レーヨン、アセテート、トリアセテートを経て、現在ではポリエステル素材のものが主流になっています。
組織は平織、または表面に凹凸を強調した梨地織(アムンゼンとも呼ばれます)で織られることもあります。シフォン同様にタテ/ヨコ共に強撚のフィラメント糸を使いますが、シフォンよりも太めの糸を用いS撚りとZ撚りを2本ずつ交互に配列するのが特徴です(S2Z2配列)。仕上げの精練工程では、2本ずつ交互に織られた糸が収縮することで、シフォンよりも大きく、はっきりとした砂目状のシボが浮き出ます。このシボによって生地に厚みとコシが生まれ、ドライな肌触りになります。
ジョーゼットの名称の由来は、1910年代のパリで婦人服店を営んでいたジョルゼット・ド・ラ・プラント夫人の名にちなんで命名された商標が一般名詞化したとされ、パリ・リヨンが伝統的産地として知られています。日本国内では、伝統的な和装のちりめん製織技法の高い撚糸技術を背景に高品質なジョーゼットを世界市場に供給しています。北陸産地では高品質なポリエステルジョーゼット、山梨県の郡内産地では極細のシルクジョーゼット、京都府丹後産地では和装の伝統技法を生かした高品質なシルクジョーゼットを生産しています。
ジョーゼットの用途は、独特なシボ感、上品な半透明感、優れたドレープ性を生かしトップス・ボトムス・ブラウスからフォーマル・ウェディング・衣装・インテリア・雑貨・小物と幅広い製品に使われています。
ローン|細番手コーマ糸をやや高密度に織った平織綿織物

ローンは、もともとは細番手のリネン(亜麻)を原料とした織物でした。18〜19世紀に綿紡績技術が発達すると、原料供給の安定した綿での再現が進み、「ローン=綿の細番手平織物」が世界標準になっていきました。現在では綿100%のローンが中心で、T/C混紡やポリエステル100%のローンもあります。
組織は平織で、中〜高密度に織られます。一般的に60番手から100番手の極細のコーマ綿糸(専用のコーマ:櫛を用いて毛羽を排除した上質な糸)が使用され、仕上げでは、表面の毛羽を焼き払うガス焼きと、苛性ソーダで繊維を膨潤させて光沢と発色を高めるシルケット加工が施されます。この加工によって染料の発色が良くなり、リバティプリントに代表されるような精密な色彩表現が可能となります。
ローンの名称の由来は、フランス北部の織物産地「ラン(Laon)」に由来するという説が有力とされています。英語で芝生を意味するlawnに由来するという説もあわせて知られています。歴史的には、フランスのラン、ベルギー・フランドル地方、イギリスのランカシャー地方が伝統産地として挙げられます。プリント用途では、リバティのタナローンが代表例として知られています。日本国内では、播州や遠州でも生産されています。
シャツ、ブラウス、ワンピース、高級ハンカチ、ペチコート、インナーウェア、刺繍・プリント用の基布などが代表的な用途です。
ボイル|強撚糸を粗く織ることで生まれるドライな風合いと清涼感

ボイルは、強撚糸を用いて密度を粗く織った平織物を言います。もともとウール、シルク、リネンなどで織られていました。近代以降は、綿の強撚糸を使った綿ボイルが代表格となり、現在はポリエステルボイルも一般的です。
組織は平織で、低密度に織られます。糸は細番手のスパン糸に、通常の1.5〜2倍程度の強い撚りをかけた、いわゆる「ボイル撚り」の強撚糸を用い、テンターと呼ばれる機械で生地にテンションをかけながら乾燥・熱処理(ヒートセット)を行うことで縮みやシボの発生を抑えフラットに仕上げます。この仕上げによってボイル独特のシャリ感とハリ・コシ(反発性)が生まれます。
ボイルの名称は、フランス語で「ベール(veil)」を意味するvoileに由来するとされ、発祥は中世から近世のフランスの薄地織物産地とされています。現代では、綿花産地と紡績インフラを持つ中国、インド、パキスタン、インドネシアが大規模な生産背景となっています。日本国内では、播州や遠州でも高級な綿ボイルが生産されています。
用途は、サマーシャツ、シアーブラウス、リゾートドレス、マキシスカート、ストールなどが挙げられます。またアパレル以外にも、独自の透け感や清涼感を生かしてレースカーテンなどインテリア用途にも広く使われています。
クレープ・デシン|無撚の経糸と強撚糸の緯糸の組み合わせで生まれる独特のとろみ
クレープ・デシン(crêpe de chine)は、フランス語で「中国(chine)のクレープ(crêpe:ちりめん)」を意味し、シルクの薄地縮緬として発達しました。シルキーで上品な光沢と豊かな「とろみ(落ち感)」を特徴とする薄地織物で日本では大正から昭和にかけて「フランス縮緬」の名で和装・洋装の両方で親しまれ、和装業界では「モロケン」とも呼ばれていました。現在ではポリエステル素材が主流になっています。
組織は平織で、経糸には無撚糸または甘撚糸、緯糸には強撚のフィラメント糸をS2Z2配列で打ち込んで織られます。仕上げの精練工程で起こる緯糸強撚糸の収縮を無撚糸の緯糸が受け止めることで横方向にさざ波状の微細なシボが生まれ、豊かなとろみ(落ち感)と上品でシルキーな光沢が生まれます。
18〜19世紀にフランスのリヨンで、中国から輸入したシルクのちりめんを、近代的な撚糸機と織機で再現したのが起源とされています。現在では、ポリエステルデシンは中国や韓国が大規模な生産拠点となっている一方、日本の北陸産地は世界でも最高峰のポリエステルデシンの生産技術があり欧州のハイエンド市場から指名される品質を持っています。
用途は、きれいめのブラウス、シャツワンピース、とろみ感のあるフレアスカート、スーツ、パジャマ、ブラックフォーマルの表地、スカーフ、ショール、ウェディングドレスなどが挙げられます。
6種類の薄地比較表
今回のシアーファブリック6種類を比較表にしたの企画や素材選定の参考にしてください。主要素材の変遷・組織・糸・仕上げ加工・透け感・風合い、代表用途を横並びに整理しています。
生地名 | 素材(発祥→現在) | 組織・糸 | 仕上げ | 透け感 | 風合い | 代表的な用途 |
|---|---|---|---|---|---|---|
オーガンジー | 綿→ポリエステル | 平織、粗目、極細糸 | 擬麻加工/樹脂加工 | 高い | 硬いハリ、パリッと | ドレスのオーバーレイ、パニエ、シアー袖 |
シフォン | シルク→ポリエステル | 平織、強撚S1Z1 | 精練による微細シボ | 非常に高い | 羽毛のように軽く柔らかい | ギャザーブラウス、サマードレス、スカーフ |
ジョーゼット | シルク→ポリエステル | 平織/梨地、強撚S2Z2 | 精練による砂目シボ | 中〜高 | コシとドライ感 ざらつき | きれいめブラウス、フォーマルドレス |
ローン | リネン→綿 | 平織、細番手コーマ糸 高密度 | ガス焼き、シルケット | 中 | 滑らか、整った目面 | サマーシャツ、ハンカチ、プリント地 |
ボイル | ウール・綿→綿強撚・ポリエステル | 平織、強撚糸、低密度 | ヒートセット | 高い | ドライなシャリ感 通気性 | サマーシャツ、ストール、カーテン |
クレープ・デシン | シルク→ポリエステル | 平織、経無撚・緯強撚S2Z2 | 精練による微細さざ波シボ | 中〜高 | とろみ シルキーな光沢 | きれいめブラウス、とろみスカート ブラックフォーマル |
混同されやすいペアの見分け方
薄地は名前が似ていたり、見た目も似ているので混同しがちです。ここでは、特に混同しやすい3つの組み合わせの見分け方を整理して説明しています。なお、オーガンジーとオーガンザの違いについては先述しているのでオーガンジーの項を参照してください。
シフォン VS ジョーゼット

構造上の違いは、撚り糸の配列にあります。シフォンはS1Z1、ジョーゼットはS2Z2です。
見分けるポイントは3つ、1つ目はシボです。シフォンのシボは微細で、目視ではほぼ平滑に見えますが、ジョーゼットは砂目状のはっきりしたシボが確認できます。2つ目は触感です。シフォンは羽毛のようにソフトなのに対し、ジョーゼットはコシとドライ感があります。3つ目は透け感と重量です。同じ太さの糸を使った場合、シフォンの方が透けて軽く感じられ、ジョーゼットは適度に透け感を抑えつつ自重があります。
現場では「シフォンジョーゼット」というハイブリッドな呼称が使われることもあります。正確さを求める場合はメーカーの生地規格書を確認するようにしましょう。
ローン VS ボイル

どちらも綿素材の平織生地が主流で一見しただけでは判りにくいですがローンは通常の撚糸を使った中~高密度の織物、ボイルは強撚糸を低密度に織っている点が違います。
見分けるポイントの一番目は透け感です。ローンは霧がかったように均一に透けて織り目が目立ちませんが、ボイルは至近距離で見ると格子状の隙間が確認できます。2番目は手触り、ローンは滑らかでしっとりしているのに対し、ボイルはシャリシャリとした硬めのドライ感があります。3番目はドレープの出方です、ローンは軽くふんわりとした落ち感、ボイルは強撚糸の反発でハリ感があります。
どちらも夏物のシャツに使われますが、狙う質感が違います。ローンは肌触りを重視したい場合、ボイルは清涼感を重視したい場合に向いています。
ジョーゼット VS クレープ・デシン

ジョーゼットが経緯とも強撚S2Z2の配列なのに対し、デシンは経糸が無撚、緯糸のみが強撚S2Z2配列である点が違います。
見分けるポイントの1つ目は光沢です。ジョーゼットはマットで落ち着いた質感になるのに対し、デシンは上品なシルキー光沢を帯びます。2つ目はシボの表情で、ジョーゼットは縦横均一の砂目状、デシンは横方向のさざ波状になります。3つ目はコシととろみで、ジョーゼットはコシと反発性を感じる一方、デシンは吸い付くようなとろみのある落ち感が特徴です。
体型や下着のラインを拾わせたくない場合はジョーゼット、身体のラインを美しく流したい場合はデシンが向いているといえます。
薄地を選ぶ際の判断基準
どのシアーファブリックをどんなアイテムに使うのが正解かは実際にサンプルを作ってみないとわからない部分も多いと思います。素材選びの判断の基準はもちろん多くの経験を積むことによって的確になって行きます。それでもどんな場合にどの素材を使うのが良いかを知識で補完することも素材を選ぶうえで役に立ちます。

透け感を活かしたい
透ける度合いで並べると、シフォンとボイルが特に高く、次いでオーガンジー、ローン、そしてクレープ・デシンとジョーゼットが続きます。ただし「透け方」は生地によって違います。シフォンは霞のように、ボイルは格子状に、オーガンジーは硬質な透け感です。ドレスのオーバーレイなら硬いハリを活かしたオーガンジー、ふんわりした袖ならシフォン、サマーシャツならボイルが選ばれやすい傾向にあります。
ドレープ性・落ち感を出したい
とろみや落ち感を最も重視するならクレープ・デシン、適度なコシを持たせつつドレープを出したいならジョーゼット、軽やかにひらひらとさせたいならシフォンが向いています。パリッとした立体感を出したい場合は、オーガンジーがドレープというより形状保持の役割を果たします。
肌触りや清涼感を優先したい
極上の肌触りを求めるなら綿素材のローン、汗をかいてもべたつかない清涼感を求めるならボイルが選ばれやすいです。直接肌に触れる用途で合繊素材のシフォンやジョーゼットを使用する際は静電気に対する配慮も必要になります。
取り扱いのしやすさで選ぶ
イージーケア性を重視するなら、シワになりにくいポリエステル素材のシアーファブリックが最も扱いやすい素材です。家庭洗濯の可否は素材によって異なります。コットン素材は家庭でも洗濯しやすいですが、シルク素材は取り扱いに注意が必要です。
まとめ
薄地織物の全体像をなんとなくつかんでいただけたでしょうか?
オーガンジー・シフォン・ジョーゼット・ローン・ボイル・デシン、同じ素材名でも原料や産地・糸番手・仕上げ加工などによって風合いも見え方も変わります。知識だけでは素材を本当に理解することは出来ませんが、知識で補完しながら実際の素材に触れることで素材への理解も知識も深まります。この機会に是非沢山の薄地織物に実際に触れてみてください。最後によく聞かれる質問をFAQにしておいたので参考にしてください。最後まで読んでいただきありがとうございました。
FAQ
Q1. シフォンとジョーゼット、どちらが上質ですか?
原料素材が同じであればどちらかが上質ということはありません。シフォンは軽やかさとフェミニンさ、ジョーゼットはコシとドレープの美しさが特徴のテキスタイルです。
Q2. ポリエステルのオーガンジーやシフォンは、シルク製と比べてどう違いますか?
ポリエステルなどの合成繊維素材を用いることによって、寸法安定性やシワ耐性、洗濯耐久性は飛躍的に向上しています。ただし、シルク特有の光沢の深みや繊維の質感は、ハイエンドのポリエステル素材でも完全に再現することはできません。ブランドの世界観やアイテム、販売価格帯によって取り扱いやすいポリエステル素材を選ぶのかシルク素材を選ぶは検討する必要があります。
Q3. ローンとブロードの違いは何ですか?
ローンは極薄手で、上品な透け感(半透明感)が特徴。生地全体が霧がかったように乳白色に透けて見えブラウスやハンカチなどに使われます。ブロードはローンよりも太い糸をより高い密度で織っていて、基本的には透けにくい生地で、代表的なワイシャツの生地です。ローンは柔らかく、しなやかで滑らかな風合い。ブロードは適度なハリとコシがあって表面が滑らかで均一な風合いです。
Q4. 「シフォンジョーゼット」という表記を見ることがあります。どういう意味ですか?
基本的にシフォンとジョーゼットは別の種類の生地でシフォンジョーゼットという生地の種類はありません。メーカーが便宜的に併記している場合や商品のネーミングとしてそう呼んでいる場合もあります。ブランドとして素材を厳密に取り扱いたい場合はメーカーに問い合わせて生地規格書を確認しましょう。