撥水・防水・耐水圧・透湿性…失敗しない機能性生地を選ぶ基準とスペックの見方

  • 2026年10月23日
  • 2026年10月27日
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&CROP編集部の瀧澤です。

アウトドアのアイテムをタウンユースに使用することが普通に受け入れられるようになって久しいです。軽くて動きやすく急な天候の変化にも対応できて、見た目も洗練された日常にも馴染むデザインの商品が豊富にあることを思えば必然の流れなのかも知れません。そうした中でカジュアルウェアに機能性のある生地を使う機会も多くなっています。

ただ、ハイスペックな機能性生地は当然コストも高くなるので製品単価も上がります。そして、高コスト・高機能な生地を使ったからといって過酷な自然条件下での活動を支えることができる製品が出来るわけではありません。アウトドアメーカーのハイスペックなアイテムは過酷な環境下での活動を支え着用者の命を守る為のノウハウとテストを繰り返し積み上げて商品化に至っていることはこの記事を読んでくださっている皆さんもご存じと思います。

そこまで高機能なアイテムではなくても日常着の中に軽さや動きやすさ、快適性を取り入れたアイテムを企画したいと思うのであれば、生地の機能性やスペックについての最低限の基本的な知識は押さえておきたいところです。この記事では撥水・防水・耐水圧・透湿性の基礎的な知識やスペックの見方、選ぶ際の基準について解説しています。

撥水・防水・透湿の違いと仕組み

カジュアルウェアやタウンユース向けの機能性アイテムを企画するときに、まず確認しておきたいのが「撥水(はっ水)」「防水」「透湿」という3種類の機能の違いです。これらの機能は混同されやすいですが、機能も働きも違っています。

「撥水」と「防水」の違い

撥水(はっすい)加工

撥水加工は生地の表面にフッ素樹脂やシリコン樹脂などをコーティングして、水や汚れ、油分を弾く加工です。撥水加工が施された生地では水滴が表面張力によって丸くなり生地表面を転がることで繊維に浸み込むのを防ぎます。撥水樹脂は繊維の表面に着いているので布目の隙間を塞ぐことが無く空気や蒸気を通します。また圧力がかかれば水は隙間から浸透します。一般的に撥水性の程度を評価する基準としてはっ水度級数1~5級(後述)が用いられます。また撥水には用途によって商品を汚れや濡れから守る初期撥水(しょきはっすい)、着用や洗濯を繰り返しても、撥水性能が落ちにくい耐久撥水(たいきゅうはっすい)、高いレベルで水を玉のように弾く超撥水(ちょうはっすい)などがあります。撥水加工はあくまでも生地の表面が水や油、汚れなどを弾く目的で施される加工で次項で述べる防水加工のようにウェア内への水侵入を防ぐものではありません。また洗濯や使用を繰り返すことで撥水効果は徐々に弱まるので撥水性を維持するには適切なメンテナンスが必須です。透湿防水のレインウェアなどでは表面が撥水することによって防水・透湿性能が充分に発揮され易くなります。

防水加工

本来は水が浸透してしまう生地素材に、水を通さない薄膜やフィルム(メンブレン)をラミネート(貼り付け)する、ポリウレタン樹脂などのコーティングを施すなどの方法で水の侵入を防ぐ加工を防水加工、加工を施した生地を防水生地と言います。高い防水性のある防水加工布としてはゴム引き加工布(布の片面または両面にゴムをコーティング・圧着した布)があります。 2枚の生地の間に天然ゴムを挟んで圧着した英国のマッキントッシュクロスは有名ですね。これらのゴム引き防水布は強力な防水性と強度があり漁師のゴム合羽などに使われます。一方で蒸気を通さない、重い、ゴム特有の揮発性有機化合物(VOC)が放出されるために新品時や密閉空間ゴム臭がするという欠点があります。

透湿性と耐水圧

透湿性とは

防水加工の項で述べたようにゴム引きの防水布には高い防水性と強度がある反面、衣服の内側の水蒸気を外に排出できない欠点があります。外側からの水を完璧に防ぐことが出来ても、激しい発汗を伴う作業や登山のようなアクティビティにおいては衣服の内側が蒸れて濡れてしまいます。この衣服内の水蒸気を外側に排出する性能を透湿度(透湿性)と言います。透湿防水生地はメンブレンと呼ばれる微多孔膜フィルムを貼り合わせることで外からの水の侵入を防ぎながら衣服内部の水蒸気を外側に排出させる仕組みで、メンブレンの種類・表地との組み合わせ・貼り合わせる方法などによって性能が変わります。より多くの水蒸気を外に排出できるアイテムを透湿度(透湿性)が高いと言います。透湿性能のスペックについては後述します。

耐水圧とは

生地の表面に円柱の筒を密着させて水で満たした状態で徐々に圧力を上げていったときに裏面からポツポツと3滴の水滴がしみだしてきた時の圧力(mm)をその生地の耐水圧(JIS L 1092)とし、数値が高いほど耐水圧が高い(水が浸入しにくい)です。耐水圧の目安は一般の雨傘で250~500mm、タウンユースのウインドブレーカーで2000㎜程度、レインウェアで10,000mm、登山のような過酷な条件では20,000mm以上の耐水圧が必要と言われています。耐水圧250mmでは1平方センチあたりに25cmの水圧まで耐えられる。10,000mmでは10メートルの水圧まで耐えられる基準です。雨傘とレインウェアで著しく基準が違うのはレインウェアでは濡れた場所に座ったり、擦れたりする(圧力がかかる)場面が想定されているからで、登山のように厳しい気象条件の下で重い荷物を背負ったり濡れることが生命にかかわる場面ではより高いスペックが必要とされます。

スペックの見方

はっ水度級数(JIS L 1092)

生地の撥水性能は、公的試験機関のJIS L 1092(スプレー試験)によって格付けされます。試験片に250mlの水をスプレー照射し、表面の湿潤(濡れ)状態を標準写真と比較して1級〜5級で評価します。
格付け
状態の目安
企画・製品選定の基準
5級
表面に湿潤・水滴がない(最高品質)
本格アウトドア・レインウェア向け
4級
湿潤はなく、小さな水滴が少し付着する程度
アウター・スポーツウェアとして十分な性能
3級
小さな水滴状の湿潤が見られる
タウンユース・日常着アウターの標準的レベル
2級
表面の半分程度が濡れて湿潤する
レインコート等の表示ができる最低基準(家庭用品品質表示法)
1級
全体的に水が染み込んで濡れる
撥水効果が低い状態
※家庭用品品質表示法では、レインコート等で「はっ水」と表示する場合、洗濯処理後も含めて試験片全てが2級以上である必要があります。

撥水の耐久性

撥水加工は繊維表面に撥水剤を付着させて水を弾く加工ですが摩擦や洗濯、油分の付着によって効果が弱まります。とくに撥水性を必要とするアイテムでは、はっ水度級数と耐久性はセットで考えられることが多いです。例えば、はっ水度が5級でも1~2回の着用や洗濯で2級以下に低下してしまうアイテムはレインウェアなどの用途には実用的ではありません。そのため撥水耐久性の試験を行う場合もあります。耐久性試験は新品時のはっ水度試験に加えて所定回数の洗濯やドライクリーニングを繰り返した後のはっ水度を比較し、初期5級・5洗4級のように表します。一般に耐久性の高い撥水加工を耐久撥水(Durable water repellency:DWR)と言います。GORTEX製品に施されている耐久撥水は50~100回の洗濯でも撥水性が持続するような処理がされています。

耐水圧

防水性能を表す代表的な数値が耐水圧です。わかりやすく説明すると生地の上に筒を立て、どれくらいの高さ(mm)まで水を入れても水滴が裏に漏れ出さないかを表しています。数値が大きいほど水圧に耐えられます。

耐水圧試験、A法とB法

耐水圧の試験(JIS L 1092)には生地の用途やスペックによってA法とB法があります。A法(低水圧法)は〜2,000mm程度までの生地の測定に使われ、1分間に約600mmのゆっくりしたペースで水圧をかける試験方法です。B法(高水圧法)は1分間に「約10,000mm」という早いスピードで一気に水圧をかる測定方法で、レインウェア、登山着、ワークジャケットなどの高耐水圧の生地の測定に使われます。試験方法をスペックによって分ける理由は、ハイスペックな生地をA法で試験すると測定に30分以上かかり、長時間水に浸かった状態が続くことで生地自体が水を含んで湿ることで誤検知が起きてしまうからです。また、ロースペックな生地にB法のように一気に水圧をかけるとわずか数秒で水圧がかかりきるため、700mmなのか1,000mmなのかといった細かい数値が測定できないという理由です。

耐水圧の表記

耐水圧の表記には、製品のなタグなどに使われている表記と、検査機関の報告書で使われる正式単位があります。

① 一般的なカタログ・製品タグの表記:㎜

250mm ・ 2000mm   ・ 10000mm ・ 20000mm 

正式には「水柱の高さ」を意味する mmH₂O(ミリメートル水柱)という単位ですが、「H₂O(水)」を省略して mm と表記するのが一般的です。

② 検査報告書の正式表記:kPa(キロパスカル)

耐水圧の一般的な表記にはわかりやすさから前項で説明した長さの単位、mmが使われています。しかし、本来測っているのは生地の表面にかかる圧力なので公的検査機関の試験報告書などでは、国際規格である kPa (キロパスカル)で記載されていることがあります。キロパスカルは1平方メートルあたりに何百kg(何トン)の圧力がかかってるかを表す単位です。例えば、98.0kPaの場合は1平方メートルに9.8トン(9800kg)の圧力がかかっていることになり、mmに換算すると98×100=9800(≒10000)でおよそ10000mmの耐水圧となります。ちなみに耐水圧10000mmは1平方センチ(指先くらいの面積)に1kg(1Lのペットボトル1本分)の重さが押し付けられているのとほぼ同じ圧力と考えるとわかりやすいと思います。

透湿度(蒸れにくさ)

防水機能を持つウェアで耐水圧と同じくらい重要なのが透湿度(蒸れにくさ)です。透湿度は「g/㎡/24h」(24時間に1平方メートルを通過できる水蒸気の質量g)という単位で表され、衣服の内部にこもった汗や水蒸気を外側に逃がす性能を指します。 透湿性の試験方法にもA法(乾燥法)とB法(吸水法)があります。A法は日常の活動で「じんわりかいた汗」が自然に抜けていく能力を測るのに向いています。B法はスポーツや登山のように「多量の発汗を伴う場合や雨の中での行動のような限界状態で、どれだけ水蒸気を押し出す能力があるのかを測るのに向いています。

A法(A-1法:塩化カルシウム法 / 乾燥法)

  • テストのイメージ:生地の内側に乾燥剤を置き、日常の穏やかな環境下で「どれくらいじんわり湿気が抜けるか」を測ります。
  • 数値の特徴:控えめで厳しめ(実用的)な数値が出ます。一般的なカジュアルウェアや日常着の評価に向いています。

B法(B-1法:酢酸カリウム法 / 吸水法・高湿法)

  • テストのイメージ:水蒸気圧の差を大きくつけ、高湿・汗だく状態や激しい環境下で「特殊な膜(フィルム)がどれだけ湿気を押し出せるか」を測ります。
  • 数値の特徴:同じ生地であっても、B法で測るとA法より2〜3倍高い数値(倍以上)が出やすい傾向があります。

生地を比較する際にスペックの数値だけで同じ性能だと判断するのは禁物です。試験方法がJIS L 1099 A-1法なのか、B-1法なのかも併せて確認するようにしましょう。

用途ごとに必要な透湿度選定の目安

用途・着用シーン
透湿度の目安
選定のポイント
街着・日常用アウター
2,000〜5,000g/㎡/24h (A法)
安静時〜散歩程度の汗(〜12,000g/24h)を快適に逃がせる標準スペック。
レインウェア・作業服・軽スポーツ
5,000〜10,000g/㎡/24h (A法/B法)
雨の中での移動や軽作業でも蒸れにくく、実用性とコストのバランスが良いレベル。
本格アウトドア・登山・激しい運動
10,000〜20,000g/㎡/24h以上 (B法)
汗を大量にかく環境下でも内部をドライに保つハイスペック。

製品化で差がつく、縫製・資材選定・環境対応とメンテナンス

シームテープ(目止め加工)の必要性

高い耐水圧の防水生地を採用しても、縫製工程でミシン針が通ることで生地には「針穴」が空いてしまいます。そのままでは雨天時にはこの針穴から水が侵入して防水生地でも雨漏りしてしまいます。

これを防ぐのがシームテープ(熱圧着による目止めテープ)加工です。防水製品として成立させるためには、裏面の縫い目にシームテープを貼り合わせて針穴を完全に塞ぐ工程が必須です。

 

  • 資材選定の注意点: 生地構造(2レイヤー、3レイヤー、PUコーティング用など)に適したシームテープの種類を選ぶ必要があります。
  • 生産現場での注意点: シームテープ加工には専用の熱圧着設備が必要です。そのため、対応できる縫製工場が限られるほか、小ロット生産の場合は加工賃の上昇や工場側のロット条件を満たせないケースがあります。企画段階で加工体制と費用感を押さえておくことも重要です。

 ファスナーの選定と注意点

フロント(前合わせ)やポケットからの水の侵入を防ぐ仕様として、主に2つのアプローチがあります。
仕様
特長・メリット
注意点・コスト
止水ファスナー(PUコーティング)
ファスナーテープ表面にPUコーティングが施され、ダイレクトに防水可能。見た目がスマートでモダンなデザインに仕上がる。
コーティングによりスライダーの滑りがやや重くなる。資材コストが比較的高価。
通常ファスナー + 二重前立て(比翼)構造
通常のファスナーを使用しつつ、生地を二重に重ねた構造(比翼前立て)で雨の侵入を遮断。構造的信頼性が高くデザインの幅も広がる。
縫製工程・パターン数が増加する。前立て部分の生地要尺が増える。
用途、ターゲット価格(コストと上代のバランス)、デザイン性に応じて適切に使い分ける必要があります。
止水ファスナーについては下記のリンクの記事もあわせて参考にしてください
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PFCフリー(非フッ素撥水)の注意点と具体的対策

世界的なPFAS規制(全フッ素化合物規制)に伴って、従来使っていたフッ素系撥水剤(C6/C8)から、環境配慮型のPFCフリー(非フッ素撥水)への切り替えが急速に進んでいます。
しかし、PFCフリー撥水は従来のフッ素系樹脂による撥水と較べると撥水・撥油性能が劣るデメリットがあります。とくにハイスペックの機能を必要とする製品では企画の段階からPFCフリーの弱点を理解しておく必要があります。
  1. 皮脂などの「油汚れ」に弱い
    PFCフリー撥水(非フッ素系:シリコン系・炭化水素系など)は従来のフッ素系撥水と異なり、撥油性(油分を弾く効果)がありません。そのため皮脂汚れなどが付着することで生地表面の撥水分子が油膜で覆われてしまうことで撥水性が著しく低下します。
  2. 「擦れや摩擦」に弱い
    ゴアテックスのようなハイスペックの素材では非フッ素系の撥水でも新品時の撥水力や20回以上の洗濯耐久性はフッ素系とほぼ変わらないレベルに到達してると言われています。しかし繰り返し摩擦の負荷がかかる部位ではフッ素系に比べて早めに撥水性が低下します。
  3. メンテナンスの重要性
    カジュアルウェアや軽登山での使用では現在の非フッ素系撥水でも機能的にはほぼ不満を感じないレベルに達しています。一方、本格的な登山のようなハードユースでは皮脂の付着などによる機能低下を防ぐために定期的な洗濯や熱復元メンテナンスを徹底することを推奨しています。  

用途別・最適パフォーマンスバランス

製品用途に応じた標準的な「撥水×耐水圧 × 透湿度」のスペック目安は以下の通りです。オーバースペックによるコスト高や、スペック不足によるクレームを防ぐガイドラインとして参考にしてください。

項目
① タウンユース
② 通勤・通学・軽量レイン
③ ワーク・作業着
  (ハードユース)
④ 本格アウトドア
主な用途・動作
傘を差しての移動、ショッピング
自転車移動、歩行での雨濡れ、軽量パッカブル
長時間の屋外作業、屈伸動作、濡れた場所へ膝をつく
登山、スノボ、嵐や大雨での
連続着用
想定される圧力・湿度
上からかかる雨滴のみ
荷物の重み、走行時の風圧(2,000〜5,000mm相当)
体重がかかる膝つき(約11,000mm相当)、発汗
荒天、重荷、激しい運動による大量の発汗(〜24,000g/24h)
耐水圧(JIS L 1092)
不要 または 2,000mm(A法)
5,000〜10,000mm
(A法/B法)
10,000〜15,000mm
(B法)
20,000mm以上
(B法:約196kPa〜)
透湿度(JIS L 1099)
指定なし または 3,000g(A-1法)
5,000〜8,000g
(A-1法)
5,000〜10,000g
(A-1法 / B-1法)
10,000〜20,000g以上
(B-1法指定)
シームテープ(目止め)
原則 不要
(コスト最優先)
主要部分のみ
(肩・フード周り)
全縫い目シームテープ必須
全縫い目シームテープ必須
前開き・ポケット仕様
通常ファスナー + フラップ(前立て)
止水ファスナー(PUコーティング) or フラップ
ダブルフラップ(二重前立て) + 雨返し仕様
止水ファスナー(両面またはダブルフラップ付)
撥水加工(DWR)
PFCフリー撥水(初期3〜4級
PFCフリー耐久撥水(洗濯20回後3級以上)
摩擦・油に強い強耐久撥水(バインダー強化品)
高耐久PFCフリー
(熱復元性設計品)
原価
低コスト(生地原価・加工賃を抑制)
バランス重視(実用性と販売価格の両立)
縫製工数・副資材コスト高(耐久性重視)
プレミアム(高機能生地・高加工賃)

快適さは撥水性・防水性・透湿性の相乗効果で得られる。

ここまで撥水・防水・透湿の仕組みやスペックについて説明して来ました。撥水は生地(繊維)の表面で水を弾く役目、防水はコーティングやメンブレン(フィルム)が水が内側に侵入するのを防ぎ、透湿は内側の水蒸気を外に逃がす働きです。通常の透湿防水生地は表地と裏地で防水メンブレンを挟んであり、表地が水を弾いて生地の通気性を確保することで充分なパフォーマンスが発揮できます。メンブレン自体の防水性や透湿性は恒久的ですが表側生地の撥水性が失われると生地素材そのものが水を吸って冷たく重くなり、また水を吸った生地の層が外側にあることで透湿性能も発揮できなくなります。つまり撥水機能が失われてびしょ濡れになってしまったゴアテックスウェアはビニール合羽(ビニールは蒸れるけれども素材は吸水しない)以下のアイテムとも言えます。従って、高いパフォーマンスを維持するためには高い撥水性を維持することが不可欠です。そのため、ゴアテックスのようなハイスペックなアイテムには耐久撥水(DWR)加工が施されています。DWRは耐久性を重視した撥水加工なので洗濯によって機能が低下しにくい設計がされています。一般的な製品の撥水(初期撥水)は1~2回の洗濯で効果が無くなってしまうのであまり洗わない方が良いのではと思いがちです。しかし耐久撥水(DWR)加工は定期的適切な方法での定期的なメンテナンスによって高い機能を発揮させることが出来ます。次の項では家庭でできる適切なメンテナンスの方法と耐久撥水機能が劣化してしまった製品を復活させるサービスも紹介します。

耐久撥水製品のメンテナンス方法

耐久撥水(DWR)製品のメンテナンスの重要性

耐久撥水(Durable Water Repellent)加工はゴアテックスをはじめ多くの透湿防水素材に施されている撥水加工です。この加工は生地表面をコーティングするのではなく糸に化学的にコーティング施すことで繊維本来の通気性と撥水性を維持しています。しかし、強力な撥水性能と安定性から耐久撥水に用いられてきた有機フッ素化合物を含むフッ素樹脂の使用は環境中での残留性が高く生体内に蓄積しやすいなどの理由から規制が進み避けられるようになりました。そのため現在はフッ素を含まない耐久撥水加工が主流となっています。現在の非フッ素系耐久撥水加工はその化学的性質から従来の耐久撥水と較べると撥油性が無く耐久性も若干劣ります。そのため日頃のメンテナンスがアイテムの機能性を維持するために重要になっています。

基本のメンテナンス

耐久撥水加工製品のメンテナンスの基本は洗濯と熱処理です。

洗濯方法

皮脂・汚れ・汗などの残留が撥水性を低下させて水が生地に浸み込む原因となります。定期的または使用毎に撥水力低下の原因となる汚れを落とすことがメンテナンスの基本です。

準備:ファスナーやベルクロをすべて閉じて洗濯ネットに入れる。

洗剤:柔軟剤、漂白剤、蛍光増白剤の入っていない中性洗剤(または専用洗剤)を使います。

すすぎ:洗剤成分が残っていると撥水性低下の原因となるため、2回以上すすぎをしっかり行います。

熱処理:撥水性を回復させる

汚れを落として乾燥しただけでは繊維表面の撥水基が寝てしまった状態になっているので。撥水性の回復には洗濯・乾燥後に熱を加える工程が必要です。方法としては

タンブル乾燥:低温(60℃程度)で20~30分乾燥機にかけて撥水基を回復させます。

アイロン:乾燥機が使えない素材では当て布をして低温(110℃以下)、スチーム無しでアイロンをかけます。

劣化してしまった耐久撥水性を回復させる方法

撥水性を維持するためには定期的なメンテナンスが必須ですが、いくら耐久撥水と言っても繰り返しの洗濯によって撥水性能は次第に落ちて行きます。劣化した撥水性を回復させる方法としてスプレー式の撥水剤や漬け置きするタイプの撥水剤が市販されています。これらの撥水剤を使うことである程度撥水効果を回復させることは出来ます。しかし経験的に中々満足の行く結果は出せないと思っています。さらにこれらの撥水剤は決して安くはありません。またウェアに残留している撥水剤が邪魔をしてしまうため、新しい撥水剤に完全な効果を発揮させるのは素人には難度が高いです。もし本格的にアウトドアユースで使用するアイテムならば私のおススメは撥水加工のプロに任せるのが一番です。私のおススメは下記リンク(ドロップルーフの弾水コーティング)一択です。ちなみにこれは案件ではないので興味のある方はリンクを熟読して自己責任で試してみてください(笑)。

アウトドア専門クリーニング&撥水加工サービス「ドロップルーフ」

〜 アウトドアギアメンテナンスのプロ「そらのした」の経験と技術を結集し生まれた、撥水加工&クリーニングサービス〜…

まとめ

撥水・防水・耐水圧・透湿性という機能性生地の基本構造から、JIS規格に基づくスペックの見方、シームテープや止水ファスナー等の資材選定、PFCフリー(非フッ素)化に伴うメンテナンスまで解説してきました。

機能性アイテムの企画で大切なのは、単に高スペックな生地を選ぶではなく、着用シーンや目標価格に合わせた最適なスペックバランスを見極めることです。過剰なスペックによる原価アップや、スペック不足によるトラブルを防ぎ、製品価値を最大限に高める企画・資材選定のお役に立てばうれしいです。

クロップオザキ(&CROP)では、各種機能性生地やシームテープや止水ファスナーといった副資材のご相談・お手配も承っております。自社アイテムに最適なスペックがわからない。資材の組み合わせに悩んでいる。という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

 

 

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