ゴムは隠れた主役です!? オリジナルゴム作成も含めて徹底解説!

こんにちは。 &CROP 編集部の小島です。

皆さん、昨今のゴムといえばアパレルの必須副資材となっております。例えば、レディースのスカートのウエストは、今やインサイドゴム使いが一般化しています。実は、ゴムと言っても、アパレル用にはたくさん種類があるのです。今回はオリジナルゴムの作成方法も含めて分かりやすく解説していきます。是非最後までお付き合いください!

アパレル用のゴムの定義!?

そもそもゴムというと、身近な所ではゴム手袋やゴム長靴、輪ゴムやヘアゴムなどが思い浮かぶと思いますが、今回はアパレル向けを限定にして解説させていただきます。

ではここでいうアパレル向けのゴムとは、どんなゴムのことを指しているのでしょうか?ここが肝心なところです。

一般的にゴム手袋などに使われている成分(組成)は、生ゴム(天然ゴム)といわれているものです。生ゴムとは、ゴムの樹の樹皮を傷つけて分泌する液をラテックスと呼びますが、このラテックスを固めて出来るのが生ゴム(天然ゴム)です。これはアパレル用には使用できません。

なぜならば、ラテックスは熱や油に弱く、タンブラー乾燥、ドライクリーニング、工業用洗濯が出来ないからです。80℃以上の高温を長時間与えると、ゴムが劣化してしまうのです。

ではアパレル向けに使用するゴムとは、どんなゴムでしょうか?何で出来ているゴムを指しているのでしょう?それは、ポリウレタンゴム(合成ゴム)を使用して成形されているゴムのことを指しています。

ポリウレタンゴムは生ゴムと違い、水洗い、ドライクリーニングでも可能で、アイロン120℃以下なら問題ありません。なので、アパレル用ではポリウレタンゴムを使用するのが基本となっております。つまり高温に強いからなんです。また細いポリウレタンゴムの集成の為、しなやかさが特徴でよりアパレル向きになっています。

ライクラ®(LYCRA®)は The LYCRA Company の商標です。

 参考URL https://www.toray-opt.co.jp/lineup/lin_100.html

ゴムのいろいろな使い道

アウターのゴム使い例
アウターのゴム使い例

アパレルで使われているゴムの使い道について考えていきます。冒頭で述べました通り、まず真っ先に思い浮かぶのはウエスト使いや、袖口などです。アウターのトップスなら裾使いもあります。カジュアルなパンツなら足首使いなどもあるかと思います。

またレディースのベアトップなら、バスト上部や、下部分にも使用されたりします。フィットネス関係なら短めのトップスのアンダーだけ使用されていることも多いです。

その他に、アウタートップスのウエスト内側やフードの縁周り、オフショルダーなどのデザイン性のあるTシャツやブラウス系にも使用されます。レディースにおいてはシャーリングゴム使いのあるデザインもあり、ワンピースのウエストや胸元、袖口などに使われています。下着系では、ゴム使いは基本マストです。

ワンピースのシャーリングゴム使い例
ワンピースのシャーリングゴム使い例

ソフトとハードゴムの違い

一般的にソフトゴムとハードゴム(強力ゴム)の違いは、中に入れるゴム糸(弾性糸)の太さを変えたり、ゴム糸本数を変えたりしています。

種類と選び方

種類

  • コールゴム
  • 織ゴム
  • 編みゴム
  • シャーリングゴム
  • 丸ゴム

コールゴム

コールゴムとは、製紐機(せいちゅうき)でつくられた組みゴムのことです。天然ゴム糸やポリウレタン弾性糸を並べ組み上げて作られています。このコールとは、ゴム糸の本数を指しています。例えば、4本のゴム糸を使って組まれたゴムが4コールゴムになります。

コールゴムの特徴は織ゴムに比べ伸縮性があり、とてもしなやかです。伸縮自在な平断面のゴムの為、ギャザー寄せ使いにも向いています。一般的には厚みが薄く、細幅のものしか作れません。アパレル用では4コールから12コールが主流サイズになります。

織ゴム

織ゴムとは、織機で製造されるゴムのことで、縦方向に弾性糸(ポリウレタン、ゴム)を配置して、その周りを経糸、緯糸で織り上げていくゴムのことです。

特徴としては、経糸と緯糸を交差させるため、厚くしっかりしたゴムを織ることが出来ます。ジャガード機もあります。

主な織ゴムは、ウエストゴム、サスペンダーゴム、工業用ゴムなどになります。織機は緯糸の関係上、1台の機械で1~4本を同時に生産する事が多いです。また機械により生産出来るゴムの幅の限界があります。

編みゴム

編みゴムとは、その名の通り編み機で作られるゴムのことです。主にCOMES コメッツ機で生産されています。編み機の由来からコメットと呼ばれることもあります。

編みゴムの特徴としては、編み機で作られるメッシュゴム、ボタンホールゴムなど、レースの様な編みによる柄表現が出来ます。また、編みの特徴から、薄く、ソフト、軽く編むことが出来る為、パジャマやインナーなどの使用に向いています。

引っ張った時に、透けて見えるのが、編ゴムです。

シャーリングゴム

シャーリングゴムとは、縫製の加工技術でシャーリングする時に使用するゴム糸のことです。シャーリングとは細かいギャザーを作る技法のことで、一般的には下糸にゴム状の糸を用いる時にこのシャーリングゴムを使います。1本状のゴム糸で約1MM巾です。簡単で綺麗にギャザー寄せ(シャーリング)が出来ます。

その他に違うタイプの形状もあります。ウエスト等に使用するギャザー寄せのインサイドベルト用なら、各サイズ豊富なシャーリングテープ(ゴム)もお勧めです。

ゴム糸
ゴム糸

丸ゴム

丸ゴムとは、一般的な丸ゴムというのは、製紐機で生産する丸ゴムのことを指しています。ゴム糸を芯にして組糸を組んだものです。直径は約0.5mm~約5mm位の幅位のものが多く、ヘアゴム、アパレル、雑貨などに使用されています。

 

選び方のコツ

定番的な平ゴムはだいたい同じ商品で、ソフトとハードと2種類の規格展開がある場合が多いです。コールゴムやインサイドゴムを使用する時は、どちらが良いか考えておくと良いでしょう。

抱き合わせる表地や使用箇所、用途によって、どの位のテンション(キックバック)が好ましいのか、どの程度の厚みが必要かなど考えていきます。肌に直に触れる使い方の場合は、表面の滑らかさも考慮して選定していきます。レディースアパレルでは、平ゴムも丸ゴムもソフトタイプを使用する事が多いです。

インサイドゴムのスカート
インサイドゴムのスカート

織ゴムと編みゴムの違い

簡単にいうと、機械の種類が違うということです。

編みゴムは、編み機(COMES コメッツ機が主です)で製造します。織ゴムは、主にニードル織機という機械で生産することが多いです。経糸と緯糸が交差して織って製造されます。

一般的に、しっかりしたゴムを求める時は織ゴムになり、薄くソフトなゴムを求める場合は、必然的に編みゴムに誘導されます。

どちらもジャガード機の対応がございますが、織ゴムは複雑な柄、色使いも適している反面、編みゴムは、糸送りの関係で単色による柄表現が多いです。

生産ロットに関しては、編みゴムの方がロットが大きく、その分コストは軽減されています。

オリジナルゴムの作成方法

オリジナルゴムの作り方は、大きく分けて2通りになります。

  • ジャガード織ゴム
  • エンボス加工ゴム

ジャガード織ゴム

多色ジャガード織ゴム
多色ジャガード織ゴム

最もポピュラーなオリジナルゴムで、ジャガード機で作製します。多色使いが出来るのが大きな特徴です。カラフルなライン入りやブランドロゴ入りなどが可能です。ロゴ作製も凸織タイプでの表現が出来ます。企画次第で魅力的なオリジナルゴムを作ることが出来ます!

柄にもよりますが、ゴムの厚みやテンションもある程度調整が出来ます。

色数としては、色糸が裏側や内側に反映されて思うような厚みにならなかったり、柄に影響してしまう為、2~3色でやるのがベターとされています。ジャガードの欠点としては、細かい柄を不得手としています。

 

エンボス加工ゴム

エンボス加工
エンボス加工

エンボス加工とは、凸凹の押し型(型押し)で、(浮き出し)模様を作る加工のことです。

ジャガードより細かい表現が可能で、凹凸感を楽しむことが出来ます。但し、加工の圧力や熱が加わる為、光沢感や風合いが少し硬くなる傾向があります。

以前は結構型代が高かったので、小口加工にはあまり向きませんでしたが、今は少し以前より型代が安くなって小ロットでも生産がしやすくなっています。多少、従来型より精度は落ちている部分は否めないとは思いますが、差ほど問題はなりません。

薄いゴムでオリジナル感を出したい場合は、ジャガードではなくエンボス加工がお勧めです。

 

ロット目安として、ジャガードやエンボスはオリジナルの型代が掛かってきますので、現実的な単価を出すには、それぞれロット500m~以上で生産する事をお勧めします。

 

その他には、パイル織ゴムなどもございます。リストバンドやヘアバンドに使用されていることが多いです。もちろんアパレルでも使用することも可能です。

また、ゴムの場合にはプリントでロゴを作成しますと、伸ばした時にプリントが割れてしまうのでお勧めいたしません。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございました。

いかがでしたでしょうか?

ゴムと一言で言っても、いろんな作製方法や種類があることがお分かり頂けたかと思います。特に織ゴムと編みゴムの違いは興味深かったのではないでしょうか。

ゴムの選定やオリジナルゴムの作成にお役に立てれば幸いです。

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