&CROP編集部の野崎です。
ブランドとして服を販売するうえで必要になる「品質表示」。はじめて品質表示を発注するとき、「何を書けばいいんだろう?」「洗濯表示は自分で決めていいの?」「注意書きはどうしたらいい?」「どのくらいの納期で仕上がるの?」などと迷いやすいポイントだと思います。
品質表示を付けることは法律で定められており、記載する内容についても決まりがあります。そのため今回は、初めて自分で品質表示を注文する方向けに、必要な情報・依頼時の伝え方・選べるデザインなどをわかりやすくお伝えしたいと思います。
もくじ
品質表示とは?押さえておきたい基本
品質表示は、アパレル製品などに取り付けが義務付けられているネームです。品質表示には品質や取扱い方法など、その製品に関する正しい情報を消費者に伝える役割があります。いわば、その製品の名刺のような存在です。アパレル製品に品質表示を取り付けることは、「家庭用品品質表示法」で義務付けられています。その中でも洗濯絵表示(取扱い絵表示)は、JIS L 0001:2024に基づく記号表示が必要になります。
※「家庭用品品質表示法」は、消費者が日常使用する家庭用品を対象に、商品の品質について事業者が表示すべき事項や表示方法を定めており、これにより消費者が商品の購入時に適切な情報提供を受けられるように制定された法律です。
※洗濯絵表示(取扱い絵表示)のルールは2024年8月に改正されています。古い情報を参考にしないよう注意してください。
品質表示には何を書けばいいの?必須事項は?
ここからは、品質表示に記載する情報についてご説明します。

組成(混率)
製品の組成(使用している素材の構成)を%で表記します。素材によって、その服の着心地や風合い、洗濯を含めた取り扱いのしやすさなどが変わります。そのため、組成は消費者にとって重要な情報です。
素材の表示名
「綿」「ポリエステル」などの素材の表示名は何でも良いというわけではありません。繊維の名称を表す用語として、消費者庁の家庭用品品質表示法で定められています。例えば綿は、【綿】【コットン】【COTTON】の3種類から表示を選ぶことができます。そのほかの素材の表示名についても、消費者庁のページに記載されているのでご確認ください。
パーツ毎に組成が異なる場合は?
服には、表地以外にもさまざまな資材が使われています。別布、裏地、リブなどのパーツ類の組成が表地とは異なる場合、分けて表記することもあります。必ずパーツ毎に分けて表示しなければならない、という決まりがあるわけではありません。しかし、組成が異なると取り扱いの注意点も異なることが多いため、消費者の取り扱いにも影響が出る場合は、パーツ毎に分けて表示するようにしましょう。
(例)
本体 綿 100%
表地 綿 100%
リブ 綿 95% ポリウレタン 5%
- BOKEN(ボーケン) 表示の原則 https://www.boken.or.jp/knowledge/fiber/household_carelabeling_law/1897/
取扱い表示(洗濯絵表示)
生地の組成やデザインによって、服を傷めない洗濯方法や取扱い方法が異なります。その製品の推奨洗濯方法を記号化したものが洗濯絵表示です。製品ごとにそれを定め、品質表示に表記することは「家庭用品品質表示法」で義務付けられています。
取り扱い表示の種類
取り扱い表示には、下記5項目があります。
- 洗濯
- 漂白
- 乾燥(タンブル乾燥、自然乾燥)
- アイロン仕上げ
- 商業クリーニング(ドライクリーニング、ウェットクリーニング)
洗濯処理表示
洗濯表示は、洗濯が可能か(洗濯不可、手洗いのみ可能、洗濯機使用可)や、洗濯時の温度、洗濯機の強さを記号で表しています。

漂白処理表示
漂白表示は、漂白処理が可能か(不可、酸素系のみ可能、塩素系・酸素系いずれも可能)を記号で表しています

乾燥処理記号
タンブル乾燥処理記号
タンブル乾燥処理記号は、タンブル乾燥が可能か、可能な場合の温度上限を記号で表しています。
※タンブル乾燥とは、衣類をドラムの中で回転させながら温風で乾かす乾燥方法のことです。家庭用洗濯機の乾燥機能やコインランドリーの乾燥機が該当します。

自然乾燥処理記号
自然乾燥処理記号は、つり干しか平干しか、濡れた(脱水をしていない)状態で干すかどうか、日陰干しが必要かなどを記号で表しています。

アイロン仕上げ処理記号
アイロン仕上げ処理記号は、アイロン仕上げが可能か、可能な場合は温度の上限やスチームの可否を記号で表しています。

商業クリーニング処理記号
商業クリーニング記号は、クリーニングに出す際に、ドライクリーニングやウェットクリーニングの可否、使用可能な溶剤や処理の強さを示しています。


- 一般財団法人 日本繊維製品品質技術センター 取り扱い表示一覧:https://www.qtec.or.jp/knowledge/japan-display/handling/
どうやって選べばいいの?
取扱い表示は、素材や仕様からある程度判断できますが、最終的には試験や実際の洗濯確認をもとに決定するのが基本です。まずは、使用している生地の素材(組成)、編みまたは織り、加工(撥水加工などの特殊加工やプリントなどの二次加工)、付属の素材(リブや芯地、装飾品)から判断し、仮で決めます。
生地や付属の取扱い表示については、メーカーに問い合わせれば確認できます。しかし、縫製仕様や二次加工など、製造工程によっても取扱い表示は変わります。
過去に実績のある製品・素材であれば簡単に決めてしまうこともありますが、新しい素材や仕様、特殊加工を採用した場合は、工場またはボーケンやカケンなどの試験機関に依頼し、洗濯や乾燥などの試験を行うこともあります。
取扱い表示通りに扱ったにもかかわらず製品に問題が起きた場合、その責任は表示者、つまりブランド側にあります。迷った場合は、やや厳しめの表示にしておくほうがクレーム防止につながります。
取り扱い表示は省略できる?
基本的に、洋服などの繊維製品は取扱い表示を省略することはできません。洗濯、漂白、乾燥、アイロン仕上げ、商業クリーニングの5つの項目はすべて表示する必要があります。また、表示順もこの順番で統一する必要があります。
付記用語
付記用語は、製品の取扱いなどに関して文章でわかりやすく補足するものです。
付記用語の付け方
付記用語にはさまざまな種類があります。一から文章を考えることもできますが、よく使われるテンプレートがあるため、参考にしてみてください。
- 一般財団法人 カケンテストセンター 付記用語について https://www.kaken.or.jp/learn/attentions
本記事では、付記用語をジャンルに分けて、いくつか事例をご紹介します。
家庭洗濯においての付記用語
取り扱い表示だけでは伝えきれない部分を補足します。例えば、洗濯機の使用をOKにしていたとしても、ほかの洗濯物と引っかかりやすい素材の製品などは「洗濯ネット使用」と記載します。また、後染めの生地や濃色の生地など、色落ちの懸念がある製品については「同色系と一緒に洗う」などと記載しておくことで色移りを予防することができます。
アイロンにおいての付記用語
アイロンがけがNGではないけれど、アイロンをかけることでテカリが出てしまう可能性がある製品については「アイロンは裏側から」や「あて布使用」と記載します。また、二次加工のプリント部分にはアイロンがかけられない等、アイロンがけ禁止部分がある場合は「プリント部分アイロン禁止」「柄部分アイロン禁止」などと記載することもあります。
クリーニングにおいての付記用語
製品に使用している生地自体はクリーニング薬剤に問題がなくても、使用しているボタンなどの付属が薬剤に反応し、変色や腐食を招くことがあります。そのような場合は、「付属品を取り外してクリーニングしてください」「ボタンをアルミホイルで包んだ上でクリーニングしてください」などと記載します。
加工においての付記用語
生地の撥水加工やプリーツ加工、シワ加工など、着用や洗濯をしているうちに効果が低下する可能性がある場合は、付記用語でその旨のアナウンスと長持ちさせるための扱い方を案内することもあります。
素材においての付記用語
使用している素材(組成)によって特性があります。シワになりやすかったり、水に弱く濡れると収縮したり、色移りしやすかったりする素材もあります。付記用語でその旨のアナウンスと、長持ちさせるための扱い方を案内することもあります。
表示者名と連絡先
- 表示者(製品をつくっている責任者)
- 名称(会社名・団体名)
- 住所
- 電話番号
①②のどちらかと、③④のどちらかを記載することが必須です。
表示者
表示者は、製品をつくっている責任者の氏名を記載することが多いです。その場合、フルネームであることが必要で、俗称やニックネームは認められません。
名称
名称は、法人登録された正式名称を記載します。商標やブランド名は認められません。株式会社を(株)、有限会社を(有)と省略することは認められていますが、「Co.,Ltd.」などの表記はNGです。
住所
住所は、都道府県から番地・部屋番号まで省略せずに記載する必要があります。
電話番号
電話番号は、市外局番から省略せずに記載する必要があります。フリーダイヤルやIP電話(050から始まる番号)も使用できますが、携帯電話番号やFAX番号は認められていません。
原産国
原産国の記載は、家庭用品品質表示法において必須事項ではありません。しかし、「MADE IN JAPAN」「中国製」などと品質表示に記載されていることが多いです。これは、「景品表示法」により、消費者に原産国を誤認させないように、と定められているためです。
品質表示の発注。準備することは?
ここからは、法律上で記載が必要なこと、そうでないことを含めて、品質表示の発注時に整理しておく項目について説明します。

整理しておくべき情報
必要情報の例
- 品番(品質表示の管理・付け間違い防止のため)
- 本体・別布・裏地・リブなどの組成
- 取扱い表示の内容
- 付記用語の有無
- 表示者名
- 住所または電話番号
- 原産国表記の内容
- 製品への取り付け位置
- 品質表示の大きさ
- 品質表示の土台(生地)
- 発注枚数
Excelなどで表を作成し、製品品番ごとにまとめておくとスムーズに依頼ができます。
製品への取り付け位置は決まっているの?
品質表示の取り付け位置については、明確な規定はありません。しかし、消費者が容易に確認できる位置に表示すること、また容易に取れない方法で取り付けることが求められています。トップスの場合は内側左脇の縫い目、ボトムスの場合はウエストやポケットの内側に付けられていることが多いです。
- 目立たせたくないからと、下げ札だけに表記し、品質表示を付けない
- デザイン優先で製品の見えにくい位置に隠すように付ける
- 消費者が簡単に切り離せるように仮縫いだけにする
これらはすべてNGなので、ご注意ください。
品質表示の大きさに規定はある?
品質表示の大きさは、一般的に幅30〜35mm程度が多く使用されています。法律でサイズの規定はありませんが、「容易に見やすく表示すること」が義務付けられています。そのため、小さすぎて文字が読みにくかったり、印字が潰れてしまうようなサイズはNGです。
コンパクトに収めたい場合や子供服などでは、幅20〜25mm程度で作成することもあります。縦の長さは付記用語などの情報量によって変わるため、記載内容を決めてからサイズを検討するとよいでしょう。
品質表示の土台は選べる?
品質表示を印字するテープ状の生地には、いくつか種類があります。発注先によって取り扱いは異なりますが、基本的な種類をご紹介します。
サテン白
最もスタンダードな品質表示です。薄手のサテン地に黒い文字で印字します。
サテン黒
薄手の黒いサテン地に、白またはシルバーの文字で印字できます。白地よりも高級感があります。
綿
生成り色の綿テープに黒い文字で印字します。サテン地よりもナチュラルな雰囲気になります。生分解性がある点も特徴です。サテン地より表面に凹凸があるため、印字が見えにくくなることがあります。サンプルを作成し、文字サイズの調整を行うことをおすすめします。
品質表示は消費者に情報を伝える役割が大きいですが、土台の素材や風合いにこだわることで、ブランドの世界観を表現することもできます。
転写マーク・タグレスプリント
ネームタイプとは異なり、転写マークやタグレスプリントの品質表示も増えています。
生地に直接印字できるため、チクチク感や煩わしさを軽減できます。ただし、生地との相性によって剥がれや印字割れが起こる可能性があるため、事前にテストを行うことが必要です。
発注する枚数・ロットはあるの?
品質表示は1枚からでも発注可能です。工場によって異なりますが、テープ印字の場合は版が不要なことが多く、版代もかかりません。必要な枚数に合わせてオーダーしましょう。
品質表示のよくある失敗例
ロスが出てしまい、枚数が足りない
量産時にロスが発生し、品質表示の枚数が足りなくなることがあります。製品ごとに内容が異なるため流用もできません。追加生産には1〜2週間ほどかかることもあるため、余裕を持って発注しましょう。
よく見たら印字した情報に間違いがあった
複数品番をまとめて発注する際は特に、Excelのコピーなどで情報のズレや品番の入れ違い(テレコ)が起こることがあります。気づかずに縫製してしまうと、全量付け替えになるケースもあるため、発注前のチェックが非常に重要です。また、入荷後も必ず、依頼した情報と印字内容に相違が無いか、確認を行いましょう。
縫いしろが足りない
自作データの場合、縫製位置を想定して縫いしろを確保しておく必要があります。印字後に縫う余白が足りない、ということがないよう注意してください。
品質表示 発注方法【無料テンプレート ダウンロード】
品質表示の発注時に、字間やフォントにこだわりがある場合は、印字データ(AIまたはPDF)で指示するのが最も確実です。
※品質表示のフォントに法的な指定はありませんが、「容易に読み取れる表示であること」が必要です。手書き風や極端に細いフォント、装飾性の高いフォントは避けましょう。
データ作成が難しい場合は、記載内容を伝えて工場で印字データを作成することも可能です。発注時に便利なExcelフォーマットを無料配布しておりますので、宜しければお使いください。
※どこに発注するのにもわかりやすく情報を伝えられるテンプレートになっておりますので、弊社に発注する場合以外でもご活用いただけます。
- ファイル名:ordersheet_carelabel
- ファイル形式:Excel
- ファイルサイズ:523KB
まとめ
製品の大切な情報が詰まった品質表示。迷ったら相談を
いかがでしたでしょうか。品質表示は法律で表示方法が定められており、複雑で指示が難しい資材のひとつですが、消費者に正しい情報を伝え、安心して製品を使っていただくための重要な要素です。自信をもって品質表示を発注できるようになることで、より信頼される製品づくりにつながります。品質表示を含め、アパレル資材のご相談がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。ここまでお読みいただきありがとうございました!