レイヤリングの素材とアイテム-01 ベースレイヤー編

 

アンドクロップ編集部の瀧澤です。

最近ではハイキングや登山などのアウトドアのアクティビティを楽しむ人たちの間ではレイヤリングと言う言葉が普通に使われるようになりました。レイヤー(layer)とは英語で層をあらわしていてレイヤリングとは重ね着の事です。日本には紫式部の時代から十二単(じゅうにひとえ)という重ね着の文化があります。かつては限られた素材を重ねて着ることで防寒の役割も果たしていたのだと思います。ちなみに十二単の総重量は15㎏程もあるらしくそれなりに暖かいのではないかと思われますが服だけでテント泊縦走登山の荷物くらいの重さとは凄いですね(笑)。

アウトドアアクティビティでレイヤリングと言う言葉が良く使われるようになったのは近年の素材機能の進化に伴ってより快適に軽く安全に野外での活動を行うための手段としてレイヤリングと言う概念が重要になって来たからでしょう。ウェアーやマテリアルの進化・軽量化によってより多くの人が自然の中で過ごす機会が増え様々なアクティビティを体験できるようになりました。一方でさまざまに進化したウェアーも使い方を誤ればその機能を充分の発揮することが出来ないばかりでなく極限状態では生命の危険を伴う場合もあります。今回はアウトドアアクティビティでのレイヤリングの基本とそれぞれのアイテムに使われる素材の特性について解説していきます。この記事を最後まで読んでいただければアイテム毎にどんな機能の生地を選べば良いのかが明確になりアウトドア向け商品の企画や週末のレジャーそして日常を快適に過ごすためのアイテム選びにもきっとお役に立つと思いますので是非最後までお付き合い下さい。

アウトドアでのレイヤリングで最も重要なベースレイヤー

ハイキングや登山のような活動ではハイクアップ時や行動中に大量の汗をかきます。この汗で濡れた状態が長時間続くと夏場でも標高の高い場所や強風下では気化熱によって体温が奪われて低体温症となり疲労凍死につながることもあります。まして気温の変化の激しい春や秋、そして気温が最も下がる冬期は私たちが野外で活動するときにウェアーが果たす役割で最も重要なのは身体をドライに保ち保温することです。野外で体が濡れてしまう主な原因は雨などの外的要因と自分の汗です。外側のからの濡れを防ぐ工夫はゴアテックスのような透湿防水素材の進化によって格段に進歩してきましたが自分自身の汗を防ぐことは出来ません。そこで汗を素早く発散させて身体をドライな状態に保ち快適な状態で活動を継続する為の工夫がレイヤリングと言う言葉には凝縮されています。素材の進化によってレイヤリングの方法も変化を続けていますが基本的となる考え方は同じです。アウトドアで着用するアイテムの企画や選択にはこのレイヤリングを考慮して素材を選ぶことが必須条件です。そこでレイヤリングについての基本的なことを共有しながらどんな機能の素材を選ぶと良いかを市場で流通している生地商材やアウトドアメーカーのアイテムも例に取り上げながら解説していきます。

レイヤリングの基本

一般的にレイヤリングの対象となるアイテムを便宜的に3つのグループに分けて肌に近い側からベースレイヤー・ミドルレイヤー・アウターレイヤーと呼んでいます。たとえば登山などでは激しい発汗を伴うハイクアップや長時間の歩行、休憩中など運動量や発汗の状態に加えて日照や気温、風、雨の影響を受けて条件が刻々と変化します。通常であれば状況に合わせてウェアーを脱着して最適な状態にコントロールするのが基本です。しかし様々なギアを装着したり重いザックを背負っている状態で頻繁にウェアーを脱いだり着たりするのは負担が大きくかなり面倒な作業です。そこで出来る限り脱ぎ着の回数を減らして快適に活動を行う必要があります。今回はベースレイヤー編としてベースレイヤー素材に必要とされる機能や役割、適した素材、定評のある具体的なアイテムについて説明しています。

ベースレイヤーとドライインナー

直接肌に触れるベースレイヤーの最も重要な役割は蒸れと濡れを防いで肌をドライな状態に保つことです。そのため体から出た汗を素早く吸収して蒸気として発散させる吸汗速乾性能のある化繊や吸放湿性・疎水性・保温性・防臭性能などを兼ね備えた天然繊維のウールが適しています。また素肌へのフィット感も重要であるため、伸縮性のあるジャージ(編地)素材がベースレイヤーとして必要な条件になると言えます。綿や麻、レーヨン等を含む素材は吸収した水分が乾くまでに時間がかかり体温低下を招いてしまうのでアウトドアのベースレイヤーとしては基本はNGな素材です。

整理するとベースレイヤーに適している素材は

①機能性合繊素材

②ウール素材

③化繊・ウールのハイブリッド素材

のいずれかを用いた伸縮性のある体にフィットするジャージ系の素材と言うことになります。またより体をドライに保つために近年ではベースレイヤーの下にドライインナーを着用する人が増えています。ドライインナーには吸水性の無いメッシュ素材をベースレイヤーと肌の間に身に付けて空気の層を作り汗の発散と肌離れを良くするタイプと超耐久撥水の薄手インナーをベースレイヤーの下に着ることで肌をドライに保ち汗の発散を促進させるタイプの2通りの方法が現在は主流です。また1枚でドライインナーとベースレイヤー両方の機能を兼ね備えた二重構造の素材も提案されています。それぞれの素材の特性やメリット・デメリットを理解して自分のスタイルやシーズンに合わせたベースレイヤーを選ぶことがレイヤリングでは重要です。それでは素材ごとに具体的に見ていきましょう。

合繊ベースレイヤー

 機能性合繊のベースレイヤーに向く素材

合繊で最も汎用性のある素材のポリエステルは公定水分率が0.4%と低くほとんど水分を吸収しないので速乾性があり型崩れしにくく、耐候性も強く多くの合繊系ベースレイヤー素材として使われています。高機能合繊として繊維の形状を工夫することで吸水性や発散性の高めた素材や後加工によって機能を付加した機能性ポリエステルなど各メーカーが多種類の機能性テキスタイルを開発して販売しています。国内の合繊メーカーが開発販売している代表的な吸汗速乾素材としては東レFIELDSENSOR®東洋紡Megatecdry®ユニチカトレーディングHYGRA®東レPrimeflex®などを始め合繊テキスタイルに吸水速乾加工や抗菌防臭加工を施して快適性を向上させた商品も多数あるので用途に合わせスペックを検討して素材を選ぶ必要があります。また吸汗(吸水)速乾の素材でも夏向けに冷感機能を付加した物や快適性や肌触りを良くする目的でベンベルグやコットンを混紡した素材もありアウトドアアクティビティ向けのベースレイヤーとして用いるには注意が必要です。合繊ベースレイヤーはウールに較べて速乾性能が非常に優れていて耐久性があります。また抗菌防臭加工等の臭い対策機能を付加している物がほとんどですがウールに較べると消臭機能が劣り長期間の着用では臭いが気になると言うデメリットがあります。

代表的なアウトドアメーカーの合繊ベースレイヤーとドライレイヤーアイテム

①モンベル ジオライン シリーズ 

ジオライン画像
mont・bel ジオライン ラウンドネックシャツ 画像はmont・bel webページより転載

ジオラインはモンベルが独自に開発したマイクロファイバーポリエステル製の編地が使われていて薄手でも繊維自体に保温力があります。またポリエステル繊維自体にはほとんど吸水性がありませんが繊維表面に親水加工を施して汗を素早く吸い上げて拡散・蒸発させます。薄手・中肉・厚手のタイプがあり薄手はサマーシーズン向け中肉と厚手は組織がボックス構造になっていてデッドエアを蓄えるので保温性が高くなっています。合繊系の弱点である臭いについてもジオラインは銀イオンによる消臭効果が通常の抗菌消臭加工の合繊に較べて臭いにくいと言われています。

モンベルは「function is beauty」と「Light&Fast」をコンセプトに、登山用品をはじめさまざまなア…

②ポーラテック パワードライ シリーズ

パワードライ画像
z パワードライ ポーラテック社のWEBページより転載

 

ポーラテックのパワードライは性質の異なる2種類のポリエステル糸を二重構造に編みたてたポーラテックのオリジナル素材で内側の汗を素早く吸収して外側の組織から発散させて肌をドライに保ち保温します。パタゴニア・マムート・ミレーなど多くのアウトドアブランドが定番のベースレイヤー素材として使用。また防臭加工を過去に使用して来た金属ベースの防臭剤から無臭のペパーミントオイルに切り合え50回の洗濯処理後も布地の微生物が99%減少し効果は半永久的であるとしています。新しい防臭加工の性能については今後のフィードバックでの評価が待たれます。

高機能素材POLARTECの日本代理店。生地~製品までの一貫業務を行い、お客様の無限のアイデアを形にしてお届けします。…

③ノースフェイス エクスペディションドライドット

エクスペディションドライドット製品画像
エクスペディションドライドットクルー The north faceの WEBページより転載

The north faceのエクスペディションドットクルーはダブフェイスのベースレイヤーで肌側の撥水加工を施したドライ層と汗を素早く吸収・拡散・乾燥させる外側の生地の二重構造に設計されています。汗は肌側のドライ層からドット状の接結点を通って瞬時に外側の吸収層に移行し拡散され蒸発を促進します。後述するドライレイヤーとベースレイヤー2着分の機能をワンレイヤーで備えていると言えるかも知れません。防臭効果については参考となるレビューが見つかりませんでした。

THE NORTH FACE - ザ・ノース・フェイスブランドサイト

アウトドア、ランニングなどのあらゆるシーンに適したアイテムを展開。株式会社ゴールドウインが運営するTHE NORTH F…

④ファイントラック ドライレイヤー®+ドラウト®

ドライレイヤー画像
ドライレイヤー解説図 ファイントラックのWEBページより転載 

創業者自身の体験から「遊び手が創り手」と言う理念のもとに2004年の創業以来つねにより快適な素材を開発し続けているファイントラックはドライレイヤー®+ドラウト®と言うシステムを提案しています。このシステムは肌側に超耐久撥水加工(15080点)を施した独自開発のポリエステル製スキンメッシュ®を着用して肌をドライに保つことで汗冷えを防ぎながら外側に重ねて着用するナイロン100%の凹凸構造のベースレイヤードラウト®が強力に汗を吸い上げて拡散・乾燥させる仕組みです。同社では季節や目的に合わせてポリエステル・トリアセテート・ラミー等の複合素材やウールのベースレイヤーとの組み合わせを提案しています。ユーザーの間ではファイントラックのドライレイヤーと他社のベースレイヤーを自分のスタイルに合わせて組み合わせで使用するケースも多く、ドライレイヤー+ベースレイヤーでより快適なアクティビティを追求するのが新しいスタイルとして認知され広がっています。ドライレイヤーの抗菌防臭性能についても耐久抗菌防臭加工がされて耐久撥水加工との相乗効果で皮脂が付着しにくい為、臭いにくいと言われています。

ドライレイヤー®は、いちばん外側のアウターシェルに施す撥水加工を、肌にいちばん近いウエアに施すという新発想から生まれまし…

⑤ミレー ドライナミックメッシュ®

ドライナミックメッシュ画像
ドライナミックメッシュ MILLETのWEBページより転載

大きなメッシュでインパクトのあるミレーのドライナミックメッシュ®もベースレイヤーの下に着用することで汗をベースレイヤーに素早く吸収させて肌をドライな状態に保ち汗冷えを防ぐアイテムとして登山者等の間でも使う人が増えています。ポリプロピレン66% ナイロン28% ポリウレタン6%のストレッチ性のある厚手のメッシュが肌とベースレイヤーの間に空間を作ることで保温効果もあり冬季の登山でも有効なアイテムとして定評があります。防臭性能については汗を沢山かく条件で1日着用していれば臭うと言うレビューもあり防臭性能はあまり高くないようです。

汗による不快感からあなたを開放するアンダーウェア。登山やスポーツをする上で「汗」による不快感や汗冷えからくるパフォーマン…

上記以外にも合繊のベースレイヤー素材や吸汗速乾系のアンダーウェアーは多くの種類の素材やアイテムが色々なメーカーから提案されています。メーカーの素材の機能説明を読む限りではどれも吸汗速乾性能があり快適に過ごせるアイテムです。ワークマンやユニクロの安価なベースレイヤーやアンダーウェアーでも季節や条件によっては充分と言うレビューもあります。大切なのは使用する条件に合わせて最適な素材やアイテムを選択することです。暖かい季節のチョットしたアクティビティであればユニクロのエアリズムでも充分快適に過ごせるかも知れませんが厳冬期の山行のベースレイヤーには絶対にお勧めできません。(そんな人はまずいないと思いますが…)アウトドアのアクティビティに使用する素材やアイテムを選ぶときにはレビュー等も参考にして使用条件に合ったものを慎重に選ぶようにしましょう。では引き続いてウール素材のベースレイヤーについて説明します。

ウールベースレイヤー

ウールは天然繊維の中でもまた機能性化合繊と較べても吸放湿性・疎水性・保温性・抗菌防臭性・吸水発熱等の万能とも言える性能を持った繊維です。化繊のベースレイヤーに較べると速乾性が劣りますが繊維が水分を吸収するときに発する凝縮熱によって汗冷えし難く、天然の抗菌防臭性能によって長期間着用しても臭わないなどウールはベースレイヤーに最適な素材です。(ウールについて詳しく知りたい方は下記の記事もあわせて参照して下さい。)

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かつて冬季の登山では通称毛下(けした)と言うウールやカシミヤを使用した下着を着用していました。近年はメリノ種から採れるスーパーファインメリノと呼ばれる極細の繊維に防縮加工を施すことでウールの欠点であったチクチク感や洗濯等による縮みのない薄手の編地が生産できるようになりました。ウールの良さをすべて享受できるメリノウールのベースレイヤーがアウトドアブランドをはじめ多くのメーカーから商品化されています。後述するウールと合繊のメリットを併せもったハイブリットタイプのベースレイヤーが増えている中でもメリノウールを100%使用したベースレイヤーにはファンが多く根強い人気があります。ここではウール100%のアイテムに限って代表的なメーカーの商品をいくつか紹介します。

代表的なメーカーのウール100%ベースレイヤーアイテム

①SmartWool サーマルメリノウールベースレイヤーシリーズ

スマートウールベースレイヤー画像
クラッシックサーマルメリノウールベースレイヤー SmartWoolのwebページより転載

スマートウールはアメリカニューイングランド州のウール製品ブランドで1994年にスキーのインストラクターによって創立。ニュージーランドの高品質なメリノウールを使用してソックス、アンダーウェア、アパレル、帽子、手袋などの登山・トレッキングアイテムを中心にトータルに展開している。当社のメリノウール100%のベースレイヤーは根強い人気がありクラッシックサーマルメリノウールベースレイヤー・サーマルメリノウールベースレイヤー・サーマルマックスメリノベースレイヤーとシーズンやアクティビティに合わせたタイプを展開している。国内の販売サイトではmerino200・merino250と言う生地の重さを表す数字で呼んでいる場合もある。

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②icebreakerニュージーランドメリノアンダーウェア

アイスブレーカーアンダーウェア画像
icebreakerゾーンニット200ロングスリーブクルー icebreaker webページより転載

icebreaker(アイスブレーカー)はニュージーランドメリノウール素材のアイテムを展開しているグローバルブランドで創業者のJEREMY MOONが24歳の時にメリノ羊毛農家で出会ったメリノウール100%のTシャツからはじまりました。アイスブレーカーのアンダーウェアには素材の厚み(目付)によって150・175・200・260・300(いずれもg/㎡)のメリノウール100%アイテムの展開があります。ウール100%でありながらベース部分に天竺を使い、背中や腹部、腋下などにメッシュ構造のメリノ素材100%のパーツを使用したゾーンニットシリーズもあり、メリノウールにこだわったアンダーウェアーには多くのファンがいます。

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③HOUDINIメリノウールベースレイヤー

foudiniベースレイヤー画像
フーディニ デソリ ミッドクルー FOUDINI webページより転載

1993年に設立されたスウェーデンのアウトドアブランドHOUDINI(フーディニ)ではオーストラリア産及びニュージーランド産のスーパーファインメリノウール100%を使用したベースレイヤーDesoli(デソリ)シリーズを展開しています。

HOUDINI

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④ユニクロ・無印良品・ワークマン

ユニクロやワークマン、無印良品からもメリノウール100%のセーターやベースレイヤーが販売されていて価格が安いこともあって話題になっています。ワークマンのメリノウール長袖丸首シャツは150g/㎡と薄手のアンダーウェアータイプ。ユニクロと無印良品はメリノウール100%のセータータイプでいずれもメリノウール100%であることでウールとしての機能を備えていてるのでアウトドアアクティビティに使用する人も多くなっています。価格が安いので条件に合わせて他のレイヤーと組み合わせるアイテムとして上手く利用すると良いと思います。

ハイブリッドベースレイヤー

ウールと化繊を組み合わせることでウールと化合繊のメリット・デメリットを組み合わせて快適さと機能性を追求したのがハイブリッドタイプのベースレイヤーです。大まかに言うと化繊には速乾性が高く強度が比較的強いメリットがあり。ウールは速乾性は劣るものの保温性が高く汗冷えしにくく消臭性が高いメリットや何と言っても天然繊維の着心地の良さがあります。そのためかハイブリットタイプのベースレイヤーは各メーカーが挙ってオリジナルのアイテムをラインナップしていて正直に言ってこんなに種類があるのかと驚いています。今後もさらに新しいタイプのハイブリット素材が開発されて登場してくると思われますが現状で定評のあるメーカーのアイテムをいくつかピックアップして簡単に紹介していますので詳細は各メーカーのリンクやユーザーレビューも参考にして下さい。

代表的なハイブリッドベースレイヤーアイテム

①Power wool(パワーウール:ポーラテック社)

パワーウール画像
Polartec youtube動画より転載

パワーウールはアウトドアブランドのホグロフス・ティートンブロス・L.L,Beanやスノーボードブランドのバートンをはじめ多くのメーカーがベースレイヤーに起用しているPolartec社の開発したハイブリット素材です。体に触れる面のグリッド状のメリノウールが身体から出た汗を素早く吸収して毛細管現象の原理で外側のポリエステル面がその汗を拡散させます。そのためウール100%の生地に比べて速乾性が高く、ウールの特徴でもある濡れ冷えの少なさを実現しています。同時に表面がポリエステルである事でウール100%の素材よりも耐久性もアップしています。パワーウールにはグリッド厚みを含めていくつかのタイプがあります。

②Wool power(ウールパワー)

ウールパワー画像
woolpower webページより転載

ウールパワーは1969年にスウェーデンで創業したメリノウールのブランドです。ポーラテックのパワーウールと名称が似ていて紛らわしいですが(笑)ウールパワーではパタゴニアとウルグアイ産のミュールジングフリーのメリノ羊から採れる17~23μ羊毛をだけを使用してスウェーデン北部エステルステンドで一貫生産しています。ベースレイヤーとしてはメリノ80%ポリアミド20%ライトシリーズ、メリノ60%ポリエステル25%ポリアミド13%エラステーン2%の200シリーズを展開。ミッドレイヤー向けの400・600シリーズもあります。200~600シリーズはテリー編みと呼ばれるパイル編みのサーキュラーニットでデッドエアを多く蓄え伸縮性が良く体にフィットして動きやすいと言われています。

Woolpower

ウールパワーは、1969年スウェーデンで創業した高品質・高機能なメリノウールウェアブランド。チクチクしないウール製品。環…

③モンベル  スーパーメリノウール シリーズ

モンベル スーパーメリノウール画像
モンベル スーパーメリノウールM.Wラウンドネックシャツ mont・bell webページより転載

モンベルのハイブリッドメリノウールベースレイヤーにはライトウェイト(L.W)・ミドルウェイト(M・W)・エクスペディション(EXP)のシリーズがあり、18.5μのマルチクリンプウールを使用しています。L/WとM/W シリーズはメリノ85%ポリエステル15%、EXPシリーズはメリノ79%ポリエステル18%ナイロン2%ポリウレタン1%ですべてのシリーズにフラットシーマ仕上げを採用して着用時のごろつき感を解消。EXPシリーズでは独自のBOX構造の編地を採用することでより一層の暖かさを追求しています。モンベルのメリノウールシリーズは高品質・低コストで定評があります。

④MONTAIN PRIMINO(プリミノ)シリーズ

モンテイン プリミノ画像
モンテインプリミノハイブリッドフーディ MONTANE webページより転載

モンテインが独自開発したメリノウールのバイブリッド素材のPRIMONO®は天然のエクストラファインメリノ18.5μにメリノウールの繊維よりもさらに細いプリマロフト®のモノフィラメント繊維をプラスすることで速乾性能を強力に向上させ、さらにポリエステルを混紡して耐摩耗性・耐久性も向上させた素材です。メリノ 50%、プリマロフト®フィラメント(12~18μm)25%、 ポリエステルフィラメント(20μm)25%のプリミノシリーズの特徴は何と言ってもプリマロフトを混紡したことによる速乾性能向上とポリエステルフィラメントによる耐久性のアップでウールと化繊のハイブリッド素材の良さを実現した素材にあると言えます。

MONTANE

イギリスのアウトドア ブランド MONTANE (モンテイン)の日本総輸入元 ファストトレック / アウトドアウェア /…

⑤ミレー ワッフルウールクルー

ミレー ワッフルウール画像
ミレーワッフルウールクルー MILLET webページより転載

18.5μのメリノウール70%ナイロン26%ポリウレタン4%の素材を縫い目の出来ないコンピューター編み機によってワッフル構造に編み上げ、脇腹部分の通気性や横方向の伸縮性、見頃や肩・腕部分のフィット感も考慮して暖かさと着心地の良さをを追求したアイテムです。

ミレー(MILLET)公式オンラインストア

フランス生まれのアウトドアウェア&リュック。ミレー国内最大の品揃え。登山用のレインウェアや登山ザックが、一通り揃って最短…

⑥パタゴニア キャプリーン・エア

パタゴニア キャプリーン・エア画像
パタゴニア キャプリーン・エア パタゴニアwebページより転載

パタゴニアのキャプリーン・エアシリーズはメリノウール51% リサイクルポリエステル49%の混紡糸を使用した縫い目のない3Dニット構造で体にフィット。独自の編み組織がデッドエアを蓄えて高い保温性を持ちながら通気性・吸湿発散性・速乾性・防臭性能に優れた、メリノウールとポリエステルの良いところをバランスよく備えたアイテムです。

パタゴニア(Patagonia)の公式サイト。パタゴニアはクライミング、サーフィン、スキー、スノーボード、フライフィッシ…

まとめ

レイヤリングでもっとも重要と言われるベースレイヤーについて素材の観点から事例を挙げて説明しようと色々調べている間に、最近の素材や各メーカーから出されているアイテムの幅広さと機能性の進化に圧倒されてブランドの商品紹介みたいになってしまいました。出来る限り素材の観点から書いたつもりですがこれからも素材とアイテムの進化は続いて行くと思われ、折をみて内容を更新していきたいと考えています。もし内容に間違いや勘違いがございましたらご指摘いただければありがたいです。ベースレイヤー編に続いてミッドレイヤー・アウターレイヤー編も予定しています。

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