こんにちは。&CROP編集部の野崎です。
コロナ禍でも密にならずに楽しめるスポーツとして近年ゴルフブームが巻き起こっています。最近では、若者世代でもゴルフをする人が増え、関東近郊のゴルフ場は平日でもいっぱいな所が多いと聞きます。ゴルフウェアを含め、ゴルフ業界はいま大きく盛り上がっています。
&CROPを運営している株式会社クロップオザキは、OEMでアパレル製品の生産と、アパレル資材を取り扱っている商社です。そのなかでもゴルフウェアのOEM生産・資材手配を多く行っています。
そのためゴルフウェアの仕様・必要な機能や、ゴルフウェアに使われている資材に関する知識があり、近年ではゴルフウェアのOEM生産・資材手配のお問い合わせも増えてきています。
今回は、ゴルフウェアに長年携わっている当社の視点から、ゴルフウェアに使う特別な資材を2つご紹介していきたいと思います。
これからゴルフウェアブランドを立ち上げる予定の方、既にアパレルメーカーにいらっしゃる方で、他とは違う資材を使いたい・独自性を出したいという方はぜひお読みください。
具体的にゴルフウェアとその他のスポーツウェアは何が違うの?資材や仕様の違いを知りたい!という方は、こちらの記事もご覧ください。
&CROP編集部の野崎です。コロナ禍で三密にならずに楽しめる屋外アクティビティとしてゴルフが注目され、現在では若者世代を中心に新しくゴルフを始める人も増えています。矢野経済研究所が行った国内スポーツアパレル市場に関する調査で[…]
ゴルフウェアに使う特別な資材って?
ゴルフウェアにはゴルフウェアならではの資材があります。なぜゴルフウェアは特別なのか?その理由は大きく2つ考えられます。
1、ブランド力があるブランドが多いから
ゴルフはその起源から「紳士のスポーツ」と言われることもあり、かつては金持ちがたしなむスポーツとして親しまれていました。今では幅広い層がプレーできるスポーツになりましたが、そのような歴史もあり、昔からあるゴルフウェアのアパレルブランドは、どこもブランドとしての価値を高く持っていて、資材一つひとつにもこだわっているブランドが多いです。
販売価格は他のスポーツウェアよりも平均的に見ると高いことが多いですが、「このブランドだから買いたい」と思わせるようなブランディングができあがっています。販売価格が高くても、そのゴルフウェアブランドの提供するこだわりや価値にファンが共感し、購入してくれることが多いです。それなので資材までこだわって選ばれています。ブランドの特別感が感じられるオリジナルのロゴが入った資材を使っていることも多いです。
2、機能が必要だから
ゴルフウェアで重要視されるのが、ファッション性だけではなく機能性です。ゴルフは大きく体を動かしてスイングをしますので伸縮性のある素材が好まれます。また、長時間コースをまわるので着心地も重視され、夏なら速乾、接触冷感、冬なら蓄熱保温、防風などの機能が付いているものが喜ばれます。
また、プレー中に持ち歩く小物が多いため、入れやすいように深めのポケットが付いていたり、ポケット以外にも小物を持ち運びやすい仕様になっていたりします。
ゴルフはメンタルのスポーツとも言われており、ウェアの着心地の悪さやストレスがプレーに影響してしまうこともあるので、ゴルフウェアではファッショナブルでもあり、プレーに影響しないよう、機能性のある素材を使っていることが多いです。
ゴルフウェアにはデザイン×機能性 が重視された資材が使われる
機能性を与えるだけであれば、付属を使わずに身生地(表生地)の機能性や仕様を変更することで付加することもできますが、ファッション性も重視するのがゴルフウェアなので、アクセントとして資材(付属)を使うこともあります。
今回はその中でゴルフウェアならではの、あると便利な資材を3つご紹介します。
ゴルフウェアならでは資材
今回ご紹介するのはこちらの2種類です。
カン類(Dカン)
カン類(Dカン)は紐を通したりパーツ同士を繋げる資材
カン類は本来、鞄の肩掛け紐部分や財布、ポーチなどに使われる、紐を通したり何かを繋げたりするパーツです。
例えばこちらの写真は、ボタン/服飾パーツメーカー アイリスのカンの中でも「アルファベットのD」の形をしたDカンです。Dカンだけでも素材・形でいろいろな種類があります。
ゴルフウェアでは、プレー中に使う小物を引っ掛けて持ち歩くために使われる
ゴルフウェアでは、ボールケースや距離計、グローブホルダーなどを引っ掛けるために使われます。ゴルフはプレー中に持ち歩く小物が多いので、ポケットに全て入りきらなかったり、バッグを持つにしても邪魔になってしまったりします。カンが一つついていると、カラビナが付いている小物はカンに引っ掛けることができるので、どこかに置き忘れてしまうことも無く便利です。
ボトムス後ろのベルトループ下に付けられていることが多い
ゴルフウェアでは、カンをボトムス後ろ(右手側)のベルトループ下に付けることが多いです。これは恐らくプレー中に最も邪魔にならない位置だからです。
ゴルフ以外のボトムスでも、引っ掛けておけばポケットに入れたものが落ちてしまうことを防げるので、便利です。
カンの種類
ゴルフウェアに使われる代表例がDカンですが、カンといっても形によってさまざまな種類があり、丸カン、角カン、Dカン、月カンなどがあります。ゴルフウェアの場合、Dカンと丸カンを使用することが多いです。
※写真はパーツメーカーGondola(ゴンドラ)のカンになります。
型(形)からオリジナルで作成も可能
その他にも、カンはゴルフウェアのボトムス共通で使用することが多い資材なので、ゴルフウェアブランドオリジナルで型(形)から作っているものもあります。
こちらはSt ANDREWSというゴルフブランドで使われているカンですが、Dカンよりも尖った複雑な形をしていて、ブランドのオリジナル性があり、高級感があります。
カンの材質は金属が一般的だが、樹脂製のカンが使われることも
カンの材質で最もよく使われているのが高級感のある金属です。ですが、最近ではゴルフウェアも機能性を重視し軽量化されているウェアも多く、その流れで樹脂製のカンを使っているブランドも増えました。樹脂製のカンを使う場合、そのままだと金属と比べて安っぽい印象になってしまうため、ロゴを入れることがおすすめです。
金属のカンを使用する場合、検針機対応かどうかを要確認
金属のカンを使用する場合、検針機に対応しているかどうかをよく確認するようにしてください。
特にオリジナルで型(形)から作成した場合、写真のようにカンにすき間をつくらないと、検針機に反応してしまうことがあります。
※検針機とは…製品を縫製後、縫い針が混入していないかを確認するための機械。検針機を使う場合、金属探知機のような仕組みなので、金属のパーツは検針対応のものを選ぶ必要があります。非検針のパーツを使用してしまうと、そのパーツが検針機に反応してしまうため、検針機での検査ができなくなってしまいます。
ブランドのロゴを入れることも可能
カンにブランドロゴを入れてオリジナル性を出すこともできます。ロゴの入れ方は大きく2種類あります。
凹凸でロゴを表現
凹凸でロゴを表現する方法には2種類あります。
ロゴの凹凸が型をオリジナルで作成する方法と、定番品(メーカーが在庫している商品)から選んでレーザーで彫刻する方法です。レーザーの場合、彫刻した部分が凹となります。
- 型からオリジナルで作成…経済ロット5000以上、1個あたりの単価+型代
- レーザー彫刻で作成…経済ロット1000以上、1個あたりの単価+レーザー加工代+レーザーデータ代
型からオリジナルで作成
5000以上の大きなロットで作成する場合は、オリジナルで型から作成することが多いです。初期費用として型代が3~10万円ほど掛かりますが、レーザー彫刻よりも安く作成が可能です。(型代は国内生産か海外生産かにもよっても前後しますので、参考程度にお考えください)
レーザー彫刻で作成
1000以下の小ロットで作成する場合、定番品(メーカーに在庫している商品)のカンにロゴをレーザー彫刻するのがおすすめです。レーザー加工は照射時間で値段が決まるため、ロゴのデータや表現したい凹凸の深さによって単価は変わりますが、初期費用のレーザーデータ代は1万円前後に抑えることができます。
凹凸でロゴを表現+スミ入れ
レーザーでロゴを凹にした上でさらにインクを入れる方法です。
写真はBRIEFINGで使われているオリジナルのカンです。
インクを入れることでブランドロゴがはっきり見え、ブランドカラーも想起させるような高級感のあるかっこいいDカンが使われています。
プリントでロゴを表現
プリントは先ほどご紹介した樹脂製のカンにロゴを入れる際に使われることが多いです。
凹凸でロゴを表現する方法よりも、比較的安価に作成可能です。
ロゴ入れ以外の差別化ポイント
カンを取り付けるテープを変える
オリジナルのカンを作りたい場合、ある程度のロットが無いと作れないことが多いです。
定番品(メーカーに在庫している商品)のカンを使いながらもオリジナル性を出したいという場合は、カンを取り付けるテープに工夫を凝らすことでオリジナル感を出すことができます。
こちらはストライプ柄のテープを使用しています。カンがシンプルなデザインでも、テープが華やかだと存在感が大きく感じられます。
先ほどご紹介したこちらのカンを取り付けるテープには、よく見るとベルベットのテープが使われています。
秋冬向けのウェアだとあたたかみが増し、高級感が出ます。
テープを選ぶ際のポイントとしては、カンに小物を引っ掛けると負荷がかかるため、強度のあるテープを選ぶようにしてください。
ティー挿し
ティーを挿しておくためのパーツ
ゴルフでティーショット(初めの1打)を打つときに使うアイテムを「ティー」といい、ティー挿しはティーを収納しておくためのホルダー型の資材です。
ティー挿しがあると、ティーが取り出しやすくなる
コースを回っていると、基本的にはティーショットを打つ際に毎回ティーを使うので、ポケットに入れて持ち運ぶことが多いです。ですが、ティーは長細い棒状なので、ポケットに穴が開いてしまったり、ポケットに入れているその他の小物(マーカーなど)とごちゃごちゃになってしまい、すぐに取り出せないことがあります。
ティー挿しが付いていると、サッとティーを取り出すことができるので、スムーズなプレーに役立ちます。
ティー挿しはボトムスに付けられていることが多い
ティー挿しは、プレーしている最中に邪魔にならないように、ボトムスの脇に付けられていることが多いです。
ワッペン型のタイプの場合、ボトムス後ろのポケットの位置に付けられていることもあります。
ティー挿しの種類
ティー挿しには大きく2種類
挟み込みのティー挿し
ジャガードタイプ
織りの技術でロゴや柄の表現ができるジャガード織を使ったティー挿しです。オリジナルロゴの入ったポリウレタン入りのジャガードテープを作成し、それを切り取って縫いの部分に挟み込みます。
織りでの表現となるため、細かいロゴの表現には限界がありますが、プリントとは違った立体感や高級感があります。
テープやゴムをオリジナルで作成するのと同じイメージなので、経済ロットは3000m程度(1個3cmだとして、ロット10万個)となります。
ポリウレタンタイプ
ポリウレタンシートにプリントを施したティー挿しです。
シートのカラーも豊富でデザインも指定できるので、オリジナル性の高いティー挿しを作ることができます。
初期費用として型代はかかりますが、経済ロットで500~1000枚程度でジャガードゴムで作るよりも小ロット生産が可能です。
ワッペン型のティー挿し
ポリウレタンタイプ
ティーが3本挿せるポリウレタンのワッペンです。エンボスで凹凸感のあるデザインになっています。
シリコンタイプ
ワッペン型の、シリコンでできたティー挿しです。周りの凹の部分を生地にたたきつけて使います。
シリコンは滑りにくく、ティーが落ちにくいですが、逆に摩擦抵抗が大きくで抜き差ししにくいため、余裕を持って差し込み口の穴を大きめに作る必要があります。
また、シリコンの裂けを防ぐため、差し込み口は角が少なく丸みのあるデザインにしましょう。
オリジナルで作るにはロットが足りない、そんな時は…
ご紹介したロゴ入りのティー挿しは、どれもオリジナルなのでロットが必要になります。オリジナルでは作れないけどティー挿しの機能が欲しい、というときは、定番品(メーカーで在庫している商品)のテープを使ったり、身生地を使うことでティー挿しを作ることもできます。
まとめ
ゴルフウェアならではの資材を使うことでブランドの価値が高まる
今回ご紹介したゴルフウェアならではの資材は、デザインだけでなく機能性も与えることができる資材です。
ゴルファーが快適にプレーできるよう機能性に配慮することで「このブランドはゴルファーのことをよく考えてくれている」と感じてもらうことができます。
最近はゴルフウェアブランドも増えていて、今までには無かった低価格帯のブランドがゴルフウェアに参入してきています。数あるゴルフウェアブランドの中で選ばれるブランドにしていくには、「このブランドの服が着たい」と思ってもらえるような共感性や、ゴルファーのことを考えた仕様が大切になってくると思います。
そんな時に、ゴルフウェアならではの資材を使うことを一つの選択肢にしていただけたら幸いです。
今回ご紹介した資材は当社、クロップオザキでも手配が可能です。
資材についてさらに詳しく知りたい・ゴルフウェアOEM生産の相談がしたい等、ゴルフウェアのお困りごとがありましたら、クロップオザキまでお問合せください。