ジーンズによく使われている“あのボタン”、正式名称をご存知ですか?
一般的には「ジーンズボタン」や「デニムボタン」と呼ばれることが多いですが、正式には「タックボタン」といいます。タックボタンについての基礎知識は、下記記事をご覧ください。
タックボタンとは 名称(日本語/英語) タックボタン(ネオバーボタン/ジーンズボタン)/ Tack button カテゴリ 副資材 種類 大カテゴリ(タックボタン) 概要 […]
今回は、タックボタンの名称や種類、注文時に気をつけたい仕様書の記載ポイントなどを、アパレルブランド向けに分かりやすく解説します。仕様書での記載不足や、名称の誤解によって、意図と異なるタックボタンがついてしまうことも…。あらかじめ正しい名称や品番を把握しておくことで、資材トラブルを防ぎ、発注・指示もスムーズになります。
ジーンズに使われる金属ボタンの正式名称は「タックボタン」
「ジーンズボタン」や「デニムボタン」は通称で、正式には「タックボタン」と呼ばれます。「TACK(タック)」は英語で鋲(びょう)を意味し、ボタンを鋲のような脚で生地に打ち込む構造からこの名前が付けられています。
「ネオバー」ってなに?商標と一般名称の違い
「ネオバー」という言葉を耳にしたことがある方も多いかもしれません。これは、モリト社が商標登録しているタックボタンの名称です。日本国内で流通しているタックボタンは、主に「YKKスナップファスナー(YKK SF)社」または「モリト社」の2社製。モリト社では「ネオバー」という名前が使われており、YKK SF社では「タックボタン」という一般名称で展開されています。つまり、「ネオバー=モリト社の製品」と判断できますが、「タックボタン」とだけ記載されている場合、どちらのメーカーかは分からないということです。
タックボタンのパーツ構成
タックボタンは、以下の2つのパーツで構成されています。
- トップ(頭):表から見えるボタン部分
- 脚:裏側から打ち込むピン部分(トップ裏の凹みに差し込んで固定)
タックボタンの注文方法と仕様書の記載ポイント
タックボタンを仕様書に記載・注文する際には、「タックボタン」「ネオバー」などの名称だけでなく具体的な品番情報を伝える必要があります。
記載が必要な項目は以下の通りです:
- メーカー名
- ボタンの品番
- ボタンサイズ(直径mm)
- 脚の品番
- 色
それぞれ詳しく解説していきます。
1. メーカー
品番が明確であれば、メーカー名は省略しても伝わることがありますが、分かっている場合は記載しておくのが安心です。
2. ボタンの品番(トップ)
タックボタンの「トップ(頭)」部分の品番を指定します。トップは種類が豊富で、機能やデザインに応じて選べます。
固定タイプと首振りタイプ
- 固定タイプ:ヘッドが固定され回らない。固定される分、カチャカチャ音が鳴らない。
- 首振りタイプ:ヘッドがくるくる回る。自由に動き、ボタンホールに入れやすいが、カチャカチャ音がする。
開け閉めしやすさから首振りタイプを選ぶブランドもあれば、音が気になるため固定タイプを選ぶブランドもあります。
デザインの違い
- フラット型:YKK SF社だと【フラット/スタンダード(決まった名称がありません)】、モリト社だと【クローズトップ】と言います。
- ドーナツ型(中央に穴):YKK SF社だと【オープンボタン/OT】、モリト社だと【オープントップ】といいます。
他にも、模様入りデザインやヴィンテージデザインもあります。ジーンズのテイストに合わせて選びましょう。
3. ボタンサイズ
ボタンサイズは、トップの直径サイズを指します。トップの直径サイズ(mm)は、ボタンホールに合わせて選びます。ジーンズのフロントには、14mmや17mmがよく使用されます。
4. 脚の品番(見落としがち!)
忘れがちですが、脚の品番も必ず指定が必要です。先述の通りタックボタンはトップ(頭)と脚の2つのパーツから成り立っているので、トップだけでなく脚の品番も指定する必要があるのです。トップの品番によって対応する脚の品番が異なります。各メーカーのサンプル帳で対応品番を確認しましょう。
スタンダードな脚以外にこのようなタイプも:
- ショートタイプ:小さいトップ用。比較的薄手の生地にも使える
- 二本脚タイプ:旧来のタックボタンに近い仕様。ヴィンテージ感があるが、強度はやや低め
5. 色(カラー)
タックボタンにはさまざまなカラー展開があります。また色展開は品番によって異なります。在庫を積んでいるカラーもあれば、ロットで生産可能なカラーもあります。色数が多いため、「シルバー」「アンティークゴールド」などの色名ではなく、色番で記載するようにしましょう。
例えば「シルバー」といっても、YKK SF社では以下のような種類があります:
- SPC:ツヤありシルバー
- SPF:ツヤ消しシルバー
- LSN:くすみ感のあるシルバー
- SNR:LSNよりもヴィンテージ感のあるくすみシルバー
タックボタンの注意点
駒(打ち駒)の確認
タックボタンの取り付けには以下の道具が必要です:
- 打ち機:YKK・モリト社で互換性なし。工場に保有状況を確認
- 打ち駒:ボタンごとの専用品。品番・サイズに適した駒が必要
パーツを購入する前に、縫製工場に打ち機があるか確認をします。打ち機は他社メーカーと互換性が無いので、縫製工場にある打ち機と同じメーカーのタックボタンを用意する必要があります。打ち駒はち機に取り付ける専用のアタッチメントで、品番やサイズごとにぴったりに作られています。打ち駒を持っていない場合は、ボタンと一緒に注文しておきましょう。
パッキンの有無
薄手の生地や伸縮素材の生地にタックボタンを取り付ける際は、ボタンと生地の間に「パッキン」を挟むことがあります。サンプルで試して、必要があればパッキンも仕様書に記載するようにしましょう。使う場合は9mm程度の小さめのパッキンを使用します。
- 仕様書への記載事項:パッキンの品番/サイズ/カラー
(例)パッキンサイズ
YKK SF社:9×2.8mm推奨
モリト社:9×3mm推奨
カラー展開
YKK SF社
- ノンホルパッキン:ホワイト、Dグレイ
- プラパッキン:クリア、ブラック(※ポリエチレン製・100℃以上で溶融する)
モリト社
- PK-0930:白・黒・ベージュ(ポリエステル製合皮)※ベージュは無くなり次第廃色
発注ロット
タックボタンは基本100pcs〜の注文となります。
サンプルでの試し打ちを忘れずに
タックボタンを含めた打ち付属は、必ずサンプルで試し打ちをするようにしましょう。生地に直接取り付ける仕様上、生地との相性が重要になります。生地が薄すぎると生地とタックボタンの間に隙間ができ、挟まってけがの原因になってしまったり、逆に生地が厚すぎると十分に打ち付けられず。使っているうちに外れてしまったりします。必ず試し打ちをして事前に確認をしておきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。タックボタンの名称や仕様書への正しい記載方法を知っておくことで、資材トラブルを未然に防ぐことができます。この記事がより良い製品づくりのお役に立てたら嬉しいです。&CROP編集部を運営するクロップオザキでは、タックボタンをはじめとする各種アパレル資材を取り扱っています。記載方法や商品選びでお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
※当社はBtoB向けサービスのため、一般販売は行っておりません。ご了承ください。
また、タックボタンやスナップボタン、リベットなどの打ち付属を1個から購入できる&自分で取り付けできる【打ち機レンタルサービス「.crop(ドットクロップ)」】もございます。こちらは一般の方でもご利用いただけるサービスです。詳細は下記ページをご覧ください。