タックボタンとは

タックボタンとは

名称(日本語/英語)

タックボタン(ネオバーボタン/ジーンズボタン)/ Tack button

カテゴリ副資材
種類大カテゴリ(タックボタン)

概要

タックボタン(日本語名:タックボタン/英語名:Tack button)とは、ジーンズやデニムジャケット、厚手のアウターなどに用いられる留め具です。「鋲(びょう)」という意味のある「Tack」という単語が由来となっています。片方に設けたボタンホール(穴)にくぐらせて留めます。留め具としての機能性と、装飾性を兼ねているものが多いです。

用途

衣類

ジーンズ、デニムジャケット、厚手のアウター、レザーパンツ、ワーキングパンツ等

魅力

タックボタンの魅力は大きく2つ。

  1. 糸付けと比較してしっかりと取り付けられる
  2. デザインのバリエーションが豊富

魅力1.糸付けと比較してしっかりと取り付けられる

タックボタンの魅力は、糸付けのボタンと比較して、丈夫にしっかりと取り付けられる点です。糸付けボタンが生地とボタンを糸で縫い合わせているのに対し、タックボタンは画鋲のようなパーツを機械で打って生地を挟み込むため、強い横引きにも耐えることができ、しっかりとした装着が可能です。

糸では縫い付けづらいような厚くて硬い生地や、負荷のかかりやすいジーンズやワーキングパンツのフロント部分に使われることが多いのも、この耐久性が理由です。

魅力2.デザインのバリエーションが豊富

タックボタンのもう一つの魅力は、デザインのバリエーションが豊富な点です。

和テイストのものや若者向けデザイン、錆感の色調を再現したヴィンテージ物の復刻版など、定番品でもさまざまなデザインがあります。

デザイン例
デザイン例 ※MORITOサンプル帳より

また、別注(オリジナル)でブランドロゴを刻印したり、塗装でお好みのカラーにしたりすることもできます。

ロゴ入りオリジナルタックボタン
ロゴ入りオリジナルタックボタン(白塗装)

代表的なタックボタンの種類

「サイズxタイプxデザインx素材」の組み合わせ種類が豊富!

タックボタンの種類としては、《サイズ》《タイプ》《デザイン》《素材》の組み合わせでできており、多くの種類があります。

代表的なタックボタンのサイズ

17㎜・14㎜が一般的なサイズ

タックボタンで一般的によく使われるのは17㎜と14㎜です。パンツのフロントには17㎜、ジージャンのポケットや袖などには14㎜が使われることが多いです。デザイン的にフロントに大きい23㎜のものを使うこともあります。サイズはお好みで選ぶことが可能です。

ボタンサイズでボタンホールを決めて

一方でタックボタンに対してボタンホール(ボタン穴)を適切な大きさにします。

ボタンに対してボタンホールが大きすぎるとボタンがすぐに取れて開いてしまい、逆にボタンホールが小さすぎると、脱着しにくくなってしまいます。


代表的なタックボタンのタイプ

タックボタンのパーツは、ヘッドと脚で分かれています。首振り・固定x1本脚・2本脚で組み合わせます。

ヘッドの構造

  1. 首振りタイプ
    ヘッドがくるくる回る。自由に動き、ボタンホールに入れやすいが、カチカチ音がする。
  2. 固定タイプ
    ヘッドが固定され回らない。固定される分、カチカチ音が鳴らないことからも人気。

ボタンの脚の構造

  1. 1本脚タイプ
    一般的なタックボタンの脚。2本脚より強度が高い。
  2. 2本脚タイプ
    昔使われていたタイプで、2本脚のみ対応のヘッドにはこちらを使用する必要がある。ヴィンテージ感を出すのにおススメ。1本脚より強度が低い

タックボタンのヘッドの構造には《首振りタイプ》と《固定タイプ》の2種類があります。

《首振りタイプ》はタックボタンのヘッド(あたま)の部分がくるくると回るタイプで、《固定タイプ》は、ヘッドの部分が回らず、固定されています。

《首振りタイプ》はヘッドが自由に動くので、ネイルをしている爪の長い方や、手袋をはめている方でもボタンホールに入れやすいことが特徴です。しかし可動式のため金属部分が当たってカチカチと音が鳴ってしまうということもあり、《固定タイプ》の方が人気です。それぞれでヘッドのデザインバリエーションも違うため、デザインで選ぶ場合もあります。

また、タックボタンの脚(アシ)の構造には、《一本脚タイプ》と《二本脚タイプ》があります。一般的には《一本脚タイプ》がほとんどですが、一部のヘッドが《二本脚タイプ》のみの対応品となっています。ヘッドのデザインで選ぶことがほとんどですが、二本脚タイプは昔よく使われていたため、ヴィンテージを好む方に選ばれることが多いです。しかし、二本脚は二本の脚を折り曲げて取り付けることから、打ちやすさや強度は一本脚の方が優れています。

デザイン

タックボタンのヘッドには、多くのデザインがあります。

デザインバリエーション (モリト社のサンプル帳より)
デザインバリエーション ※モリト社 サンプル帳より

平たいフラットタイプや中心が凹んでいるドーナツタイプ、刻印入りなどさまざまです。色は金属メッキカラー以外にお好きなカラーに塗装もできるため、洋服のデザインや色に合わせて選ぶことができます。

使いたいデザインのヘッドによって、対応する脚(アシ)が違います。

メッキカラー一覧(モリト社サンプル帳より)
メッキカラー一覧(モリト社サンプル帳より)


素材

タックボタンは基本的には金属製ですが、プラスチックのタックボタンも作られています。ヘッドがプラスチック、脚がアルミと真鍮製となっており、通常の金属タックボタンと比較して約4分の1の軽さなのが特徴です。キッズやワーキング衣類に使われることが多いです。

プラタックボタン
プラタックボタン

代表的な資材メーカー

国内外のファスナーの代表的な資材メーカは以下

  • 『YKKスナップファスナー株式会社』ー日本
  • 『モリトジャパン株式会社』ー日本
  • 『株式会社カジテック』ー日本

YKKスナップファスナー株式会社

YKKスナップファスナー株式会社サイト TOP
※画像:YKKスナップファスナー株式会社公式サイトTOPより

メーカー名

YKKスナップファスナー株式会社

URLhttps://www.ykksnap.co.jp/

YKKスナップファスナー株式会社(以下YKK SF社)は、YKKの子会社です。YKKと聞くとファスナーのイメージが強いかと思いますが、スナップボタン、タックボタン、リベット等の服飾資材の製造販売をしているメーカーです。

金属タックボタン、プラスチックタックボタンのどちらも取り扱っています。

モリトジャパン株式会社
モリモトジャパンサイトTOP
※画像:モリモトジャパン公式サイトTOPより
メーカー名モリトジャパン株式会社
URLhttp://www.morito.co.jp/

 

 

モリトジャパン株式会社(以下モリト社)は、ハトメ、ホック、面ファスナーなどの服飾資材や、カメラ資材、自動車の内装資材、靴用品など幅広く企画開発を行っているメーカーです。

モリトの打ち機は海外で生産しているタックボタンにも対応していることが多いため、海外の工場はモリトの打ち機を持っているケースが多いです。

金属タックボタンを取り扱っています。

株式会社カジテック

株式会社カジテック公式サイトサイトTOP
※画像:カジテックオンラインTOPページ(現在は、旧サイト(http://www.e-kajiura.co.jp/)ではなくカジテックオンラインへ公式ホームページを移行した模様)

メーカー名

株式会社カジテック

URLhttps://www.kajitech.online/

株式会社カジテックとは、糸切れが少なく生地にやさしい構造のプラスチックドットボタン「SUN GRIP(サングリップ)」などを展開しているメーカーです。タックボタンでは、プラスチック素材でつくった日本製のタックボタンを取り扱っています。

取扱い上の注意

タックボタンはヘッドと脚の2パーツで1セットとなっています。脚は大きな画鋲のような形をしていて、先端が尖っています。タックボタンを購入した際など、気にせずに袋を掴んでしまうと尖った部分が袋を破いて怪我をしてしまうことがあるため、十分注意をしてください。

選定ポイント

基本的な選定ポイントとしては、《デザイン》《生地との相性》があります。

2つの基本的な選定ポイント

  1. デザイン
  2. 生地との相性

選定ポイント1.デザイン

定番品として展開している種類の中にも、刻印がはいっているもの、ラインストーンが埋め込まれているものなど多くの種類があります。

またカラー展開も豊富で、金属メッキカラーの中でもヴィンテージ感のある錆びの色合いを再現したものもあります。また、YKKのテープカラーや表生地の色に合わせて塗装をすることもできます。

製品のデザインやテーマに合わせて、タックボタンのデザインも選定することができます。

選定ポイント2.生地との相性

生地の厚みや伸縮性によって、タックボタンを選定することができます。

例えばモリト社のタックボタンでヘッドNP-1 19mmを使用したい場合、脚はW2-11・WS-12の2品番が対応しています。(対応している脚の品番はサンプル帳に掲載されています)

《W2-11》のほうが脚の長さが短く、《WS-12》の方が長いタイプとなっています。そのため、生地の厚さやストレッチ性によって、適している方を選定する必要があります。

短い脚を使用しても、生地が薄くてしっかりと挟み込むことができない場合や、伸縮性のある生地でタックボタンが抜けてしまう場合もあります。そういった場合は、生地の伸びを止める為に厚みがあって伸縮しないタイプの芯地を生地に貼り付けたり、パッキンを挟んだりすることで、タックボタンを取り付けられるようにすることもあります。しかし基本的には厚みがあり伸縮性の小さい生地に使用することを推奨します。

資材発注時の注意とポイント

ファスナーの発注時の注意とポイントは5つ

  1. タックボタンのヘッドの品番と、対応する脚の品番を両方記入する

  2. 工場に打ち機があるかを確認してから発注

  3. 駒の発注も忘れずに
  4. 使いたい生地でテストを行ってから量産発注をする
  5. 打ち損じを考慮して多めに発注

以下、それぞれの注意とポイントです。

資材発注時の注意とポイント1.タックボタンのヘッドの品番と、対応する脚の品番を両方記入する

タックボタンは、ヘッドと脚の2パーツで1セットです。それぞれに品番があるため、発注の際はヘッドの品番と、脚の品番それぞれを記載する必要があります。

例えばモリト社のタックボタンでヘッドNP-1 19mmを使用したい場合、脚はW2-11・WS-12の2品番が対応しています。(対応している脚の品番はサンプル帳に掲載されています)

ヘッドのみの品番で発注をすると、どちらの脚を使用するのかが分からないため、必ず《NP-1 19mm /W2-11 C/#色番》のように、ヘッドと脚の品番を入れて発注をしてください。

資材発注時の注意とポイント2.工場に打ち機があるかを確認してから発注

タックボタンを発注する際は、打ち機にも注意が必要です。

縫製する工場が決まっている場合、工場にある打ち機の種類を必ず確認するようにしてください。YKK SF社の打ち機の場合、駒の挿入部に互換性がないのでモリト社製や他海外製のドットボタンを打つことはできません。反対も同様です。そのため、初めての縫製工場の場合は特に、必ず打ち機の有無、種類を確認し、対応しているタックボタンを発注するようにしてください(YKK SF社の場合、打ち機の登録のない工場へ出荷はできません)。

資材発注時の注意とポイント3.駒の発注も忘れずに。

タックボタンを打つ際に駒が必要になるため、手元や工場に駒があるかを確認し、無い場合は発注をする必要があります。

駒はヘッド・脚それぞれ一つずつ必要で、タックボタン各品番・サイズごとに種類が違います。打ち機が合っていても駒が違っては正しく打つことができないので、駒の発注にも注意が必要です。

資材発注時の注意とポイント4.使いたい生地でテストを行ってから量産発注をする。

量産を発注する前に、必ず使用する生地とタックボタンの相性が問題無いかを確認してください。テストをする際は、実際に使用する生地を、製品のタックボタンを打つ箇所と同じ厚みに折りたたんで行ってください。タックボタンの脚の長さに対して生地が厚すぎるとしっかり打てずに取れやすくなってしまいます。その場合は長めの脚に替えて再度テストを行ってください。反対に、脚の長さに対して生地が薄すぎる場合は、生地に厚みを持たせる為に芯地を貼る・パッキンを挟むなどして再度テストを行ってください。

資材発注時の注意とポイント5.打ち損じを考慮して多めに発注

タックボタンを発注する際のロスは、他資材よりも多めに試算しておくのがおすすめです。タックボタン以外でも、打ち機で打つパーツに共通して言えるのですが、打ち損じ等でロスが発生しやすいためです。急ぎで追加手配となってしまうと、工場へ出荷する際の運賃の方が高くついてしまう・・・ということになりかねないので、ロスを多めに試算し手配しておくことをおすすめします。

加工・縫製工場へ渡す際のポイント

加工・縫製工場へ渡す際のポイントは4つ

  1. 駒の管理に気を付けるようアナウンス

  2. 輸送中にメッキや塗装が剥がれることがあるので注意

  3. 打つ場所がフラットになっているか(生地が重なっていないか)を確認

  4. ロゴやマークが上下正しい向きになっているか確認をして打つようにアナウンス

以下それぞれのポイントの詳細です。

ポイント1.駒の管理に気を付けるようアナウンス

忘れてしまいがちですが、駒の管理には注意が必要です。

毎シーズン同じ工場で依頼をしている場合、基本的に同じ種類のタックボタンで、駒が劣化していなければ、前シーズンと同じ駒を使うことができます。しかし縫製工場は他ブランドの仕事も請け負っているため管理が間に合わず、どれが該当する駒なのか分からなくなってしまったり、駒を紛失してしまったりすることがあります。

一種類のタックボタンを打つのに駒は二種類必要で、種類にもよりますが駒代で総額1万円ほどすることが多いです。高額なものになるため、打ち終わったら品番が書かれている袋にしまうなど、管理を徹底してもらえるようアナウンスしておくことが重要です。

ポイント2.輸送中にメッキや塗装が剥がれることがあるので注意

特に海外の縫製工場で縫製する場合は、輸送中のメッキや塗装の剥げに注意が必要です。

そこまで頻繁には起こりませんが、数量を多めに試算して手配しておく方が安心です。

白のケシ塗装など汚れや剥がれが心配な商品は、緩衝材でくるんだり、一つひとつケースに入れて出荷したりすることをおすすめします。

ポイント3.打つ場所がフラットになっているか(生地が重なっていないか)を確認

縫製工場に資材を投入した後、打ち不良が多く発生する場合は、製品のタックボタンを打つ箇所がフラットになっているかを確認してください。

打つ箇所の生地がフラットになっていない(段差のある個所)と、打った際に圧力が片側にだけ掛かってしまい、圧力がかからなかった側が浮いてしまうことがあります。

ポイント3.ロゴやマークが上下正しい向きになっているか確認をして打つようにアナウンス

固定タイプのタックボタンで、ロゴやマークが入っている場合は、縫製工場にデザインの正しい向きを事前にアナウンスするようにしてください。固定タイプの場合、後からくるっと回して向きを変えることができません。縫製工場がタックボタンの向きを誤って打ってしまうと大変なので、どの向きが正しいのか、特に分かりづらいロゴマークデザインのタックボタン打ちを新規の工場に依頼する場合は、よく確認する必要があります。

小売の際の注意とポイント

販売スタッフ・消費者等に必要なアナウンス

使用する副資材により、消費者の手に渡った後にトラブルになる、というケースがあります。ブランド価値を下げてしまわないよう以下のケースに注意し、取扱の注意点を下げ札に記入するなどの対策が重要です。

主な《消費者》へのアナウンス

  1. 洗濯機で洗う際は注意が必要
  2. 無理な力をかけない
  3. 濡れたまま放置しない
  4. メッキ・塗装の剥げに注意
1.洗濯機で洗う際は注意が必要

タックボタンが付いている製品を洗濯機で洗う際は注意が必要です。

洗濯中、洗濯機の中でタックボタンが当たってカタカタと音がなってしまったり、塗装が剥がれたりしてしまう場合があります。洗濯機で洗濯をする際は、タックボタンを開けっぱなしにせず閉めてから洗濯機の中に入れる、またはネットに入れるなどすると改善できます。

2.無理な力をかけない

タックボタンは丈夫で強度の高いボタンでです。そのため、無理に力を加えると生地に負荷がかかり生地が切れてしまう可能性があります。使用用途以外で無理に力をかけないよう、十分注意をしてください。

3.濡れたまま放置しない

金属製のタックボタンを濡れたまま放置すると、腐食の原因となります。濡れてしまった際は、すぐに拭き取るようにしてください。

4.メッキ・塗装の剥げに注意

固いものに当たると、タックボタンのメッキや塗装の剥げの原因となりますので、注意してくだい。

おすすめ資材

  1. 刻印入りでオリジナルのタックボタン
  2. ヴィンテージ感のあるタックボタン

おすすめ1.刻印入りでオリジナルのタックボタン

タックボタンはオリジナルで、刻印や塗装で文字を入れることができます。ブランドのロゴやマークの入ったタックボタンは、製品のワンポイントにもなりおすすめです。

 

おすすめ2.ヴィンテージ感のあるタックボタン

タックボタンのデザインの中には、ヴィンテージものの復刻版や、錆び感の色調を再現したデザインのものがあります。

ヴィンテージ感を意識したシーンズのパンツやジャケットに使用すれば、製品全体に統一感が出ます。

まとめ

バリエーション豊富なタックボタンで魅力的な製品づくりを

タックボタンはデザインバリエーションが豊富で、機能面だけでなく製品のワンポイントとしても活かすことができます。生地に直接取り付けるため、生地との相性が重要になります。正しく理解することで、クレームや縫製工場とのトラブルを防ぎ、よりよい製品づくりに活かしてください。

 

参考文献