接着芯テープ・伸び止めテープ・滑脱防止テープ?名称と違いを徹底解説!

こんにちは。&CROP編集部の野崎です。

皆さまは、「接着芯テープ」「伸び止めテープ」「滑脱防止テープ」という種類のテープを聞いたことがありますか?アパレルの仕事をされている方や趣味でミシンを使っている方はご存知かもしれません。

私も、お客様から「伸び止めテープを注文したいのですが…」というお問合せをいただくことがあります。しかし「伸び止めテープ」といっても様々な種類があり、「何のどこに使う伸び止めテープですか?」というやりとりが続いてしまうことも。私自身も、この業界で働くまではそんなテープがあることすら知りませんでした。

そこで今回は、知っているようで知らなかった「接着芯テープ」「伸び止めテープ」「滑脱防止テープ」とは何なのか?種類や使い分けの方法を解説いたします。

名称の違い

「接着芯テープ」「伸び止めテープ」「滑脱防止テープ」どれが正式名称?

まず「接着芯テープ」「伸び止めテープ」「滑脱防止テープ」などさまざまな呼び方があり混乱しがちなので、一度整理したいと思います。

  • 接着芯テープ…接着芯を角度を変えてスリットしたテープ。「テープ芯」ということもある。
  • 伸び止めテープ…生地の伸びを抑えることを目的として使われるテープ。
  • 滑脱防止テープ:縫い目の滑脱を防ぐことを目的として使われるテープ。

※滑脱とは、縫い目に負荷がかかったときに縫い目周りの糸がスリップしてしまうこと。

どれが正式名称、とういことも無いのですが、「伸び止めテープ」「滑脱防止テープ」は使用目的を名称にしているというだけで、「伸び止めテープ」「滑脱防止テープ」という名前のテープがあるわけではないのです。「接着芯テープ」を伸び止めに使用したり、滑脱防止に使用したりします。

ここでは「接着芯テープ」について詳しく見ていきたいと思います。

接着芯テープ(テープ芯)

接着芯テープとは、名前の通り接着芯(芯地)をスリットしてテープ状に加工したものです。主に布帛(ふはく)の製品に使われます。

芯地ってなに?という方は、こちらの記事をご覧ください。

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一般的に、片側に樹脂が付いていて、アイロンで接着してその上をロックミシンでかがるなどして縫製します。

接着芯テープ拡大図
拡大すると粒状の樹脂が付いている

使用箇所によって幅が異なるため、接着芯テープの幅展開も豊富です。

接着芯テープ10mm、12mm、15mmの画像
左から10mm、12mm、15mm

また、表には見えない部分なので、カラー展開は基本的に白と黒の2色になります。

カラー展開の画像
カラー展開

使用目的

ハリを持たせるため(保形性)

例えばパンツのポケットのフチは、柔らかい生地だとふにゃふにゃしてしまいます。しかし、接着芯テープを貼り付けて縫製すると、フチの部分にハリが生まれ、美しい仕上がりになります。

パンツのポケットの画像
パンツのポケット

伸びを止めるため

伸縮性のある生地を使いながら、服の形・パターンを崩さずに綺麗なシルエットをつくるために、脇線や肩線に接着芯テープを貼り、伸びを止めることもあります。

滑脱を防ぐため

最近は着心地の良いストレッチ性の高い衣服が多くありますが、表地が伸びるということは、それだけ縫い目が開くということ。縫い目に負荷がかかると裂けてしまう恐れがあります。負荷がかかりやすい股ぐりなどの縫い代に貼ることで伸びを止め、滑脱を防ぐように使うこともできます。

スリットする角度によって数種類ある!

滑脱防止テープはスリットする角度によって複数の種類があります。使う箇所やどのくらいの伸縮性が必要かによって使い分けましょう。

ストレート

芯地の原反を縦方向にまっすぐにスリットしているため、最も伸縮性の小さいタイプとなります。完全に伸びを止めたい場合や、直線部分に接着芯を貼り付けたい場合に使われます。

ストレート(左)と引っ張った様子(右)の画像
ストレート(左)と引っ張った様子(右)

バイアス(45°)

芯地の原反を45°の斜めにスリットした、最も伸縮性の大きいタイプとなります。カーブの大きい部分に伸び止めテープを使用したい場合は、バイアスタイプを使った方が貼りやすいです。

ハーフバイアス(22-23°)・12°ハーフ

バイアステープの半分の角度、つまり22-23°で原反を斜めにスリットしたのが「ハーフバイアス」になります。またそのほかの種類として12°ハーフなどの決まった角度でスリットしたタイプもあります。最近はスーツで無い限り、伸び止めテープの種類まで細かくこだらなくなってきており、ハーフバイアスや12°ハーフはカーブにも貼りやすく伸びも抑えてくれるため、最もメジャーでよく使われています。

12°ハーフ(左)と引っ張った様子(右)
12°ハーフ(左)と引っ張った様子(右)

その他の伸び止めテープ

布帛向けの伸び止めテープとして「接着芯テープ」をご紹介しましたが、「カットソーの時は何を使うの?」と思った方もいるのではないでしょうか。カットソーの場合は、伸び止めの役割として接着芯テープではなく、ウーリースピンテープやモビロンテープを使います。

ウーリースピンテープの画像
ウーリースピンテープ

接着芯テープとの大きな違いは糊が付いていないことですが、使い方は同様です。

縫い目の中(ロックの中)に一緒に縫い込むようにして使用することで伸びを止めることができます。使用箇所としては、襟ぐりやアームホールが挙げられます。

パンツの股ぐりは滑脱しやすい!

パンツの股ぐりは、大きな負荷がかかるため、滑脱に注意が必要です。今回ご紹介したような接着芯テープだけでは不安な場合は、綿のテープを上から叩きつけて、縫い目への負荷をおさえることもあります。

まとめ

「伸び止めテープ」「滑脱防止テープ」といっても種類はさまざま。使用箇所・目的・布帛orカットソー等の種類によって使い分けて

 

今回は、「接着芯テープ」「伸び止めテープ」「滑脱防止テープ」の種類や用途をご紹介しました。同じ「伸び止めテープ」でも、イメージされているものがひとそれぞれな場合があるので、発注や探し物の際は、「○○(製品の種類)の○○(箇所)に○○(用途)として使用する伸び止めテープが欲しいです」という説明をすると、間違いなく購入できると思います。この記事が服作りの参考になりましたら幸いです。

ここまでお読みいただきありがとうございました!

 

 

 

 

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