アパレルブランド立ち上げで失敗しない為の3つのポイント
世の中はアパレル不況でアパレルメーカーは生産調整、閉店、リストラの嵐。その影響なのか、販売されている洋服も似たようなものが多く、着たい服が見つからない。こんな状態なら自分で着たい服をプロデュースしてしまおう。幸い自分にはSNS上にたくさんのフォロワーがいるし、そこで紹介すれば賛同して購入してくれる人も多いのではないか。趣味と実益を兼ねたビジネスができるのではないか。そんな感じでアパレルブランド、アパレルビジネスを始める人が増えています。
それで成功する人もいると思いますが、多くの場合、上手く行かずに終わってしまうケースが多いです。かく言う私もそんな一人。社員の「Tシャツブランドを作ろう」という居酒屋で出たアイデアに乗っかり、赤字を垂れ流し失敗した経験があります。そこでお話したいのが今回のテーマ「アパレルブランド立ち上げで失敗しない為の3つのポイント」です。
3つのポイントは次の通りです。
それぞれ掘り下げて見ていきましょう。
小さく初めて大きく育てる
いきなり大きな投資はしない
どんなビジネスにも共通していますが、いきなり大きく始めないことが肝要です。どんなにいいビジネスアイデア、ビジネスモデルであっても絶対はありません。近年のコロナウィルスの感染拡大のような誰も予期できないことが起こる訳です。それなので、いきなり何十型と企画したり、フルアイテム揃えたり、大きな展示会場で展示会したり、一等地にショップを構えたりはしない方がいいです。もちろん、お金持ちでたくさんお金がある人は別ですが。
コツコツやっていく
まずは、できる範囲でコツコツやっていくのが鉄則です。失敗しても痛手を最小限で済ませられるようにします。失敗しようとして始める人はいないですが、新たなビジネスは10やって1成功すればいい方と言われます。特にアパレルのように既に成熟した産業では成功する確率はさらに低くなります。それなので失敗したら破産してしまうようなスタートは避けるべきです。
アパレルにはビジネスチャンスがある
一方でアパレル産業は歴史が古いだけに、既存のやり方、しがらみ、既成概念にとらわれているところも多いです。それらにとらわれない新たな発想、やり方にはビジネスチャンスも大いにあります。型数を多く作り、フルアイテム揃え、展示会を行い、いい場所にショップを構えるというのは古い常識なのです。その逆を考え、限られた資金を投入して、今までにない打ち出し方をしていくことです。例えば、型数は一型だけど、シルエットにこだわり抜いたパンツのように。小さく始めてやっていき、売れたら次に型を増やす、生産枚数を増やす等を行っていくのです。ビジネスを成功させるために「退路を断つ」とも言われますが、私は退路をちゃんと設けておいて進むべきだと思います。
いきなり借入に頼らない
上記のことにつながりますが、いきなり借入をして始めるのではなく、手元資金の範囲内で小さく始めることをお勧めします。
借入とは
そもそも借入とはなんでしょうか。借入というのは外からお金を借りてくることです。では、どこから借りるのでしょうか。一般的に考えると
- 身内(親、親戚、兄弟等)、友人
- 金融機関(銀行、信用金庫)
- 地方自治体
です。
身内や友人
身内や友人からお金を借りるというケースは多いでしょう。多くはあなたを支援したいという人たちから借入だと思いますから、それに報いる意味でも力が湧きます。身内、友人とは言え、返済する必要がありますし、金利は支払う必要もあります。
金融機関
金融機関とは銀行、信用金庫などのことです。金融機関からの借入には審査があり、担保や個人補償が必要なことが多いです。金融機関は貸付に対する金利収入が生業ですから、金利はしっかり掛かります。民間金融機関からの借入はスタートアップ企業だと実績がないのでハードルがかなり高いですが、政府系金融機関の日本政策金融公庫は「新規開業資金」や「女性、若者/シニア起業家支援資金」などの名目で創業資金の融資を行っています。
地方自治体
都道府県や市区町村でも創業融資を実施している自治体があります。一般的に金融機関より低金利で調達できる制度融資が多いです。
借入は利益の先食い
借入には返済期限があり、金利が付いてきます。例えば3年の返済期限で金利が3%、1,000万円を借入たとします。毎月の返済は28万弱+金利となり、3年先まで続く訳です。将来どうなるのかわからないのに3年先までの返済は確約されてしまう訳です。さらに返済の原資はビジネスを行って出た利益からしか出ません。それなので、3年先まで毎月利益から引かれてしまい「借入は利益の先食い」と言われます。どうなるのかわからない新規事業、スタートアップビジネスで収入は確約されないのに、借入をしてしまうと返済だけが確定してしまう状態になります。従って、初めに借入に頼らない方がいい訳です。
どんな人に届けたいのか、想いが大切
ターゲットカスタマーは誰か
何よりも一番大事ことが「どんな人に届けたいのか」ということです。これはマーケティングでいうターゲットカスタマーになります。どんなビジネスにも通じることですが、このターゲットカスタマーがぼやけていると、届ける商品がわかりづらくなり、共感を得られず、上手くいきません。「誰に届けたいのか」ターゲットカスタマーを絞り込んで、そこに合わせた商品、価格、流通、販促(4P)を考え、実行していくことで、商品がわかりやすくなります。どこにでもある洋服ではなく、他にはないあなただけのために作った洋服となるのです。マーケティングでいう「ターゲットカスタマーと4P」と言われるものです。詳しくはこちらの記事を参照ください。
成功するブランド・失敗するブランドの「ある共通点」 &CROP編集長兼、(株)クロップオザキの尾崎です。 昨今はアパレル不況の真っ只中にあり、大手中心にブランド縮小や閉鎖を余儀なくされています。一方で、小規模ブランドは増えていて、アパレ[…]
あなたの想いは
そして、あなたの想いが必要になります。「こんなことで困っている人たちにこの商品を届けたい」という想いです。この想いがストーリーになり、共感を生み出します。逆に、単にお金儲けがしたいとか、売れる服を作りたいとかだと、それも伝わってしまい共感が得られません。今の時代、商品は溢れています。星の数ほどある商品の中からあなたの商品を選んでもらうには、あなたの想いに共感してもらった人に買ってもらうしかないのです。それなので想い、ストーリーがとても大切なのです。
初めに書いた当社で失敗したTシャツブランドは、この想いがまったくありませんでした。Tシャツならお金もかからないのでやってみたらと始めましたが、売れる訳ありません。そこで止めればいいのにメンズカジュアルブランドに発展させてしまいました。黒字になることなく3年であえなく終了。想いが足りませんでしたというより、私の想いはありませんでした。上手くいくはずがなかったのです。想いの大切さ、さらにはマーケティングの基礎(ターゲットカスタマーと4P)が必要だったというのに気付いたのはずっと後のことでした。みなさんには同じ失敗を繰り返さないで欲しいですから、まずはあなたの想いを明確にしてください。そして、「ターゲットカスタマー=届けたい人」を絞り込んでください。モノ(商品)を考えるのはその後でいいのです。
まとめ
「アパレルブランド立ち上げで失敗しない為の3つのポイント」というテーマでお伝えしてきました。最後にもう一度、3つのポイントをおさらいです。
歴史のあるアパレル業界には古き良きものも多いですが、新たな風、新規参入者が必要であると感じています。外から入ってこの業界の常識を変えていく人材が増えることで、業界も活性化していくものと思われます。しかし、新たなにアパレルビジネスを始めるのにはリスクもたくさんあります。リスクを最小限に抑えつつ、あなたの想いを実現するアパレルビジネスをスタートしていってください。
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