&CROP編集部の保立です。
今回は、様々な種類のファスナーがある中で、弊社でも取り扱いのある止水ファスナーについて解説させていただきます。
興味のある方は是非最後まで読んでみてください。
もくじ
止水ファスナーとは
止水ファスナーとは、コイルの裏側のテープをポリウレタンフィルムでラミネートし、止水性を持たせる処理をしたファスナーです。ポリウレタンフィルムでラミネートしているので、通常のファスナーよりもファスナーの開け閉めは少ししづらいです。止水ファスナーは裏使いが標準仕様で、主にアウトドアやスポーツウェアのアウター、リュックなどに使用されています。
※止水ファスナーは完全防水ではありませんので、ご注意ください。
また、止水の性能を必要としない場合でも、他とデザインを差別化したいときにアクセントとして使用されることもあります。裏使いのデザインがフラットな印象を与え、アイテムのデザインを際立たせます。
止水ファスナーの種類
止水ファスナーは、コイルファスナーとビスロンファスナーの2種類あります。ここではまずコイルファスナーをご紹介します。
コイルファスナー(AquaGuard)
テープは皮調、つや消し、光沢の3タイプあります。アイテムに与える印象がそれぞれ異なります。
3サイズの逆開製品は展開がないので、注意が必要です。
カラーバリエーションも豊富です。
光沢タイプはどんな色も選択できますが、つや消しタイプは選べない色もありますので、注意してください。
ここからは、様々な機能があるコイルの止水ファスナーについてご紹介します。
フラットニット ~FLATKNIT AquaGuard~
FLATKNITの編み込みテープを使用することで、軽さ、薄さ、柔らかさを感じることができる止水ファスナーです。通常の止水ファスナーに比べてごわつきが少ないので、スポーツ・アウトドアなどの場面に適しています。
写真をご覧いただければわかるように、左の通常止水ファスナーに比べてフラットな仕上がりになっています。また、フラットニットファスナーはエレメントの部分がテープに編み込まれているのもわかると思います。
使用できるスライダーの種類は下記です。
DAB/DFB/DSB
カラー展開も豊富です。
使用シーン
薄手の素材のアイテムに使用できる軽くて薄いファスナー
軽くて薄いファスナーなので、薄手のアウター等に使用することができます。
身体にフィットする柔らかさ
小さい子やペットの衣類に最適な優しい肌触りのファスナーです。
スライダーの挿入のしやすさ
FLATKNIT AquaGuardのスライダーは、挿入補助機能が付いた専用のもので、開口部の下面が大きく挿入口が広いです。
そのため、老若男女問わず挿入しやすいファスナーになっています。
デザインフィルム(皮調) ~AquaGuard Design Film~
テープに特殊加工を施すことで、デザイン性を持たせたファスナーです。
展開タイプは、革調シャイニー(FLD-01)、革調セミマット(FLD-03)、カーボン調(FLD-02)があります。
ツートンタイプ
アクアガードのツートンタイプは、シンプルなアイテムに使用することでスライダーを目立たせる効果があります。デザインで差別化を図りたい場合に最適なファスナーです。
蛍光タイプ~AquaGuard NATULON~
こちらのファスナーは、アウトドアのアイテムにとてもアクティブな印象を与えてくれます。また、今流行りのネオンカラーもかわいいです。
夜間のスポーツ、自転車走行時などに活躍するアイテムでもあるので、安全面を考慮したファスナーともいえます。
3サイズの逆開製品は展開が無いのでご注意ください。
ビスロンファスナー(AquaGuard)
続いては、ビスロンファスナーのアクアガードをご紹介します。
ビスロンのアクアガードはつや消ししか展開がありません。また、サイズも5サイズのみとなっています。
ビスロンファスナー(ツートンタイプ)
ビスロンのアクアガードは、テープとエレメントを別色にしたツートンタイプもあります。
こちらもアイテムに使用することでスライダーやエレメント部分を目立たせることができます。
AQUASEAL
防水機能を持ったビスロンファスナーです。ウェットスーツなどに使用されます。特殊なエレメント構造によりテープを隙間なく圧着し、気密性を持たせた水密・機密ファスナーのプロシールファスナーよりも安価で購入することができます。樹脂製なので、軽量で曲がりもしなやかなので、扱いやすいです。
サイズバリエーションは5サイズと10サイズで、10サイズの逆開製品は展開がありません。また、テープカラーは580/BKのみです。
止水ファスナーの活用事例
レインコート
カラー展開が豊富なので、同色でまとまった仕上がりにすることができます。様々なカラーのアイテムに対応できるのが魅力です。
ベストのポケットに使用されている止水ファスナー
アウトドア向けにアパレルを展開しているようなブランドでは、機能面を考慮しているので使用頻度が高いです。
流行りのアイテムにも
最近流行りの秋冬サンダルSUBUの袋にも止水ファスナーが使われていました。マットな質感がかっこよく、シンプルなデザインが際立ちます。
アウトドアのシーンでも使用するため、雨に濡れないように止水ファスナーを使用していて、機能面も考慮されています。
止水ファスナーを使用する際の注意点
圧着加工
圧着加工とは、ホットメルトという高熱をあてることで溶けるノリを使用してミシンで縫製することなく資材を生地に貼りつける加工のことです。
ホットメルト素材は130℃以上の高温で溶け、冷えると固まる性質を持っています。この性質を利用すると、溶けたホットメルトが生地組織の中に染み込み、それが冷えて固まることによって素材と生地を貼りつけることができます。
写真は、圧着加工によって付けられたファスナーです。よく見ると縫製したあとが見えないと思います。
止水ファスナーは、生地に熱圧着される際に、ポリウレタンフィルムに熱がかかります。その際、軟化した状態でスライダーを動かすとポリウレタンフィルムが欠落する恐れがあるので、十分に冷えた状態でスライダーを動かすように注意する必要があります。
見た目は通常コイルファスナーなのに撥水機能があるファスナー?
見た目は通常ファスナーとあまり変わらない撥水加工を施したファスナーです。
デザイン的に通常のファスナーを使用したいけど撥水機能も欲しい、そんな要望に応えられるファスナーです。
撥水加工とは、素材表面に小さな凹凸をつけることで、水が留まらず、球状になって転がり落ちるようにすることで簡易的に水を弾くものです。
※水量が多い場合は水が染み込む可能性があります。
止水ファスナーに比べると防水性に欠けますが、価格が安いです。止水ファスナーは少し値段が高いので、価格を抑えつつ、でも撥水の機能が欲しい、そんなときに輝くファスナーです。
まとめ
止水ファスナーについて興味を持っていただけましたでしょうか。この記事を読む前よりも皆様が止水ファスナーについて詳しくなってくれていたらうれしいです。
止水の機能だけのために止水ファスナーを使うのではなく、デザイン面やアクセントの一つとして止水ファスナー使用する機会が増えていければ良いなと思います。
参考文献
YKK㈱ジャパンカンパニー https://lyncs.ykkfastening.com/shop/pages/catalog.aspx
地球商事株式会社 https://chikyu-shoji.com/product/fastener/coil-fastener/aquaguard/
YKK DIGITAL SHOW ROOM https://ykkdigitalshowroom.com/jp/actual_case/658/