染めボタン

アパレル付属を染めたいと思っている、または詳しく知りたい方へ必見です!

アパレル付属の染色について、分かりやすく解説いたします!

 

こんにちは。&CROP 編集部の小島です。

アパレル付属資材の基本的な染色方法などについて、分かりやすく解説していきたいと思います。

あっ!その繊維用語聞いたことはあるけど、実は詳しく意味はわからないって事って結構あるあるかと思います。例えばこの用語はどうでしょうか? 「ビーカー染めお願いします」などをよく耳にしますが、ビーカー染めってどんな染めのことでしょう?今回はそんな聞き慣れた染色用語なども含めて、深堀り解説いたします。

染色の定義

染色とは、染料や顔料を用いて繊維、糸、生地などに色を付ける化学技術のことです。

基本的には水溶性の染料分子(分散染料のような例外はある)と、繊維の分子間の親和性に基づく化学現象です。

https://www.mukogawa-u.ac.jp/~ushida/chem.htm

https://www.ttsmile.co.jp/glossary/category/technique/dye/index.html

 

先染めと後染の違い

染め方法には、生地にする前と生地にした後で染める方法があり、それぞれを先染め、後染めと言います。

先染めは3タイプあり、これをテープに置き換えてみますと、原料のまま染めるのを原料染めと呼び、撚りをかけていない繊維から染めるのをトップ染と言います。テープにする前の糸の状態で染めるのを糸染めと言い、この3タイプに分けることができます。

後染めは、テープの状態で丸ごと染液に浸す染め方法になります。

 

主なアパレル資材の染料の種類

直接染料

直接染料とはその名の通り、水に溶かして綿や絹を「直接」染めることができる染料です。

一般的に、汗・洗濯・日光などに対する染色堅牢度が低いといわれていますが、最近の直接染料は比較的、堅牢度が高めになっています。

色の鮮明さにおいては他の染料よりはやや劣ります。また染色後、色止めと呼ばれる後処理が必要です。

綿、麻、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセルなどに染色可能。

https://www.somesome.co.jp/dyes/direct-dyes/dyeing.html 

 

 

反応染料

反応染料とは、綿やレーヨンを染めるのにもっとも多く利用されている染料です。鮮やかな色からくすんだ色まで、ほとんどの色を得ることができます。
繊維と化学的に結合し共有結合で染着する染料で、湿潤や昇華、摩擦に強く、耐久性に優れています。また納期とコストが掛かるのも特徴です。

 

酸性染料

酸性染料とは、染色時に染液中に「酸」を加えて染めることから「酸性染料」と呼ばれています。酸性染料には鮮やかな発色をするものが多いです。羊毛(ウール)・絹・ナイロンなどに染着性をもち、セルロース系繊維(綿、麻、レーヨンなど)には染着性はないです。

また絹の染色に対して、ウール・ナイロンにくらべ色の耐久性が弱いですのでご留意ください。https://www.somesome.co.jp/dyes/acid-dyes/

 

分散染料

分散染料とは、水に溶けない染料で「分散剤」で水に溶かし、水中に微粒子(コロイドに近い状態)として分散させると、アセテート,ナイロン,ポリエステルなどの疎水性合成繊維に染まる染料のことです。鮮やかな発色性や耐光堅牢度が高く、水に強いので耐洗濯性もあります。濃色を得るには、高圧をかけられる染色機か「キャリア」と呼ばれる膨潤剤が必要です。ご家庭では濃色に染めることは出来ない染料です。

また合成染料の中で唯一、熱(温度)の影響により昇華*する性質があります。分散染料は水に溶けない染料のため、130℃前後の熱を加えてポリエステル繊維の中に押し込むようにして染色します、再び熱が加わると繊維内部に取り込まれていた染料が繊維表面に引き出され移動し、それが汚染トラブルに繋がることがあります。

*昇華:固体が液体にならずに気体になること

 

カチオン染料

カチオン染料とは、アクリル繊維の染色に向くように改良された染料のことで、水に溶解し、この液中に適当な助剤を入れて、それに浸すことによって直接に繊維を染色します。耐光性などの堅牢度にすぐれ、鮮やかな色に染まります。改質ポリエステル(カチオン糸)に染色可能で、普通のポリエステル糸と カチオン糸 の交織織物の染め分けに使用されることが多いです。

また特徴として、通常ポリエステル糸に使われる分散染料は、繊維に挟まれているだけですが、カチオン染料は改良ポリエステル(カチオン可染糸)と染料とが結合しているため、貯蔵中に染料が浮き上がることがなく、移染の心配や昇華リスクがないのも利点です。

※カチオン糸: 100℃以下の温度で、カチオン染料を使用して染めることを可能にする加工をしたポリエステル糸

 

参考URL  糸artemondo.co.jp/mame/knowledge/kachion.htm

参考URL  https://www.telala.com/contents/cation

 

 

染色用語

ビーカー染とは?

量産に入る前の試作段階で、生地メーカーに見本染めを依頼して色確認すること。

ビーカー状のカップを用いて小型の染色機を使用して試染めすること。

これは表生地における方法で、アパレル付属の試染めではあまり用いられない方法です。

その理由としては、依頼するにはそれなりの数量と時間が必要となることや、アパレル資材の場合、染上がった後に色直しが可能なので求められていないのかと思います

ビーカー染を対応するには、大きな染工場などでその設備が整っていること、依頼を受けてもらえる量産数量があること、またその工場で染めることが出来る資材であることなど、条件が合致する場合のみとなります。対応可能な場合、染データーを取ることが出来、量産染めの時に反映させます。但し、量産染では染色機械が変わりますので、厳密に言いますとビーカー染の色とはズバリ色にはなりません。多少濃度が上がる傾向がありますのでご留意ください。

 

キャリア染色とは?

キャリアを助剤として用いる染色方法で、主にポリエステルに適用します。ポリエステルの染色は高圧高温(約130℃)で行われますが、毛/ポリエステル混用素材では、その高温高圧条件では毛が損傷するため、キャリア助剤を用いてより低温で染色を行います。

 

※キャリア剤は、ポリエステル繊維を膨潤させ、常温でも染着性を向上させるものである

https://www.ttsmile.co.jp/glossary/category/technique/dye/index.html

第23回 : 繊維・アパレル製品の用語 その2 (染色関連)

 

 

二浴染めとは?

2種類の染液で染色していく方法のこと。アパレル付属ではレース染めの時などに用いられるます。例えば、レースの組成などでレーヨンとポリエステルとの混用だった場合の時です。

この場合、繊維が異なるため同じ染料では染まりません。その為、2種類の染料を使って染めていきます。

 

中希(ちゅうき)とは?

染ムラの一種です。生地の幅方向に起こるムラのことで、耳部と中央部に色の差がある現象のことです。

色止めと還元洗浄の違い

 

色止めとは、水などの染色堅ろう度を高める加工のことで、一般的にフィックス剤(湿潤堅牢度を向上させる薬剤)などが使用され、色止め効果を上げています。あくまでも効果を上げているだけですので、完全に色落ちしないわけではありません。この点を誤解する方がいらっしゃいますが、後染めしている商品は色落ちのリスクがございます。ご注意ください。

 

また還元洗浄とは、還元剤を併用してポリエステル素材などに付着した染料、汚染を除去する為のソーピングのことです。RCとも呼ばれます。簡単に言うと水で洗って落とすという意味です。こちらも、還元洗浄の処理が甘いと色落ちのトラブルが起きる可能性があります。

 

染色可能なアパレル資材

では、実際にどんなアパレル資材が染めることが出来るのか、具体的に資材名を上げていきます。

 

染色可能な主な資材名

ボタン   (素材:ナイロン、カゼイン、ポリエステル等のみ)

ストッパー (素材:ナイロン等のみ)

バックル、カン類 (素材:ナイロン、ポリエステル等のみ)

コードエンド  (素材:ナイロン等のみ)

テープ    (素材:綿、ナイロン、ポリエステル等のみ、グログランテープは除外)

コード    (素材:綿、ポリエステル等のみ)

レース   (素材;綿、レーヨン、ナイロン等のみ、一部ポリエステル)

 

その他条件ありで、セッパ、クルミスナップ等が可能です。

 

染色不可の主な資材名

ボタン   (種類;metal、本水牛、ナット、ユリア、貝ボタン)

ゴム

RIB

 

染ロットやコスト目安

 

資材名ボタン ストッパーバックル、カン類コードエンドテープ、コード類細巾レース
主な素材/種類ナイロン、カゼイン、ポリエステル、染用SHELLなどナイロンナイロン、ポリエステルナイロン綿、ナイロン、ポリエステルトーションレース、ケミカルレース、刺繍レース等
染ロット特にロットなし特にロットなし特にロットなし特にロットなし特にロットなし特にロットなし
コスト目安小口サンプル染 ¥1000~小口サンプル染 ¥1000~小口サンプル染 ¥2000~小口サンプル染 ¥1000~

ポリエステル、ナイロン系 小口染 ¥60,000~

その他、綿テープ小口染 ¥20,000~

小口染¥20,000~
備考一般型以外は、変動する場合あり一般型以外は、変動する場合ありサイズ、形により変動する場合あり一般型以外は、変動する場合あり

素材、厚み、テープ巾によって価格変動あり、投入数量が200~300mぐらいからm単価で換算

※グログランテープのみ除外

素材、厚み、レース巾によって価格変動あり

 

※グログランテープは染ムラが非常に出やすく、特に幅の広いものは染対応できる工場が限られており、基本的には大口の案件などのみで応相談となります。

染色時の注意点

では、実際に染色を手配した場合にどんなことに注意したらよいか、染色依頼前と染色後、染直しの3場面に分けて、分かりやすく解説していきます。

染色前

Tapeやレースなど染めて縮むものが多いため、実際に必要なm数より多めに資材を投入する必要があります。

一般的に、必要m数より5%~10%(柄や巾にもよります)多い数量を染工所に渡します。ストレッチなどの場合は、15%~20%多く手配するのが望ましいです。このUP分の数量も購入側(お客様)の負担となります。

また、資材のロットも合わせ揃えておくのが望ましいです。投入する前の土台の資材にロットブレがあると、染め上がった時に当然色がブレてあがってきてしまいます。

 

染色後

まずお伝えしておきたいのは、後染めしている商品には色落ちのリスクがございます。色止めをしていても完全に色落ちしないわけではありませんので、その点をご留意ください。

そして主に下記の3点について、ご注意していただければと思います。

①    大きなトラブルを避けるため、特に濃色に染めた資材使いの製品には、適正な情報を取り扱い注意(アテンション)の表示、下札にて明記してください

②    後染したアパレル資材を淡色生地(配色使い)に使用しない、使用の基本は、表生地と付属資材が同色使いです。

③    長時間の濡れた状態で放置や他のものと重ねたり、長時間の摩擦(特に濡れた状態)や長時間日光にあたるような環境下にしないようにしてください。

 

また染色方法によって、主なデメリット・注意点を分かりやすく表作成しました

染料種類直接染料反応染料酸性染料分散染料カチオン染料
デメリット・注意点汗・洗濯・日光(紫外線)に弱い汗と日光(紫外線)の複合作用に弱い染まりやすい反面、やや色落ちしやすい傾向がある油、高温多湿に弱く、マイグレーション(染料移行)、昇華性があるデメリットは比較的少ない

 

参考URL https://nissenken.or.jp/2023/04/01/sanpomichi51/

 

染直し

上がってきた色目が依頼した色とブレていてOKできない場合、染直しが出来る資材は多くあります。但し、やり直すために薬品を使い一度色を落としてから、再度染めることになります。その為、ここで何が起こるかというと、元の土台のクリアな色には戻らない場合や、何回も行うと資材(繊維)が傷んだりするケースもあります。これは材質によりますので、テープやレースなどにリスクが大きいです。

ですから、個人的には色直しは1回で成功させるのがポイントです。何回もやり直しても上手くいった経験上ほぼ無いです。それは薬品により、土台の色がどんどんくすんでしまう可能性が高いからなのです。

まとめ

 

いかがでしたでしょうか。最後まで拝読ありがとうございます。

アパレル資材の染色について、かなりご理解いただけたかと思います。付属資材に色を付ける方法としては、染色のほかに、色塗装とメッキ色付けがございますが、それぞれ異なります。

機会があれば、その他についても解説していけたら幸いです。

 

また誠に申し訳ございませんが、染色のみ(支給品不可)でのご依頼はお断りさせていただいております。

弊社で資材を手配していただいた場合のみの染色対応となります× 254

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