デニム・ダンガリー・シャンブレーの違いがわかりにくいという方へ

  • 2024年5月30日
  • 2024年5月31日
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&CROP編集部の瀧澤です

デニムダンガリーダンガリーシャンブレーの違いがちょっと判りにくいという人は結構多いのではないかと思います。そういう私も、まあ生地屋なんでデニムくらい判らなかったら怒られますけどw 。でも、薄手のデニムとダンガリーって何が違うの?ダンガリーとシャンブレーって違うの!?って聞かれたら明確に説明できないと…気づいたので色々調べて書きました。そして、わかったことも色々とあるのですが…もし最後まで読んでさらに判らなくなったという方には、あらかじめお詫びしておきます、みません!もし明快・明確に教えていただける方がいらっしゃれば、是非ご教示お願いします!

 

デニムの始まり

デニムの語源はフランス・ニーム産の綾織の布地を表すserge de Nimesセルジュ、ドゥ、ニーム(ニームの綾織の生地)が縮まってdenim(デニム)になったと言われています。Sergeは日本ではサージという45°右上がりのウールの織物の綾組織をはっきり見せた生地のことを言います。ちなみにsergeには波打つという意味もあり、もともとはニームで織られていた綾目の立った絹織物や毛織物が米国開拓時代に素材を綿(コットン)に置き換えてワークウェアに用いられ、のちに蛇や虫を防ぐ効果があると言われていたインディゴで染めた経糸(たていと)に生成(キナリ)の緯糸(よこいと)を打ったのがデニムの始まりと考えて良いと思います。ジーンズを世に送り出したと言われるリーヴァイ・ストラウス社は当初、帆布やテント用のキャンバス地を用いてワークウェアを製造していたのだそうです。ここからは想像ですが、はじめは平織のリネン(亜麻)やヘンプを使ったワークウェアだったのものが、当時急速に生産が拡大していた丈夫で肌触りも良く、耐久性のある綿(コットン)を使った、平織にくらべてしなやかさがあって動きを妨げにくい綾組織の生地になって行ったのだと考えられます。

デニムの定義と種類

 

定義という言い方は少し硬い気がしますが、一般的に「綾織3/1や2/1などの綾組織でインディゴ染のタテ糸に、晒し糸(白)のヨコ糸で織ったもの」をデニムと言います。もとは作業パンツ用の生地だったデニムはタテに太番手のインディゴ染の糸、ヨコ糸にタテ糸より少し細い晒し(白)糸で綾組織に織った生地を指していました。現在では用途によって4㌉くらいの薄手から16㌉以上の厚くて重いものまで豊富なバリエーションのデニムがあります。カラーも定番のインディゴをはじめ経糸が黒のデニムや、経緯共に黒のブラックデニム、縦緯共に白のホワイトデニム、経糸に色糸を使ったカラーデニム。インディゴ以外でもインディゴのように洗い加工をしてアタリや色落ちを表現できる硫化染料を使った硫化染デニムや逆に色落ちのしにくい反応染料で染めた反応染デニム、またヨコ糸に晒(白)以外の色糸を使用したデニムもあります。ポリウレタンのカバリング糸を使用してストレッチ性を持たせたストレッチデニム、旧式のシャトル織機で織って生地の耳の部分の赤糸を入れてアクセントにした「赤耳」と呼ばれるセルビッチデニム、ヨコ糸にストレッチ性や速乾性を備えたポリエステル機能糸を使った機能性デニム、経糸にムラ糸を使ったムラ糸デニム、杢糸を使った杢デニムなどファッションニーズに合わせた様々な種類のデニムが開発されてデニムの用途もファッション・インテリア・小物などにも広がってデニムの生地としての定義も少しずつ変化しています。

ダンガリーってなに?!

この生地はヘリンボン(綾組織)でタテ糸が白、ヨコ糸がインディゴなのでヘリンボンダンガリーでいい?

ネットでデニムとダンガリーの違いを検索すると‟デニムはタテ糸がインディゴ等の染糸でヨコ糸が白糸なのに対して、ダンガリーはタテ糸に白糸を使いヨコ糸に色糸を使用した綾織の生地“ と書かれていることが多く、また‟デニムの一種”とも書かれていたりします。そして、ダンガリー(dungaree:英)の発祥はインドのムンバイにあるドングリ(dongri)という都市から作業着用途でイギリスに輸出されていた生地でその地名からダンガリーと呼ばれるようになったとも書かれています。 「そうか、デニムとダンガリーはそもそもルーツが違うのか、でも…」ここで岡山のデニムメーカーの知り合いに電話をしました、なぜなら… 私のダンガリーの認識とネットの情報が違っていたからです。私はダンガリーをシャツ・ワンピース・スカートなどに用いる綿の平織の生地でタテ糸がインディゴ等の色糸、ヨコ糸が白糸(逆の場合もあり)の生地と認識していたからです。そしてデニム等を扱うメーカーがダンガリーとしてストック販売している商品もほぼ平織です。さらに軽いオンス(薄手)のデニムをダンガリーとして扱っている場合もありますが、そんな、ネットに書いてあるようなダンガリーの生地はたぶん…(記憶が曖昧)見たことが無いけど…  すると、私と同年代(60代前半)の某メーカーの担当者は言いました、ダンガリーは20S~40Sくらいのタテ糸:インディゴ(他のカラーも有り)×ヨコ糸:白糸で織った平織の生地です。弊社では入社した当時(40年くらい前)からそのように教わり、そして今もそれは変わりません…とのこと。ただ、以前に同業メーカーとの勉強会でそのような話になったこともあり、また何度か同様な問い合わせを受けたこともあったそうです。それはネットで‟ダンガリー“と検索すると検索上位の記事には「タテ糸に白糸、ヨコ糸に色糸を使った綾織の生地」「デニムに比べて薄手」「デニムとはタテヨコの糸が逆なので表側に白い部分が多くあらわれる」「平織のダンガリーもある」…のように書かれていることが多いのです。さらに、平織でタテ糸にインディゴ、ヨコ糸に白糸を使った説明とは明らかに違う画像に「ダンガリー」と明記されていたりするのはどういう事なのよ?(…あ、いや別にデニムメーカーの人にクレームを言っている訳では無いですw)その後しばらく話をしましたが明快な結論には至らなかったので、ここからは推測です。おそらくインドから英国に作業服用途で輸出されていたダンガリーはタテ:白糸、ヨコ:インディゴ染の綾織の(いわゆるネット上でダンガリーと定義されている)生地だった。これは米国で生まれたデニムとはルーツの違う生地なのでもちろん呼び方も違っていました。デニムもダンガリーもインディゴ染のワークウェア―として広まり、後にカジュアルウェアとして受け入れられて普及して行く過程で製造方法も用途も定義も少しずつ変わっていったのだと思われます。とくに日本の国内においてはファッショントレンドやニーズの変化の中で販売促進などの目的で素材のニュアンスが変わってしまうことはわりと良く起こります。 と、ここで別のデニムメーカーさんのブログでも‟ダンガリーは「経糸に白糸、緯糸に染色糸を使用した綾織の生地」”という記載があり、組織のイラストと画像が掲載されています。ただその画像ではその生地がどんな生地か良く判らず、たまたま取引のあるメーカーだったので‟貴社のブログに掲載されている生地の見本を送って下さい。と問い合わせたところ、すぐに確認して見本送りますと返事をいただき、これで本物のダンガリーが確認できると楽しみにしていたのですが‟申し訳ありません、HPに記載させていただいている経糸に晒、緯糸にインディゴを使用しているダンガリーについて現状ご提案できる素材がございませんでした“との返答でした。という事で、現在、日本国内で定番商品として販売されているダンガリーは平織でタテ糸にインディゴや他の色糸を使い、ヨコ糸に白糸を使ったものがほとんどです。また薄手のデニムをダンガリーとして扱う生地問屋やアパレルメーカーも多いです。加えてポリエステルとコットンで染め分けるタイプのダンガリーや綿麻などの素材違いのダンガリー商品もあって商品としてのダンガリーの定義も変化して、ネット上で言われているタテに晒し糸、ヨコにインディゴを使った綾織のダンガリーはほとんど流通していないのが実情のようです。ちょっとモヤモヤが残りますが、ダンガリーとはなにかという定義にはメーカーに依って多少の考え方の違いもあって、おおむね「20S~40Sの糸を使った平織または綾織で、タテ糸にインディゴまたはカラーの糸を使い、ヨコ糸に白糸を打った(または逆の配色の場合も稀にある)織物」という解釈で良いのではないかと思います。

シャンブレーとは

これはタテ糸:インディゴ、ヨコ糸:白糸の平織のシャンブレー 実は綾織のシャンブレーもあります。

 

シャンブレーの起源はフランス北部の都市カンブレ―(仏:cambraiまたはcambray)で最初につくられたことに由来するらしい。キャンブリック(カンブリック/英:cambric)という生地とシャンブレー(英:chanbray)はルーツが同じで、ちなみにキャンブリックはもともと亜麻(リネン)織物で、のちに綿を原料にして織られるようになりリネンに似せる目的で生地の片面に熱と圧力を加えて光沢を出すカレンダー加工を施すようになりました。キャンブリックもシャンブレー平織の生地で現在では綿素材が一般的です。シャンブレーはタテ糸にインディゴや他の色糸を使い、ヨコ糸に晒し(白)糸で織られた薄手の綿織物でシャツなどに使われることが多い生地です。最近では先に述べたダンガリーとシャンブレーの境目もあいまいでタテとヨコの糸が異配色の平織の生地をシャンブレーと呼ぶ場合もあります。またキュプラの裏地などにもシャンブレーと呼んでいる生地があります。これも基本はタテとヨコの糸が異配色で演色性があり、見る角度によって色が変化するので 玉虫とも呼ばれます。

まとめ

この生地はタテ白の綾織ですがダンガリーではなくホワイトデニムと呼んでいます。

テキスタイルにはとても多くの種類があり起源も用途もさまざまです、さらに時代のニーズや技術の変化に伴って素材や作り方も多様化し変化しています。そのために以前はハッキリと定義づけできていた素材も少しずつ変化し続けているのを感じます。いろいろ書きすぎて訳が判らなくなったので(いつものことですw)、最後にもう一度、現時点の私の解釈で、デニム・ダンガリー・シャンブレーについてまとめておきます。

デニム

 タテ糸にインディゴや色糸を使いヨコ糸にタテよりもやや細めの晒(白)または淡色の糸で織った3/1や2/1の綾組織の織物で、薄手4㌉~厚手16㌉くらいまでのバリエーションがあり、綿素材が基本だがリネン・ウール・ナイロンなどの素材バリエーションもあり、またヨコ糸にポリエステルや和紙などを用いたデニムもあります。もともとはパンツ向けの素材であったことから軽いオンスのデニムはダンガリーとして扱われることもある。

ダンガリー

本来のダンガリーはインドムンバイの近郊都市ドングリを発祥とするタテ糸が白糸でヨコ糸にインディゴ染の糸を使った綾織物です。現在日本の国内ではそのような糸使いのダンガリーはほとんど流通が無く、タテ糸(20S~40S)にインディゴ染または色糸を使い、ヨコ糸に白糸を使用(逆の配色もある)した平織や綾織の綿織物をダンガリーと呼んでいます。素材には綿以外に綿麻やテンセルを交織したものもあり、また軽いオンスのデニムをダンガリーとして使用することもあります。

シャンブレー

タテ糸に色糸、ヨコ糸に白糸を使った平織の織物、平組織なので色糸と白糸が交互に出て霜降り調に見える。市場に多く流通している平織のダンガリーとの区別は曖昧で人によって呼び方が違うくらいに思って良いかもしれない。また裏地などに用いるキュプラやポリエステル素材などでタテ糸とヨコ糸を異配色にして玉虫効果(演色性)のある素材もシャンブレーと呼んでいる

この生地はタテ糸に撚り杢の糸を使った杢デニム

杢・杢調については下記のリンクも参照して下さい。

アパレル資材研究所 「&CROP」by株式会社クロップオザキ

色・柄・材質・凹凸感・手触り…etc、無限にあるといえるテキスタイル表現の中で、杢調・TOP・メランジ・ムラなどと呼んで…

まとめのまとめ

デニムについては中肉から厚手のタテ:色糸、ヨコ:白糸の綾織物でこれはデニムだと、結構わかりやすいと思います。しかし、シャツ・ブラウス・ワンピースなどに使われる薄手のデニム・ダンガリー・シャンブレーはちょっと区別がつきにくくて、メーカーや人によって呼び方が変わる場合もあると考えて良いかもしれません。わかりやすくしようと思ってさらにわかりにくくなってしまった気がしますが最後まで読んでいただいてありがとうございました!

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