&CROP編集部の野崎です。
私の大好きな資材のうちの一つでもあるファスナーですが、組み合わせが複雑すぎて、どうやって選べば良いかわからない、分からないから定番のものばかり使ってしまう、という声をよく聞きます。
確かに、選定のときには「サイズ」「製品区分」「ファスナーの種類」「スライダーの種類」「色」「長さ」などカスタマイズできる分、複雑で手を出しにくいです。
そこで今回は、ファスナー選定のポイントを3つに絞ってお伝えします。この記事を読めば、ファスナー選定において基本のポイントを抑えることができ、「ちょっといつもと違うファスナーを使ってみようかな?」と企画時にアイデアが浮かび、よりよい製品づくりに活かせます!
ここではポイントとなる部分をピックアップしてご紹介します。ファスナー発注のすべてを詳しく学びたい!という方は、資材辞典記事「ファスナーとは」をご覧ください。
※また、こちらの記事では日本で95%のシェアを誇る、YKKのファスナーに焦点を当ててご説明をさせていただきます。
マスターすれば思い通りの服が作れるようになる!
ファスナー選定のポイント 3つ
- ポイント1:ファスナーの種類は、《機能》と《デザイン》で選ぶ!
- ポイント2:スライダーで差別化を!
- ポイント3:早め早めの発注を心掛けましょう!
ポイント1:ファスナーの種類は、《機能》と《デザイン》で選ぶ!
ファスナーの種類は、《機能》と《デザイン》で選ぶことができます。
どんな種類があるのか?それは、YKKの「ファスニング専科」というカタログに記載されています。(WEBカタログはこちら)
機能で選ぶ
製品の後加工や、表生地との相性、製品が持つ特性などによって、ファスナーを選ぶことができます。
ジーンズの洗い加工にも耐えられるファスナー「YZiP(ワイジップ)」
YZiPとは、ジーンズのワンウォッシュなどの洗い加工に耐えられるようにエレメント(務歯)に厚みを持たせたジーンズ専用のファスナーです。ジーンズを縫製後に洗い加工(製品洗い)する場合は、こちらのファスナーを使用することを推奨します。
伸縮性のある生地にも追従できるストレッチファスナー「SOFLEX(ソフレックス)」
SOFLEXとは、伸縮性のあるテープを採用し、エレメント部分にも特殊な工夫を施すことにより、全体が1kg荷重で約10%伸長するストレッチファスナーです。柔らかく伸縮性のある生地や、ファスナーをカーブ状に縫製したいときにおすすめのファスナーです。
どのくらい伸縮性があるのか、YouTubeにアップしているのでぜひご覧ください。
簡易止水の機能があるファスナー「AquaGuard(アクアガード)」
AquaGuardとは、ファスナーのテープ表面にポリウレタンフィルムをラミネート加工することで、簡易的な止水機能を持たせたファスナーです。防水機能ではないので完全に水が入らないわけではありませんが、防水・撥水機能のある表生地を使用したジャケットに使うことで、通常のファスナーよりも水の侵入を防ぐことができます。
AquaGuardのフィルムがコーティングされている部分が他のファスナーとは違った見た目をしていることから、デザイン面でも人気が高く、スポーツテイストのファッションブランドでも採用されている例が多いです。
デザインで選ぶ
製品のテイストに合ったデザインや、逆にワンポイントとなるようなデザイン性のあるファスナーもあります。
ファスナーをお好きなプリントでカスタマイズ!プリントができるファスナー「PRIFA(プリファ)」
PRIFA(プリファ)とは、お好みのデザインでインクジェットプリントができるファスナーです。ファスナーのテープ部分に大きくブランドロゴを入れて、ブルゾンのフロントファスナーに使用する等、製品のワンポイントとして使うことができます。
金属じゃないのに金属に見える!金属調ファスナー「METALUXE(メタルックス)」「METALION(メタリオン)」
「METALUXE(メタルックス)」「METALION(メタリオン)」とは、どちらもエレメントが樹脂でできているのですが、まるで金属のような光沢感のあるファスナーです。金属ファスナーは特有の輝きが美しいですが、金属なので重みがあります。しかし、この「METALUXE(メタルックス)」「METALION(メタリオン)」はエレメントが樹脂製なので軽量なのです。そのため、薄い生地の製品やスポーツテイストの製品で金属のように見せたいときは、こちらの「METALUXE(メタルックス)」「METALION(メタリオン)」がおすすめです。
エレメントの形が面白い!上海YKKで手配可能な「DELTA SHAPE(デルタ シャープ)」「FLAT ZIPPER(フラット ジッパー)」
「DELTA SHAPE」「FLAT ZIPPER」とは、エレメントの形に工夫を施し、デザイン性を持たせているファスナーです。これらは日本のYKKでは手配ができず、上海YKKでの手配品となります。そのため日本の市場にはあまり出回っておらず、一見「これファスナーなの?」というようなエレメントのデザインが目を惹きます。
ポイント2:スライダーで差別化を!
実は、《ファスニング専科》がファスナーの種類をまとめたカタログなのに対し、スライダーの種類をまとめたカタログ《YKKスライダーカタログ》という冊子があります。(WEB版はこちら)
ファスナーの種類(金属ファスナー・コイルファスナー・ビスロンファスナー)やサイズにもよって使えるスライダーが決まっているのですが、様々なデザインのスライダーがあります。手芸屋さんでは決まったタイプのものしか販売していないため、決まった数種類しかないのかな?と考えている方も多いようですが、実際はかなりの種類があります。
例えばYKKの「オールドアメリカン」というシリーズは、写真のように1940~50年代のアメリカ製ヴィンテージジッパーをもとに復刻したスライダーとなっています。デザイン性があって素敵ですね。
また、「ZA」「CA」などのスライダーに引手が付いていないタイプのファスナーを発注し、後からお好きな引手を取り付けることもできます。
写真のように、パーツメーカーが生産しているカタログから選び、後から取り付けることもできます。
ポイント3:早め早めの発注を!
使いたいファスナーが決まった!!…なのに納期がはまらず断念・・・。ということは絶対に避けたいですよね。現在、日本のファスナーの95%はYKKといわれるほどの独占市場で、他の副資材と比べると生産納期がかなりかかります。せっかく使いたいファスナーが決まったのに、その1日前に大口のアパレルメーカーからどさっと発注が来ていて、欲しいのは100本だけなのに納期が1.5か月、ということも。
そのため、ファスナーの発注は特に注意をして、納期に余裕をもって行いましょう。
まとめ
今回はファスナー選定の重要なポイントをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?「この表生地ならこのファスナー使ってみようかな??」などと、楽しんでファスナーを選んでいただいけたら嬉しいです。
YKKのカタログはWEBでもご覧いただくことができますが、やっぱり実際にサンプルを見て考えたい・・・!という方もいらっしゃるかと思います。そんな方に向けて、弊社ではショールームの無料開放をしています。ファスナーの実物サンプルを見ることができるのはもちろん、弊社の担当営業がご希望に合わせたファスナーを一緒に選定することもできます。
※事前予約が必要です。ご希望の際は下記より必要事項を入力の上、お申込みください!^^
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!