&CROP編集部の瀧澤です。
「ベルベット・別珍・ベロア…違いがよく判らない!」
ベルベット・別珍・ベロアについて以前からよく聞かれる質問です。実は繊維やアパレルにたずさわる仕事をしている方でも人によって理解が違っていることも良くあります。この判りにくさはテキスタイルを表す言葉の由来や、実際に日本の国内で流通している商品に対する認識の違いから来ていて繊維の世界ではよくあることです。
そこでまずそれぞれの呼び名の由来を整理してみました。この記事を最後まで読んでいただければベルベット・別珍・ベロアの違いが明確になり。それぞれのテキスタイルについて基本的な知識が身について、ベルベット・別珍・ベロアについてチョット語れるくらいにはなれます。ベルベット・別珍・ベロアについてとりあえず必要最低限の知識が必要な方は、是非最後までお付き合い下さい。
もくじ
ベルベット・別珍・ベロアの違いは?
まずは下の表を見て下さい
| 日本語 | 英語(米語) | フランス語 | ポルトガル語 |
① | ベルベット ビロード 天鵞絨 | velvet (ベルベット) | velours (ベロア) | veludo (ビロード) |
② | 別珍 ベルベッチン | Velvteen (ベルベッチン) | veloute | velvteen |
③ | ベロア
| Velours | velours | aveludados |
ベルベットの始まりと語源
日本のベルベットは16世紀にポルトガルからもたらされたのが始まりで、戦前まではポルトガル語でveludoビロードと呼ばれていました。現在は英語(米語)でvelvet(ベルベット)と呼ばれることが多いですが、1900年代以降ファッションの世界で中心的な役割を果たしてきたフランスではベルベットのことをvelours(ベロア)と呼びます。
ベロアの始まり
13世紀にイタリアで発祥したと言われるベルベット(ビロード)はシルク100%の織物で当初はオスマントルコ皇帝の衣装等の高級装束用に製織されていたパイル織物です。一方で現代になって丸編み機によるパイル編みの技術が確立されると綿や合繊素材等で編まれた比較的安価なパイル編み物であるベロアが生産されるようになります。カットソー生地として取り扱われるベロアはベルベットの様な高級感のある光沢とソフトな風合い・伸縮性を兼ね備えていたので様々なアイテムに取り入れられて現代ファッションに何度かブームを起こしました。
なぜ区別がつきにくい?
フランスではベルベットもベロアも光沢のあるテキスタイルを総称してveours(ベロア)と呼ぶ為、ファッション業界で経歴の長い一部の方はベルベットもベロアもファッション素材としてベロアと呼ぶ傾向がありました。このことが一見しただけでは区別がつきにくいベルベット・別珍・ベロアの違いを更に判り難くしてきたのだと思われます。整理するとベルベット・別珍・ベロアはどれも地組織にパイルや毛羽を織り(編み)込んだ毛並みのあるテキスタイルで添毛織物とも呼ばれます。
ベルベット・別珍・コール天・ベロアの特徴と違いを下表に整理しました。
名称・呼び方 | 組織・製造法 | 素材 | 用途 | 特徴 |
ベルベット ビロード | 経パイル織物 (経糸をカットしてパイルをつくる) | シルク・レーヨン・キュプラ・ウール・綿・ポリエステル・アセテートなど | フォーマルウェア ドレス・コート インテリア 産業資材 | 上品な光沢の高級織物。古くは絹製で高級服地やインテリアに使われた。今の日本のレーヨンベルベットは世界的に評価の高いテキスタイルです。 |
別珍 (ベルベッチン) コール天(コーデュロイ) | 緯パイル織物 (緯糸をカットしてパイルをつくる。) | 綿・ウール・ポリエステル・レーヨン・麻など
| カジュアルウェア スカジャン ジャケット 帽子など | 18世紀にフランスでベルベットを模して綿でつくられ、日本では大正期に防寒足袋として流行、印鑑や貴金属のケースにも使われた。別珍はフラットで美しい光沢があり、コール天は経畝が特徴。 |
ベロア
| パイル編み(丸編み) | 綿・ポリエステル・レーヨン・トリアセテートなど | カジュアルウェア ワンピース セットアップ トップスなど | 綿やポリエステルのパイル編み物で伸縮性がある。1990年代にはセレブのベロアブームが起こる。栃木県で生産されるトリアセテート製のソアロンベロアは高級ベロアとして人気がある。 |
ベルベットの歴史
ベルベット(ビロード・和名:天鵞絨てんがじゅう)は毛足のある絹製の経パイル織物で13世紀にイタリアの絹織元Vellti(ベルッティ)によって発明され※注1) 当初は王族の衣服として用いられました。後にカイロに首都をおくイスラムの国マムクール朝が世界最大の生産国となります。当時織物商でもあったフィレンツェのメディチ家などによってヴェネチア経由でイタリアを中心にヨーロッパに広まって行き、ルネッサンス期の貴族の衣装や教会の祭壇掛布、司教の祭服などに用いられました。
日本におけるベルベット
日本へは16世紀(天文年間)にポルトガルより伝来してビロード(veludo)と呼ばれました。舶来品のビロードを織田信長が好み、黒のビロードに四匹の龍を金糸で刺繍して陣羽織に仕立てて愛用していたと言われます。日本国内では江戸時代の慶安の頃に京都西陣でビロードの製織が始まります。当地では現在も天鵞絨屋杣長が唯一伝統な方法でビロード製造を続けています。江戸時代中頃になると西陣で始まったビロード織の技術は滋賀県の長浜に伝わり経糸を地組織とパイル用に交互に並べてパイル用の経糸を引き上げてパイル(輪奈)を作る経パイル織物の技術が確立します。そして紋織物(ジャカード織)の技術と融合して日本独自の輪奈ビロード織物が作られました。
日本のベルベット織物製造地
近代になって機械織によってビロード織物を製造する需要が生じてくると北陸で勃興して来た鯖江、今江の織物産地が西陣に変わって日本のベルベット織物を製造するようになります。現在では鯖江市に工場を置くアゲハラベルベット株式会社や越前市の山崎ビロード工業株式会社が世界のトップメーカーとして日本製のベルベットを製造しています。
※注1)絹織物の発祥地である中国にベルベットの起源があるとする説もあり、その可能性も充分に考えられます。
ベルベットの構造
パイル織物とは
ベルベットはパイル織物に属します。パイル織物は平織りや綾織りの地組織に毛足となるパイルを織り込んだ織物の総称です。ベルベットの他には別珍・タオル・カーペット・ファイクファー等が代表的なパイル織物で、添毛織物とも呼ばれます。
パイル織物の区別
そしてパイル織物はパイルの織り込み方法によって経パイル織物(ベルベット・タオル・絨毯)と緯パイル織物(別珍・コーデュロイ)に分けられます。ベルベットは経パイル織物でその製法から一重ビロードと二重ビロードに分けられます。一重ビロードは伝統的な製法で輪奈ビロード(有線ビロード)とも呼ばれ、その名称のとおり針金を織り込んで経糸でループを作りパイル状に織り出した経糸を突っ切りと呼ばれる方法でカットしてベルベットの毛羽を作ります。
現在のビロード
現在では針金の替わりにポリエチレン製のテグスを使用しているメーカもあり西陣や長浜では伝統的な製法で絹のビロードが織られています。一方で一般的に流通しているベルベットは二重ビロードと言う製法で製造されています。二重ビロードは二重織の一種で2枚の織物を袋状に織って切り離し、切り離された経糸がベルベットの毛羽となる製法で同時の2枚の生地が織り上がり、カットした経糸がベルベットのパイルになります。
ベルベットの素材
ベルベット(ビロード)はかつて絹(シルク)100%で織られていました。現在ではパイルの部分にレーヨンやキュプラを使いグランド部分をポリエステルにしたものやウール・綿アセテート・ポリエステル等をパイル部分に用いたベルベットなど用途やデザインに合わせて様々な素材のベルベットが作られています。
ベルベットの用途と特徴
現在ではベルベットはファッション・インテリア以外に産業資材としても幅広い用途に使われています。独特の美しい光沢を持っているベルベットをファッションやインテリアとして装飾に用いるのは容易にイメージが出来ますが、国内で工業的に生産されるベルベットの約60%は産業資材用途です。ベルベットの資材としての主な用途は現在では液晶の画面に細かい溝をつけるラビングクロスや工業用のフィルターまたプリンターやコピー機などの精密機械などに多く使われています。また化粧用の高級バフとしても女性には馴染があるかも知れません。かつてのフィルムカメラ時代にはフィルムパトローネの遮光素材としてその品質の高さと信頼性から世界中のほとんどのフィルムケースに用いられていました。現在日本で製造されているベルベットの特徴と性能について以下にまとめました。
・遮光性能:パイルの密度と毛足による遮光性があり遮光カーテン等に使われます。
・緩衝性能:パイルがクッションとなり衝撃を吸収する性能があります。
・吸音性能:パイルが音を吸収することで遮音・吸音効果があり防音カーテンとしての用途にも使われています。
・保温放熱性能:パイルが空気の層を作るので保温性があり、表面積が大きいことで高い放熱性も有しています。
・研削・研磨性能:高密度で細かい毛先が鏡面加工などの研磨や液晶に微細な溝をつけるラビングクロスとして欠かせない存在です。
・吸塵性能:高密度パイルには細かい塵や埃を取り除く性能があり精密機械のパーツとして欠かせない資材です。
・濾過性能:高密度パイルが様々な用途のフィルターとしても使われています。
ベルベットの仕上げと各種加工
ベルベットの仕上げ加工は一般的な立ち毛仕上げの他に毛足を一方方向に寝かせる撫で毛仕上げや毛足方向をランダムにしたクラッシュ仕上げ等、仕上げ方法によって様々な表情を演出することが出来ます。さらに各種の加工を施すことでより幅広い表現が可能です。ここでは代表的なベルベットの加工について説明しています。(※この項はアゲハラベルベット株式会社様から情報をいただきました。)
オパール加工
オパール加工は、パイルを残す部分とパイルを脱落させる部分が柄になるプリント加工のことをいいます。酸に強い繊維と酸に弱い繊維を複合した織物に用いて硫酸などの酸化剤で処理を施して酸に弱い繊維を溶かして柄を表現する加工方法でバーンアウト加工とも呼ばれます。オパール加工後に染色を行い仕上げます。
エンボス加工
熱と圧力でパイルを潰して型押しをする加工です。パイル部分の高低差で柄を表現する手法で、熱可塑性の無い素材にも樹脂加工を施すことで柄を定着させることが出来ます。
ポリシャー加工
ポリッシュ(磨く・つやを出す)が語源の加工方法です。3~4mmの毛足の長いレーヨン素材にこの加工を施すと大きな効果が出ます。パイルを一方方向に傾斜をさせて光沢を出します。ハラコやシールに近い雰囲気が特長です。
カーディング加工
エンボス加工とシャーリング加工を組み合わせた加工です。柄の毛足を残す部分にエンボス加工を施した後に、エンボス加工がされていない部分の毛足を刈り取ることで毛足に長短を作って柄を表現します。エンボス加工と較べて立体感がありナチュラルな表情が特長です。
ジャルダン加工
アゲハラベルベット特有のシワ加工です。ガーデン(庭)をイメージしたシワ加工で毛足の長いレーヨンベルベットに施すと雰囲気が出ます。ジャルダンとはガーデンのフランス語です。
上記以外にもベルベットにプリントや刺繍を施したり、いくつかの加工を組み合わせることでベルベットには無限のテキスタイル表現が可能です。
ベルベットのお手入れと保管方法
※この項はアゲハラベルベット株式会社のHP(ベルベットのメンテナンスとしまい方)を参考に要約して記載しました。
・ベルベットがシワになったときは?
入浴後の浴室などに一晩程度吊るしておくとシワが取れますのでその後風通しの良い場所で乾燥させてから軽くブラシングして保管して下さい。
・毛足が乱れたときは?
椅子などに長時間すわるなどで毛足が乱れたときにはスチーマーやスチームアイロンの蒸気だけをあてて毛足を立たせてから乾燥させて保管して下さい。
・雨などで濡れたときは?
ベルベットには撥水加工が施してありますが、出来るだけ早く乾いた布などで叩くようにして水分を取るようにして下さい。そのまま放置するとシミになる場合があります。
・クリーニングに出すときは?
信頼できるクリーニング店でドライクリーニングをして下さい。ラメ糸などを使用している製品は石油系ドライと指定してください。
・着用後のお手入れと保管方法
柔らかいブラシで毛並みに沿ってブラシング後、厚手のハンガーにかけて出来ればカバーをかけてからスペースに余裕のあるクローゼット等に保管するのがお勧めです。
別珍(ベルベティーン)とコール天(コーデュロイ)
別珍の日本での普及
別珍は綿ビロートとも呼ばれ、高級織物だったベルベットを模して18世紀のフランスで綿を用いて織られるようになりました。日本へは明治時代になるとコール天や別珍が輸入されるようになります。当時、輸入別珍・コール天は鼻緒などの材料として人気があり、明治後期になると暖かく摩擦に強いコール天の足袋が広く普及しました。大正時代になって別珍の足袋が発売されてコール天よりも見た目の洗練された別珍足袋に変わって行きます。
別珍の語源
別珍と言う呼び方は英語のvelvteen(ベルベティーン)に足袋の商標として当て字したものが広まったと言われています。江戸期になって和綿の産地として栄えた泉州(大阪)・三河(愛知)・遠州(静岡)の三大産地の中で遠州では明治になって豊田佐吉(トヨタグループ創業者)が小幅力織機を発明して綿生地の生産が増大して国産の別珍・コール天の産地となり、現在でも国産の別珍・コール天の95%以上は静岡県磐田市で製造されています。シャトル織機によって低速度で製織される(現在ではエアジェット織機で織られる生機も多い)別珍とコール天は熟練した職人の手仕事による仕上工程から生み出される遠州産地独自の高品質なテキスタイルで世界のブランドからも高い評価を得ています。
別珍・コール天の構造と生産工程
別珍・コール天は緯(ヨコ)パイル織物です。ベルベットが経糸を二重にしてパイルを作るのに対して別珍・コール天はヨコに打ち込む糸を地組織とパイルの二重に織りパイルとなる緯糸をカットして毛羽を作ります。織り上がった生地(生機)の畝(山状)になっているパイル糸をカットする工程を別珍では剪毛(せんもう)、コーデュロイ(コール天)ではカッチングと呼んでいます。日本製の別珍・コール天ではパイルカットした生機を糊抜きした後に酵素剤の入った溶液で水洗いを施し、カットしたパイルを解毛(解きほぐし)してから乾燥させて800℃以上に熱したローラーを通して無駄な毛を焼きパイルの長さを揃えます。
毛焼きをする前の生機を酵素剤の入った大量の水で揉み洗いする工程は日本の別珍・コール天に独自の工程です。この工程を経ることで国産の別珍・コール天は柔らかく膨らみのある生地に仕上がります。毛焼きされた生地は精練・晒し工程で汚れや不純物を取り除いた後に染色、整理仕上げ工程を経て出荷されます。
<外部リンク>コーデュロイの作業工程 福田織物のyoutube動画
遠州独自の別珍織物
別珍の製造工程は世界でも評価
ベルベット・別珍・ベロアの違いの項で別珍=ベルベッチンと述べました。一般的には別珍とベルベッチンは緯パイルの同じテキスタイルに分類されます。海外から伝わった綿ビロードの製法を独自に開発して遠州産地で作られるようになった別珍は現在ではその製造工程、仕上がりの美しさや風合いも含めて世界からも独自の織物として評価されています。現在市場で流通している遠州産地の別珍は貫八綾別珍一種類だけとなっていて数年前まで流通していた平織りの別珍は別注生産のみとなっています。貫八別珍と言う呼び名は生機1反の重さが一貫800匁(7.75kg)であることに由来。遠州別珍の剪毛(パイルをカットする作業)は現在でも熟練した職人の手作業によって行われているとても手間のかかる繊細な工程です。
別珍の現在の用途
別珍はジャケットやスカジャン等の冬物衣料や学校・劇場・ホールなどの舞台幕や緞帳、アクセサリー・宝飾品のケース、履物の鼻緒等に使われています。明治期に独自の技術開発によって製造が始まって以降連綿と続いて来た遠州産地の別珍生産は市場・産地背景の縮小や後継者の不在などの要因で存続が危ぶまれている後世に残したい日本を代表する貴重なテキスタイルの一つと言えます。
コーデュロイ(コール天)の特徴
コーデュロイはタテ畝に織った緯糸パイルをカットしてストライプ状に毛羽を立たせた生地で秋冬向けの綿織物の代表的な素材です。保温性があり上品な光沢と凹凸感が特徴で。一般的には丈夫な生地と言う印象がありますが、カットしたパイルが抜けやすい(パイル保持率が低い)、引き裂き強度が弱い、摩擦堅牢度が低い等のデメリットがあるのでデメリットをよく理解して製品を企画する必要があります。基本的には単糸使いよりも双糸のコーデュロイ、VパイルよりもWパイルのコーデュロイが耐久性に優れています。
コーデュロイの種類
コーデュロイは畝の太さに(WALE:ウェール)よって呼び方や用途が変わります。通常は1インチ(2.54㎝)間の畝の本数(ウェール数)で
1㌅間畝本数が8本⇒8コール
1㌅間畝本数が14本⇒14コールの様に呼ぶか
下表のように太コール・細コールなどと呼びます。一般的に太い畝の物ほど地厚になり畝の細い物ほど薄地になります。いずれも厳密な決まりは無いですが下表にコーデュロイのウェール数と良く使われるアイテムを整理してみました。一般的に太畝のコーデュロイ程カジュアルで細い畝の物ほどエレガンスなイメージになります。
1㌅間のウェール数 | 一般的な呼び方 | 良く使われるアイテム |
3本以下 | 極太(鬼)コール | パンツ・ジャケット |
4~8本 | 太コール | パンツ・ジャケット |
9~14本 | 中コール | パンツ・ジャケット |
15~19本 | 細コール | シャツ・ワンピース・ショーツ |
20本以上 | 極細コール | シャツ・ワンピース・ショーツ |
上記以外にも太い畝と細い畝を交互に組み合わせた親子コールや畝をカットしていないピケの様な印象のアンカットコールもあります。またアンカットコールや細い畝のコーデュロイをサマーコールと呼んでショーツなどの春夏向けのアイテムに用いることも多いです。
コーデュロイの素材
コーデュロイは元々綿100%で織られるテキスタイルでしたが、現在では用途によってパイルにウールやレーヨン、麻などを用いた物やポリエステルと綿の交織素材で作られたコーデュロイも流通している。
ベロア
先述したようにフランス語ではベルベットもベロアも同様にvelours(ベロア)と呼びますが、日本国内では一般的にパイル編みの生地のパイルをカットして作られたカットソーの生地をベロアと呼んでいます。ベルベットや別珍は一部のストレッチ規格の生地以外には伸縮性が無いのに対してベロアはベースが編地のため伸縮性があり風合いもソフトで体にフィットしたセットアップ・パンツ・ワンピースを始め様々なアイテムで現代ファッションに何度もブームを起こしてきました。
では、ベロアがいつどこでどんな素材で始めて編まれたのかを調べたのですが正直に言って判りませんでした(たぶん調べ方が悪いor足りない)。基本ベロアはシンカーパイル編み機(丸編み機)を使って編んだ丸編みのパイル編み物の事を指し、現在日本国内では綿ベロア・ポリエステルベロア・レーヨンベロア・トリアセテートベロアや地組織にポリウレタンを編み込んでより伸縮性を持たせたストレッチベロアが流通しています。2000年代の初めには海外セレブから広まったベロアのセットアップの大流行がありましたが、近年(2022年)Y2KファッションとしてZ世代の間でベロアを使用したトラックスーツ等のセットアップに再び人気が出ています。
まとめ
今回ご紹介したベルベット・別珍・コール天・ベロア以外にもフェイクファー・カーペット・タオル等もパイル織物(編物)です。また基布にパイルを樹脂で接着しているタイプ(フロッキー加工)のテキスタイルもあり、そうした商品にベルベットやベロア・ベッチンと言う商品名が付けられて流通しているケースもあるので注意が必要です。いずれにしても商品の用途に応じて生地の特性を理解した上で最適な素材を選んでより良い商品づくりをしていただく為に少しでもお役に立てば幸いです。最後に今回記事を書くにあたってアドバイスをいただいたベルベットと別珍・コール天のテキスタイルメーカーさんと参考にさせていただいたwebページを記載しましたので参考にして下さい。最後までお読みいただきありがとうございました。
情報をいただいたテキスタイルメーカー
アゲハラベルベットはメイド・イン・ジャパンのベルベットメーカーです。…