いまさら聞けない!?織物・編物・不織布の違いと見分け方

おさらい!織物・編物・不織布の違いと見分け方

どっちが古い? 織物(おりもの)VS 編物(あみもの)

&CROP編集部の瀧澤です。

生地(きじ)は取り扱う業界やアイテムによっていろいろな呼び方がされます。生地・服地・布(ぬの)・布帛(ふはく)・ファブリック・テキスタイル… アパレル関連では生地(きじ)と呼ぶことが多く、私のように生地を販売している人は生地屋(きじや)と呼ばれます。インテリア関連ではテキスタイルと呼ぶことも多いです。現在ではテキスタイルやファブリックは織物・編物・不織布を含めた「布(ぬの)全般」を指して使われていますが、元来「布(ぬの・ふ)」は、麻や木綿の織物のことを指していました。textileの語源を語源英和辞典で見るとラテン語のtexo(織る)+ills(されたもの)という意味なので、元来テキスタイルという言葉は織物を指していたのではないかと思われます。しかしアパレル製品のユーザーにとっては服地が編物か織物かということよりもデザインや着用感・機能性が重要で服地が編物か織物かはあまり重要ではなくなり、技術の進化と共にちょっと見ただけでは見分けにくい生地も増えています。それでも作り手側にかかわる一員としては織物・編物・不織布の違いや特徴をきちんと知った上で生地を通してどのような表現や価値提供が可能なのかを考えることは重要だと思います。業界の人にとってはあたりまえと思われる内容ではありますが私見も交えて整理してみたのでご一読いただければ嬉しいです。

織物・編物・不織布の違いと見分け方のおさらい

まずは織物・編物・不織布の違い。繊維・ファッションの業界では常識と思われますが、意外にちゃんと理解していない人も稀(?)に見かけるのでおさらいしておこうと思います。

 

織物(おりもの)

 

織物は経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の組み合わせで出来ています。この経糸と緯糸の組み合わせを織物の組織と言います。そして織物を織るためには経て方向の糸を必要とする生地の長さ(+α)に準備する整経(せいけい)という作業が必要です。整経した経糸を織機にセットして緯糸を打ち込んで行く作業を織ると言います。英語で織物を表すwovenwaveに由来していて上下する波の動きが織物の組織を連想させます。織物・布帛についての詳しい説明は下記の記事も参照してください。

布帛・織物とは

 

編物(あみもの)

編物には経糸は無く一本の糸で作ったループが連結して組織を作っています。英語のknitは結ぶという意味のknotと関連していてループを作って結び目を連結させてつくられる布が編物と考えるとわかりやすいと思います。編物にはいわゆるニットと言われる横方向に往復しながら編地を作る横編(よこあみ)、円形の編み機で筒状に編む丸編(まるあみ)、縦方向に複数の糸を並べて、編地を構成してゆく経編(たてあみ)があります。先に編物には経糸・緯糸がないと言いましたが経編については経糸があり整経作業が必要になります。編物についてはNissennkenさんの記事が詳しくて分かりやすく参考にさせていただいたので下記のリンクも参考にしてください。

第38回 : ものつくり原点回帰シリーズ ~ニット(編み物)~

不織布(ふしょくふ)

 

織物も編物も糸状にした繊維を用いて作られますが不織布は繊維が絡み合って平面(布)を構成しています。不織布で古来から用いられてきたのが羊毛のフェルトです。羊毛フェルトは羊毛が備えている繊維同士が絡まり合う性質を利用して手芸材料や雑貨の他にも羊毛の多機能性を利用した断熱材や音響品、ガスケット等の産業資材等にも幅広く用いられています。そして現在では羊毛以外の天然繊維~化学繊維まで多種多様な繊維素材を不織布として活用する方法が確立されて生活に深く浸透しています。マスク・ティーバック・おむつ・各種フィルター…よく見ると不織布は日常生活の中で欠かせない存在となっています。それらの不織布の製造方法は接着樹脂や熱融着で繊維同士を結合する方法や水圧や機械的な方法で繊維同士を絡み合わせるなど素材や用途によって様々です。不織布についてはやはり日本バイリーンのサイトが分かりやすいのであわせて参考にしてください。

日本バイリーン

不織布とは?を掲載しています。日本バイリーンオフィシャルサイト。バイリーンについてでは、名前の由来、バイリーンの強み、コ…

編物・織物・不織布の見分け方

織物は経糸と緯糸を組み合わせて織られているので生地の端をほぐすと比較的簡単に糸が抜けて織物であることがすぐに判ります。編物には経糸・緯糸がなく組織がループ状になっています、また不織布は糸ではなく繊維がランダムに絡み合い紙のようなシート状になっているので違いを知っていれば通常は簡単に見分けることができます。しかしなかにはハイカウント(細い)糸の経編のような密な組織の生地や羊毛の織・編み物に縮絨加工をしている場合など一見しただけでは見分けにくい場合もあります。それでも織物と編物、不織布の違いを明確に知っていればよく見れば判別することはそれほど難しくありません。生地を見るときにはその生地がどんな組織なのかも含めて織物か編物か不織布かという目で見るようにしていると簡単に判別できるようになります。編物(ニット)は織物と違い伸縮性があると書いてあることが良くあります。たしかに織物に比べて編地の方が組織自体に可動性があるため伸縮しやすい性質があります。しかしストレッチ織物には編物以上に伸縮性のある生地もあり、またトリコット(経編)の生地にはあまり伸縮しないものもあるのでやはり生地の組織をよく見て判断する方が確かです。

編物が先か?編物が先か?

確認された最古の繊維としてサイエンス誌で発表されているのは2009年にハーバード大学の調査チームがグルジア(ジョージア)の洞窟で発見した、およそ3万4000年前の亜麻繊維で糸状に加工されていたそうです。そしてナイル川流域で発見されている最古の織物はおよそ5000年前のものでやはり亜麻繊維を使って手織りされたものです。また現存する最古の編物はレース編みでエジプト王朝(前3000~前525)のピラミッドの遺品ななかから発見されています。人類が最初に利用したのはおそらく亜麻のような植物の繊維と考えられ、環境中で速やかに分解されてしまうため遺跡等の保存物から織物と編物のどちらが古いかを判断するのは難しく現状では推測するしかありません。私見ですが人類が繊維を糸状に加工して最初に作った布は経糸の準備が不要で糸状に加工した繊維を編んだ物だったのではないかと思います。おそらく人類は繊維を糸状に加工して編んだり織ったりする以前に植物の蔓などを編んだ籠のような物を利用していてそこから編んだり織ったりする行為が派生したのではないかと想像します。

籠(かご)を編(あむ)と言うけれど…

 

籠(かご)は古くは縄文前期には作られて利用されていたと言われます。植物の蔓などを編む行為が編物や織物の起源ではないか想像することは難しくはないですが、漁に使う漁網のような必要性から初期の編物が生まれたのではないかと思います。現在のような編み物の原型はシリアの古代遺跡から発見された手編みの小さな帽子や靴下で、かぎ針の様な道具を使って編まれたのではないかと言われています。いずれにしても通常の環境下で容易に分解してしまう天然繊維は土器や石器のように完全に近い形で遺ることは非常に稀で時代を遡るほど事実を知ることが難しくなります。一般的に籠を編むと言いますが実際に籠を作ってみると籠の編始めは繊維を織物のように組み合わせたところに横方向の繊維を編みこんで行くことも多く、籠編には織物と編物の両方の要素があると感じます。またウガンダに現在も伝わる樹皮布「ルブコ(バーククロス)ムトゥバの木の皮を剝いで茹で打木でたたいて薄く延ばす技法で作られ、ハワイをはじめポリネシアで広くつくられて来たクワ科のヴァウケの木の樹皮を叩いて伸ばして作られる「カパ」と呼ばれる樹皮布もともに伝統的な布ですがこれらは織物でも編物でもなくてあえて分類するとすれば不織布になるのではないかと思います。

縄文の布、編布(アンギン)ってなに?

日本各地の縄文遺跡の出土品から縄文時代後期には機織りの技術が普及していたと推測されています。そして機織り(織物)が広まる以前には土器や土面に残された圧痕から織物アンギンと呼ばれる布が広く用いられていたことが知られています。新潟県の津南町や十日町市周辺では明治頃までアンギンの技法による実用品が使われていて、津南町歴史民俗博物館には国の重要無形民俗文化財に指定された編布(アンギン)が展示されています。現代でアンギンと同じ技法で作られているものには簾(すだれ)があり、経糸を交差させた間に緯糸を挟み込む「もじり編み」と呼ばれる技法で作られます。これには経糸と緯糸があることから織と編みの中間の技法と言えるのかもしれません。日本初の人類学者と言われる坪井正五郎は遺跡出土品の圧痕を研究してその編み方を7種類に大別しました。これらの技法は素材や用途によって使いわけられていたと考えられ、編み目と織り目の両方が連続する布の圧痕のある土器も出土しています。縄文時代には織物と編物のような区別は無く、時代が進むにつれてあらかじめ経糸を準備すれば効率良く布を作ることができることから次第に織物が発達したのかも知れません。現代でも整経工程がない編物は小ロットでの生産が可能(経編は別)な一方、織物の生産には経糸を準備するためにある程度のロットが必要となるところは現代も同じだなと感じます。

日本で編み物が発達しなかったのは?(なぜ?西欧で発達したのか?)

日本での編物の歴史は南蛮貿易や江戸時代にキリスト教とともにスペインから伝わったと言われています。しかしニットやカット‐ソーが一般に広く普及するのはやはり終戦後です。一方で前項でも書いたように編むという行為の起源は日本の縄文文化でも1万年以上遡るのほど古くからあったことが判っています。世界で年代が確定している現在の編物に近くて最も古い編物はシリアの古代植民都市から発見された3世紀頃のものでかぎ針に近い形状の針で編まれたのではないかと考えられています。ここからは完全に私見ですが、私たちが編物として認識している現代の様な形の編物の起源は羊や山羊を家畜化して飼うようになりその毛を利用する方法として発展したのではないかと想像します。羊や山羊と生活をしていた遊牧民の遺跡からは羊毛のフェルトやカーペットが多く出土しています。糸に加工しやすく伸縮性や保温性がある羊毛は編むという行為にも適した素材であり、中世以降に西欧で牧畜が広まると共に編物が発達したことからも羊毛の利用と編物の発達にはとても深い関係があるとことがうかがええます。日本では縄文時代の前期からアンギンという編み布が用いられていたけれども後に織物の技術が広まると編む技術は限定されたものになり、中世以降に西欧から伝わることになります。気候風土の違いで日本では牧畜が起こらず獣毛(羊毛)の利用も無かったことが布を作る技術として編物が発達せずに織物だけが発達した理由なのではないかと思います。

織地と編地のバリエーション

織物と編物には経糸と緯糸の組み合わせ(組織)で構成された布と糸のループが連結した組織で構成された布という基本的な違いがあることはわかっていただけたと思います。織物は織機にかけた経糸を上下させて緯糸を打ち込むことで布になり、編物は針などを使って糸のループを連結させて布にします。そして織物も編物もその組織のバリエーションが様々な表現を可能にしていますが織物も編物もそれぞれに基本となる三原組織とそこから派生する組織のバリエーションがあります。ここでは織物と編物のそれぞれの基本の三原組織と代表的なバリエーションについて簡単に解説します。

織物の三原組織

多種多様な織物組織も基本的には平織・綾織(斜文織)・朱子織の三原組織を変化発展させたり、組み合わせて作られています。ここでは基本の三原組織と代表的な織物組織について簡単に解説しています。

平織(ひらおり)

経糸と緯糸が交互に浮き沈みする最も単純で基本的な組織、平滑で安定した布目を構成する。代表的な平織の生地にはブロード・シーチング・羽二重・タフタ・ローン・ウェザー・グログラン・ポプリン・キャンバス・タイプライター…等があります。

綾織(あやおり)

綾織は組織が斜めに表れる織り組織の総称で斜文織(しゃもんおり)とも呼ばれます。平織よりも打ち込み密度を高く織ることが可能で、組織点が少ないので柔らかく厚地の織物ができます。また平織に較べてシワになりにくく伸縮性があり、経糸と緯糸の交差の仕方によって2/1綾・3/1綾・2/2綾などのバリエーションがあります。代表的な綾織の生地にはチノ・ツイル・ギャバジン・カツラギ・サージ…等があります。

朱子織(しゅすおり)

朱子織は繻子織とも書きサテンという呼び名でも馴染みがある組織です。朱子織は綾織に比べても組織点が少なく経てまたは緯の糸が長く浮く組織で光沢があり地厚で柔らかい風合いの布になります。経糸の浮きを多くした朱子織を経朱子、緯糸の浮きを多くした朱子織を緯朱子、光沢のある朱子面を裏面に使うバックサテン等があります。

織物のバリエーション組織

畝織(うねおり)

畝織は平織のバリエーションで横方向に畝の出る緯畝織と縦方向に畝目の見える縦畝織があります。細めの経糸の密にして緯糸に太めの糸や引きそろえた糸を打つことで緯糸を経糸が覆って横方向の畝が現れ、太めの糸を経糸に密度を粗くして緯糸に細めの糸を密に織り込むことで縦方向の畝がはっきり現れます。一般に流通している生地ではグログランも緯畝織の一つです。

斜子織(ななこおり)

斜子織りは経緯ともに2本以上の糸を引きそろえて平織の組織に変化をつけるザックリとした粗い織り方でバスケット織りとも呼ばれます。経緯ともに同じ糸使いにする正則斜子のほか、糸の本数に変化をつけたり他の組織と組み合わせて表現のバリエーションが楽しめます。

二重織(にじゅうおり)

表と裏を同時に織る織り方を二重織と言います。両耳が繋がった袋状に織る袋織りや、表と裏を異素材や配色で織ってリバーシブルにする方法。表と裏を入れ替えながら柄を表現する風通織りも二重織のバリエーション組織です。

梨地織り

梨地織りはアムンゼンとも呼ばれます。組織の接結点をランダムにすることで梨の実の表面のようなザラザラとしたテクスチャーの織り方で強撚糸を用いた薄手の生地は更に肌離れがよくなり夏物衣料にも適した組織の織物です。

紋織(もんおり)

紋織(もんおり)ジャカードとも呼ばれ、織り組織と色糸の組み合わせで柄を織りだす生地の総称です。日本の伝統織物では西陣の金襴(きんらん)緞子(どんす)が有名です。ジャカード織機はパンチカード(厚紙に開けた穴)の有無で経糸の浮き沈みを制御して複雑な柄を織り、このパンチカードを日本では紋紙(もんがみ)と呼ぶことから紋織物と呼ばれます。ジャカード織機が発明される以前の中世ヨーロッパの紋織物ではダマスク織が有名、通常のジャカード織機は紋紙のサイズによって柄のリピートが決まりますが現在では一本一本の糸の動きをコンピューターで制御することで複雑で精緻なパネル柄の作成も可能になりました。また小紋柄の様な単純な繰り返し模様には16枚の紋板を用いる操作が簡単なドビー織機がありこの織機で織られる織物をドビー織りと言いシャツ地などに使われます。

綴織り(つづれおり)

綴織りは古来から織られてきた柄織の技法です。古くは紀元前15世紀エジプト第18王朝のトトメス3世の墓から麻の綴織が出土しています。機に張った経糸に太めの色糸で図柄を織ることで経糸が隠れて絵画のような柄表現が可能で日本でも西陣織が良く知られていますが、西欧には有名な綴織のタペストリーが多数現存している他、古代エジプトのコプト織南米のプレインカ時代の織物やアメリカインディアンのナバホブランケット、アジア地域のキリムなども良く知られていて世界各地に綴技法の織物が伝わっています。

パイル織

パイル織物は日本では添毛織(てんもうおり)とも呼ばれ平織や綾織の地にパイルを織りだした織物の総称です。タオルやベルベット・別珍・絨毯・フェイクファーなどがパイル織物です。パイル織には経糸をパイル上に織りだす経パイル織(タオル・ベルベット・モケット・絨毯)と緯パイル織(別珍・コーデュロイ)があります。また織りだしたパイルをそのままのループパイル(タオルなど)とループをカットするカットパイル(ベルベット・別珍・コーデュロイなど)があります。またラグなどに使われる図案に合わせて経糸に緯糸を結んで織るノッティングという織り方もあります。

捩り織り(もじりおり)

並列して隣り合った経糸を交差させて緯糸を織り込むことで織地に交差した隙間ができる織り方を捩り織り(もじりおり)または絡み織り(からみおり)と言います。捩り織りには紗(しゃ)・羅(ら)・呂(ろ)という織り方があってレースの様な透け感のあるテクスチャーが特徴です。

編物の三原組織

ここでは編地の基本となるヨコ編み三原組織を簡単にご紹介します。編物も織物同様に基本となる組織を組み合わせたり変形させて様々な組織が作られます。

平編み/天竺/メリヤス編み

編物の基本の組織で表面がすべて表目、裏面がすべて裏目になっています。Tシャツなどに最も多く使われていて表と裏の違いがハッキリしています。縦方向に組織が並んで見えて表面は平滑ですが裏面はやや粗く見え、横方向へ伸縮性があります。表と裏の組織が異なるためカーリング(生地の耳がまくれる)が起こりやすい組織です。

リブ編み/フライス編み/畦編み/ゴム編み

表目と裏目を交互に編む両面が同じ組織になる編み方です。表目と裏目が交互(1×1)の組織以外にも表表裏裏(2×2)表表裏表表(2×1)など色々な組み合わせの組織があります。平編みよりもさらに横方向の伸縮性があるのでゴム編みと呼ぶことや縦(ウェール)方向に筋がハッキリ見えるので畦編みとも呼ばれます。また生地の名称ではフライスと呼ぶことが多いです。表裏がないためカーリングもなく伸縮性が大きいのでアンダーウェアや袖口・首回りのリブ・靴下などに良く使われています。

パール編み/ガータ編み

表目と裏目を横方向に交互に編まれた編地で表裏が同じ組織になり横方向に筋が表れます。平編みに比べ地厚で弾力のある編地で縦方向の伸縮性が大きいのが特徴です。婦人物のセーターやニットなどに多く使われています。

代表的なカットソー生地の種類(組織)

スムース

スムースはゴム編みを重ねて編む両面編みの組織で表裏とも平滑で伸び戻りも優れた安定性のある型崩れのし難い編地で表面裏面とも滑らかで肌触りが良いことからスムースと呼ばれています。

鹿の子

鹿の子(かのこ)は平編みをベースに下段から編み目を引き上げて透かしや凹凸を作るタック編みという編み方を組み合わせた編地で、組み合わせ方によって様々な鹿の子編み組織があります。見た目が鹿の模様のように見えることから鹿の子と呼ばれ、タック部分に凹凸感と通気性があることで肌離れが良くポロシャツやスポーツシャツなどに多く使われます。

ポンチ・ローマ

両面編みの手法で編まれたダブルジャージのひとつでポンチ・ローマを略してポンチと呼ばれることが多いです。滑らかな表面感とハリ、適度な伸縮性がありシワや型崩れしにくいしっかりとした生地感でキレイ目のTシャツからプルオーバー・スカート・パンツ・ワンピース・パンツ・ジャケットと幅広いアイテムに使用されます。

パイル編み

パイル編み平編みの一種で二本の糸を同時に編みながら片方の糸でループにしてゆく編地です。吸水性のある綿などの繊維で表面積が多きくなるのでタオルなどに用いられます。パイル編みには片面パイルと両面パイルがあり、ベロアもパイル編みのループをカットして作られます。また編地のフェイクファーもパイル編みで編んだループをカットして毛並みを加工して作られています。

裏毛(うらけ)

裏毛編み裏パイルとも呼ばれ通常は表面が平編みの変化組織(添え糸編み)の一種で表の地糸よりも太い甘撚り糸を添えて何目か飛ばしながら編む組織です。保温性・吸汗性のある編地でスウェットやトレーナなどのカジュアルウェアに広く用いられています。

サーマル

サーマルまたはワッフル編みとも呼ばれ立体感のある凹凸が空気を含む層の多い組織で保温性に優れていながら肌離れが良くアウトドアやミリタリーのインナー素材などに良く使われています。

テレコ

テレコゴム編(フライス編)の一種で編み針を一定の間隔で抜き取って編むことで畦が表と裏に互い違いに出ることからテレコと呼ばれます。針を抜く間隔によって「2×1」「2×2」「3×1」 「3×3」などの種類があり、Tシャツ・タンクトップ・ワンピース・パンツなど幅広いアイテムに使われています。

経編(たてあみ)

前項までに紹介した編み組織はすべてヨコ編み組織です。ヨコ編みを円筒状に編み進むのが丸編みなので基本的にヨコ編みと丸編みには同様な組織があります。そして編物にはもう一つ経編という編み方があります。通常の編物には経糸はありませんが経編は複数の経糸を編み合わせてゆく方法で織物と編物の中間の性質を有しています。主な経編機にはトリコット機とラッセル機がありインナーウェアやスポーツウェア、裏地などの衣料用途ばかりでなく医療用資材、農業資材、産業用資材など幅広い分野で利用されています。

まとめ

太古から行われてきた人が布を作る技術は編む・織る・絡ませる…そして木の皮を叩いて伸ばして布にする方法までとても多様で奥が深いなと改めて感じました。そして日本の縄文遺跡から出土する土器や土面に残る布の跡からはアンギンという現代の経編を思わせる技術が使われていて素材や用途に合わせていくつもの組織を使い分けていたことがわかってきました。あらためて編物・織物・不織布の違いや性質を認識しなおすことで既成概念にとらわれない新しいアイデアや企画につながれば楽しいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。

最新情報をチェックしよう!