&CROP編集部の野崎です。
スピンドルの紐先加工について、「この加工をやりたいんですけど…」と、お客さまから画像付きでお問合せをいただくことがあります。
また、「金属チップ」だと思って発注したけれど、実は欲しかったのは「弾丸チップ」だったり、「シリコンチップ」だと思っていたら、イメージしていたのは「シュリンクチップ」だった!なんてことも。このように、加工の名前が分からなかったり、呼び方とイメージが食い違っていたりするケースは意外と多いんです。
実はスピンドルの紐先加工には、意外とたくさんの種類があります。シンプルなものから、ロゴを入れられるこだわり仕様までさまざま。そこで今回は、紐先加工の「名称」「見た目」「印象」「コスト感」までをまとめてご紹介します。服づくりのヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
それ、実は違う名前かも?紐先加工のよくある誤解
金属でできたチップは全て”金属チップ”?
金属製の紐先加工は、すべて「金属チップ」と思われがちですが、実は大きく2種類に分けられます。それが「金属チップ」と「弾丸チップ」です。金属チップは、金属の板を円筒状に巻いた形状で、先端から覗くと紐が見えるタイプ。一方、弾丸チップは先端が丸く閉じられており、弾丸のようなフォルムが特徴です。どちらも金属製ですが、弾丸チップ加工にしたい場合は、明確に「弾丸チップ」と指示をしないと、通常の金属チップで仕上がってしまうため注意が必要です。


最近よく見るけど名前がわからない、樹脂がキュッとなった紐先加工
近年、スポーツテイストのアパレルでよく見かけるのが「シュリンク加工」です。名前がわからず、「固結びを覆ったようなセルチップ」「シリコンのチップ?」などとお問い合わせをいただくこともあります。シュリンク加工は、熱で収縮するチューブを紐先に通し、工業用ドライヤー(ヒートガン)で収縮させる加工です。収縮させるだけでは抜けやすいため、固結びをしてからチューブを収縮させるのが一般的です。

シリコンチップとTPUチップの違いが分からない?!
シリコンチップは、スピンドルの紐先にセルチップを施したうえで、シリコン製の後付けパーツを被せる加工です。一方、TPUは柔らかく高級感があり、TPUは丈夫でシリコンよりも汚れにくいという特徴があります。


印象・使用シーン別 紐先加工の選び方
カジュアルウェア・メリハリを付けたいとき
カジュアルウェアでメリハリのあるワンポイントを加えたい場合は、金属チップ加工がおすすめです。
金属チップ加工

金属チップ加工は、金属の板を紐先に巻き、円筒状に成形した加工です。セルチップ加工と比べると価格はやや高めですが、金属製チップの中では比較的リーズナブルで、最も一般的に使われている基本の加工です。紐の太さに応じてサイズがあり、カラー展開はシルバー・ブラックシルバー・ゴールド・アンティークゴールドなど(※メーカーによって異なります)。1本から製作可能ですが、小口代をかけずに作成する場合は100本(1色・1サイズ)から対応可能です。


「よくある加工は避けたい」「少しコストが上がっても、他と違う仕上がりにしたい」という方には、以下のような加工もおすすめです。
ヴィンテージチップ加工
「ヴィンテージ」と聞くと少し錆びたような印象を持つかもしれませんが、ここで紹介するヴィンテージチップ加工は、金属チップの先からわずかに紐がはみ出るタイプの加工です。一昔前に主流だった仕様で、現在でもミリタリーテイストのウェアなどに使われています。通常の金属チップより価格は上がりますが、さりげないアクセントとして使えます。

フラットメタルチップ
一般的な金属チップが筒状であるのに対し、平紐に合わせて平らに仕上げるのがフラットメタルチップ。金属の面積が広くなることで存在感が増し、天然素材の紐とも相性が良いです。

服のデザインを邪魔しないシンプルな加工
服のデザインを邪魔しない、最もシンプルで安価な加工がセルチップ加工です。
セルチップ加工

最もベーシックかつ安価な加工がセルチップです。透明な樹脂で紐先を固めた加工で、軽量・錆びにくい点から靴紐にもよく使用されています。カラーセルチップの展開もあり、1本から製作可能。小口代なしで作成する場合は、100本(1色・1サイズ)から対応できます。シンプルに、でもセルチップ加工よりも高級感を出したいというときは、同色のシリコンディップ加工もおすすめです。
シリコンディップ加工
シリコンディップ加工は、液体シリコンに紐先を浸し、固める加工です。セルチップよりもスポーティーかつ高級感があり、手触りもソフト。海外の工場で対応しているためロットが大きい方がコストは抑えられますが、300本程度でも作成は可能です。同色でまとめるとシンプルな印象に、あえて異なる色で仕上げればデザイン性も演出できます。受注に合わせて調色するため、パントーンを指定すればブランドカラーに合わせた色指示も可能です。

スポーティーに見せたい場合
シュリンクチップ加工
熱収縮チューブを紐に通し、ヒートガンで収縮させて仕上げる加工です。多くの場合、固結びの上から収縮させます。スポーティーな見た目でアウトドアウェアやスポーツウェアに人気の加工です。黒・白・透明などの基本色に加え、その他カラーも複数展開。チューブは紐の太さに合わせて複数サイズあり、1本(1m)単位で購入できるため、比較的小ロットで使いやすいのも魅力です。

シリコンチップ加工
成型されたシリコンパーツを、セルチップの上から後付けで取り付ける加工です。価格はセルチップ+シリコンチップ代+加工費となるため高めですが、高級感とこだわりを演出できます。定番は白と黒の2色展開。ロゴ入りやカラーオーダーも可能です。サイズは2種、定番品のロットは1個〜(経済ロット31個〜)。

TPUチップ加工
シリコンチップよりもコストを抑えたい、という場合はTPUチップがおすすめです。TPUチップ加工は、TPU(熱可塑性ポリウレタン)素材を使ったチップ加工です。シリコンよりも安価で、汚れやホコリが付きにくく耐久性にも優れています。シリコン同様にセルチップ加工を施した紐先に後付けで接着します。定番サイズは3サイズ、カラーは4色あり、定番品であれば1本からでも加工可能です。(メーカーによって異なる)

ロゴを入れてオリジナリティを高める紐先加工
さらにオリジナリティを加えたい、チップ加工でこだわりを表現したい、という場合はオリジナルロゴを入れた紐先加工もおすすめです。
金属チップにレーザーでロゴ入れ
紐先の金属チップにレーザーでロゴを入れることができます。金属にレーザーをあてると、一層メッキが剥がれたような少し薄い色になります。ロゴが入っていることがあまり目立ちすぎず、でも気が付いた時にこだわりを感じられるような加工です。レーザー加工は金型を作成する必要が無いので、初期費用はレーザーデータ代(メーカーとデータ内容にもよりますが、約1~2万円ほど)のみで比較的手軽に作成できます。

後付け金属パーツ × バンピーレーザー
通常の金属チップに比べて厚みのある後付けタイプの金属パーツには、バンピーレーザー(強めのレーザーで凹凸をつける加工)も可能です。型を作ったような立体的な仕上がりになり、より高級感を演出できます。

オリジナル型で作るロゴ入りシリコンチップ
型から成型するシリコンチップ加工なら、好きな色・ロゴ・マークなどを自由にデザインできます。スポーティーな印象に加え、凹凸のロゴが高級感を演出。シリコンは色も選べるので、存在感も抜群です。細部までこだわりを感じることができるため、高級ラインのゴルフウェアなどで採用されています。シリコン成型の型を作る必要があるので、初期費用として金型代が必要です。

シリコンディップ加工にプリントでロゴ入れ
シリコンディップした紐先にプリントでロゴを入れることができます。ロゴ入りシリコンチップと比べて、凹凸が無くフラットな見た目なのですが、それがシリコンディップのマットな質感と相まって、ワンランク上の上品さがあります。金型作成の必要が無いので、初期費用はプリント版代のみで作成できます。ロゴプリントの堅牢度(色落ちのしやすさ)はサンプルを作成してテストする必要があります。

まとめ
印象やデザイン、ロット・コストから最適な加工を選ぶために
今回は、スピンドルの紐先加工について、名称の違い・印象・用途・ロット・コストの観点からご紹介しました。紐先加工は種類が多く、呼び方が曖昧だったり、業者間でも認識が異なることがあります。
「頼んでみたら、イメージと違うものが仕上がってきた…」という事態を防ぐためにも、可能であれば画像やサンプルを使ってやり取りをするのがおすすめです。
&CROPを運営する株式会社クロップオザキでは、スピンドル加工に関するご相談・ご注文も承っています。「どれを選んだらよいか分からない」「コスト感を知りたい」など、ぜひお気軽にご相談ください。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。