&CROP編集部の野崎です。
アウターやスポーツウェア、バッグなどでよく見かける「ドローコード仕様」。
シンプルな仕様に見えますが、実際にはスピンドル(紐)だけでなく、ストッパーやハトメ、固定用テープなど、複数の副資材を組み合わせて作られています。「どのパーツが必要なの?」「必ず使うものと、なくてもよいものの違いは?」「どんな組み合わせを選べばいい?」このように迷う方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ドローコード仕様に使用される5つのパーツの役割や選び方、組み合わせ方を分かりやすく解説します。仕様設計や副資材選定の参考にぜひご活用ください。
ドローコードとは?まず知っておきたい基本
ドローコードとは、引っ張ることでサイズやシルエットを調整するための紐のことです。パーカーのフードやパンツのウエスト、袖口、パンツ・ジャケットの裾など、さまざまな箇所で使われています。近年はアウトドアウェアやスポーツウェアの人気が高まるにつれ、パンツやジャケットの裾にドローコードを取り入れたデザインも増えています。本記事では、「パンツやジャケットの裾に使われるドローコード」を中心に解説します。
ドローコードの役割
ドローコードには、以下のような役割があります。
- サイズを調整する
- シルエットを変える(丸みを出したり、細く見せたりする)
- 風や雨の侵入を防ぐ
- デザインのアクセントにする
もともとは絞ることで雨や風の侵入を防ぐ、機能的な目的で使われていましたが、近年はシルエットにも変化をつけられることから、ファッションの観点からも広く取り入れられています。ドローコードの仕様では、スピンドル(紐)以外にもさまざまなアパレル資材を使用します。ここからは、その種類と選び方について解説します。
ドローコード仕様に使われる5つのパーツ
ドローコード仕様には、スピンドル(紐)とストッパーが必須パーツです。それ以外に、用途に応じて選べるオプションパーツが3つあります。
- スピンドル(紐) ※必須
- ストッパー ※必須
- リング
- 固定用テープ
- ハトメ
スピンドル(紐)
パンツやジャケットの裾のドローコード仕様には、ゴムスピンドルが多く使われます。ゴムスピンドルは、ゴム(ポリウレタン)を芯材として外側を糸で編み込んだ丸紐です。伸縮性があるためフィット感を調整しやすく、機能性とデザイン性を兼ね備えています。
ゴムスピンドルの太さ
ドローコード仕様では、2mm・2.5mm・3mmの3種類の太さがよく使われます。太いほど耐久性がある一方、存在感も増すため、デザインのイメージに合わせてお選びください。2.5mmが標準的なサイズで、2mmは薄手の生地にも馴染みやすく、3mmはアウターなどでコードに存在感を出したいときに適しています。
ゴムスピンドルの硬さ
ゴムスピンドルには、ほとんどのメーカーでソフトタイプとハードタイプの2種類が展開されています。ソフトタイプは風合いが柔らかく、表生地の質感に合わせて使いたいときにおすすめです。ハードタイプは硬めの風合いでキックバック(伸びた後に戻ろうとする力)がしっかりしているため、生地にハリがある場合や、スピンドルに強度を求めるときに適しています。
ゴムスピンドルのカラー
また、ゴムスピンドルはカラーバリエーションも豊富です。メーカーによって取り揃えている色が異なるため、生地の色に合わせてメーカーを選定するとよいでしょう。
主なメーカー(ブランド)名と品番
- ROSE:3112T(ハード)、3112TS(ソフト)
- SHINDO:SIC-3141(ハード)、SIC-3140(ソフト)
- こるどん:EE-200・250・300シリーズ(ハード)、SB-20・25・30シリーズ(ソフト)
※こるどんは太さによって品番が異なります。
ストッパー
ストッパーは、ドローコードを任意の位置で固定し、長さや絞り具合を調整するためのパーツです。スピンドルと組み合わせて使うのが一般的で、裾やフード、ウエストなどさまざまな箇所で採用されています。
最もよく使われているのは、ばねの力でコードを固定する「ばねタイプ」です。デザインのバリエーションが豊富で、生地と同色に染めて使用できる種類もあります。
また、小型の「ブタバナタイプ」のシリコンストッパーが使われることもあります。ばねタイプよりも構造がシンプルで小型化しやすく、裾にさりげなく取り付けたい場合に使いやすいパーツです。
ストッパーの穴タイプ
ストッパーには1穴タイプと2穴タイプがあり、通すコードの本数や仕様によって使い分けます。パンツやジャケットの裾のドローコード仕様では、2穴タイプが多く使われます。
- 1穴タイプ:1本のコードを通す仕様(パーカーのフードなど)
- 2穴タイプ:ループ状のコードや2本のコードを通す仕様(アウターやパンツの裾など)
ストッパーを生地に固定したい場合は、固定用テープを通す穴(テープ穴)が付いたタイプを選ぶと便利です。ストッパーがぶらつきにくくなり、片手でも調節しやすくなります。
なお、ストッパーは使用するゴムスピンドルの太さに合った穴径のものを選ぶことが重要です。実際にコードを通してみて、抜けやすさや操作性をサンプルで確認してから量産仕様を確定させることをおすすめします。
&CROP編集部の野崎です。 カジュアルウェアやスポーツウェアなど幅広く使われるコードストッパー。形状や穴の数、素材などさまざまな種類があり、アイテムや用途によって使い分けることができます。今回は、コードストッパーの3つの種類と、[…]
リング
リングは、ドローコードの先端に取り付け、コードを引っ張りやすくするためのパーツです。必須ではありませんが、指でつまみやすくなりドローコードをスムーズに調整できます。特に、手袋を着用することが多いアウトドアウェアやスポーツウェアでは、操作性の向上を目的に採用されることがあります。
機能面だけでなく、製品のデザインアクセントとして使われることもあります。素材やカラーを他の副資材と合わせることで、統一感のある仕上がりになります。
固定用テープ
固定用テープは、コードストッパーを生地に固定するためのテープです。ストッパーのテープ穴に通して生地へ縫い付けることで、ストッパーのぶらつきを防ぎ、片手でもドローコードを調節しやすくなります。使用するテープに決まりはありませんが、丈夫で適度な厚みがあるグログランテープがよく使われます。ストッパーの穴幅に合わせてテープ幅を選び、製品のデザインに合わせて素材やカラーを選定しましょう。
なお、ゴムスピンドルと同じメーカーのテープを選ぶと色味を揃えやすく、統一感のある仕上がりになります。
主なメーカー(ブランド)名とポリエステルグログランテープの品番
- ROSE:6014、6055(リサイクルポリエステル)
- SHINDO:SIC-199、SIC-190(ペタシャム)
ハトメ
ハトメは、ゴムスピンドルを通す穴を補強するためのパーツです。コードとの摩擦による生地の傷みを防ぐだけでなく、デザインのアクセントとしても活用されています。ドローコード仕様において必須のパーツではなく、製品によってはミシンかがりや切り込みでコードを通す穴を作る場合もあります。ただし、強度や見た目を重視する場合はハトメの使用がおすすめです。
ハトメのサイズ・カラー
パンツやジャケットの裾のドローコード仕様では、YKKスナップファスナー社の#200・#300や、モリト社のSE200・SE300などのサイズがよく使用されます。これらは金属ハトメですが、シルバーやゴールドなどのメッキ仕上げのほか、ツヤあり塗装・マット(ツヤ消し)塗装などさまざまなカラー・仕上げが展開されており、製品のカラーや雰囲気に合わせて選ぶことができます。
ハトメ使用時の注意点
ハトメの取り付けには、専用の打ち機・打ち駒が必要です。工場によって対応できるサイズや種類が異なるため、事前に設備を確認しておきましょう。また、薄手の生地や伸縮性の高い生地ではハトメが抜けやすくなることがあります。必要に応じてパッキンを使用したり、芯地で補強したりして強度を確保してください。
なお、金属ハトメ以外にも、プラハトメやシリコンハトメ、圧着ハトメなどを使う場合もあります。ハトメの種類や選び方については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
&CROP編集部の野崎です。 スピンドル(紐)が通る穴に使われることが多いハトメ。パーツとしては小さく目立ちにくい存在ですが、デザインのアクセントとして活かすことができます。ハトメまでこだわって選ぶことで、細部へのこだわりが伝わり、ブラン[…]
パーツの組み合わせ方 | 仕様パターン別
|
仕様パターン |
使用パーツ |
| シンプルな基本仕様 | ゴムスピンドル+ストッパー |
| ストッパーを固定したい | ゴムスピンドル+固定用テープ穴付きストッパー+固定用テープ |
| 引っ張りやすさを重視したい | ゴムスピンドル+ストッパー+リング |
| 穴をきれいに仕上げたい | ゴムスピンドル+ストッパー+ハトメ |
ドローコード仕様にするうえで確認しておきたいこと
特殊仕様は工場の設備を事前に確認
縫製タイプや圧着タイプのストッパーを使用する場合は、縫製工場で対応できるかどうかを事前に確認しましょう。ハトメも同様に、打ち機で取り付けるタイプを使用する場合は打ち機・打ち駒の有無を、圧着ハトメを使用する場合はプレス機の有無を確認してください。
サンプルで必ず動作確認を
ストッパーはスピンドルとの相性が重要です。穴径やスピンドルの太さによっては、ストッパーが調節しづらい、または固定されにくいといった問題が生じることがあります。量産仕様を確定する前に、必ずサンプルを作成して動作を確認してください。また、圧着ストッパーや圧着ハトメを使用する場合も、生地との相性が重要です。指定の接着条件で処理したうえで、強度に問題がないかをサンプルで確認するようにしてください。
まとめ
今回は、パンツやジャケットの裾のドローコード仕様によく使われるパーツをご紹介しました。
ドローコード仕様は一見シンプルですが、ゴムスピンドルやストッパーを基本に、用途に応じてリングや固定用テープ、ハトメなどを組み合わせて構成されています。すべてのパーツを使う必要はなく、製品の用途・デザイン・操作性・製造方法に合わせて必要なものを選ぶことが大切です。また、ストッパーやハトメなどは工場の設備によって対応できる仕様が異なる場合もあるため、設計段階で確認しておくとスムーズです。
クロップオザキでは、ドローコード仕様に必要なアパレル資材のご提案・販売を行っています。「どのパーツを選べばよいかわからない」「製品に合う仕様を相談したい」という方は、お気軽にお問い合わせください。
ここまでお読みいただきありがとうございました!