検針問題や変色も!アパレルで知っておきたい金属パーツの注意点

&CROP編集部の野崎です。
洋服にはさまざまな素材の副資材が使われています。貝や水牛の角などの天然素材から、プラスチック、金属など人工素材までたくさんありますが、その中でも金属製の副資材は種類が多く、ホック、タックボタン、ドットボタン、ファスナー、チャームなど、多様なアイテムに使われています。一方で、金属という素材はアパレル用途において特有のリスクを持っています。注意を怠ると、生産工程や消費者が使用した際にトラブルへと発展してしまうことも少なくありません。そこで今回は、金属パーツを使う際に押さえておきたい4つの注意点をご紹介します。製品づくりの参考にしていただければ幸いです。

検針への対応

アパレル製品は出荷前に「検針」という工程を必ず通ります。これは、縫製工程で折れ針などの金属片が混入していないかを確認する工程です。もし折れ針が製品に残って消費者にケガをさせてしまった場合、PL法に基づき製造者の責任となり、大きな問題になります。そのため、検針は安全性確保のために欠かせません。

検針機

検針についてはこちらの記事で詳しくまとめておりますので、ぜひご覧ください。

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検針対応の金属パーツを選ぶ

検針は「検針機」という金属探知機のような機械で行われます。この機械は金属に反応するため、折れ針だけでなく製品に付属している金属パーツにも反応してしまいます。そこで使用されるのが「検針対応」の金属パーツです。これらは検針機に反応しにくいよう調整されているため、検針対応品を選び検品工程がスムーズ進められるようにしましょう。

どうやって見分けるの?

検針対応かどうかは、資材のサンプル帳に明記されていることが多いです。写真のようなマークがついていたら、検針対応の商品ということになります。検針にも段階がいくつかあり、アパレルブランドによって定めている基準も異なりです。

検針対応品のマーク

金属パーツを使う数にも注意

検針対応のパーツであっても、1着に何個もの金属パーツを使ったり、金属パーツが重なったりすると、検針機が反応してしまい正常に検針できないことがあります。量産段階で「検針が通らない」と判明すると、X線検査やハンド検針などへの検針方法の切り替えが必要になり、コストも納期も大きく影響します。事前のサンプル生産段階で確認しておくことを強くおすすめします。

金属メッキパーツで代用の検討も

一見すると金属のように見える、樹脂に金属メッキを施したパーツに置き換える方法もあります。例えばボタンであれば、ABS樹脂に金属メッキをかけた「ABS樹脂ボタン」がその代表例です。この場合、実際に使用している金属量が少ないため、検針機にも反応しにくく、金属らしい見た目を保ちながら安心して使うことができます。さらに、樹脂は金属よりも軽量なため、薄い生地にも取り付けやすく、複数使っても製品が重たくならないというメリットがあります。一方で、軽い分、どうしても金属特有の重厚感は弱まり、「ややチープに見える」という声もあるのも実情です。製品のターゲット層やデザインイメージに合わせて、選び分けることが大切です。

 

金属パーツの変色・腐食

金属は素材の性質上、環境や化学薬品との反応によって変色や腐食が発生します。外観品質を損なうだけでなく、クレームや返品に直結するため注意が必要です。ここではよくある事例を2つ紹介します。

汚れ落とし材が反応

縫製工場では、ミシン油や手汚れなどが生地に付着することがあります。特に白い生地を使用した製品の場合、強めの汚れ落とし材を使用するケースが多いのですが、その薬剤が金属パーツに付着したりメッキ成分と空気中で化学反応を起こすことで金属パーツの腐食や変色を引き起こすこともありますので注意が必要です。

金属ファスナー

ウールの洗浄剤と反応

ウール製品は、原料段階での洗浄時に使う塩素系の洗浄剤が残留することがあります。その成分が輸送中に気化し、密封された製品袋内で金属ボタンやリベットと反応して腐食を起こすケースが報告されています。ウール製品に金属パーツを使う場合はリスクが高いため、金属パーツの使用を避ける、密閉せず通気性のある状態で梱包・輸送する、金属パーツのメッキに被膜をつけ保護する意味でクリア加工などを施すことが必要です。

生地との相性が重要

打ち付属(タックボタン、ドットボタン、リベットなど)は、専用機械で穴を開けて取り付けるため、生地との相性が重要です。相性が悪いと、パーツが外れる、布が裂けるなど製品不良に直結しますので使用箇所や生地との相性の事前チェックが必要になります。

ドットボタン

 

薄い生地・伸縮性のある生地は特に注意!

薄い生地やストレッチ素材にそのまま打ち付属を取り付けると、取付時にあけた穴が着用時に広がったりして外れてしまうことがあります。対策として、芯地を部分的に貼って補強したり、パッキンを挟んで厚みを増しカシメ圧力を強めて穴を広げないようにすることなどが有効です。

ドットボタンを打ち付ける様子

サンプルで相性を確認する

量産前のサンプル段階で金属パーツと生地や仕様との相性を確認しましょう。さらに量産品を生産する工場で検証できると理想的です。工場ごとに所有している打ち機のメーカーや打ち駒の種類が異なることがあるため、サンプル時に確認しておけば「量産時に打ち機や打ち駒が合わず生産できない」といったトラブルを防ぐことができます。

肌に直接触れる部分は、金属アレルギーに注意

現在、日本人の約10人に1人は金属アレルギーを持つといわれています。特にハトメ、衿吊りチェーン、金属チャームなど肌に触れるパーツは注意が必要です。

ハトメ
衿吊りのチェーン

品質表示や下げ札で注意喚起を

肌に触れる可能性がある金属パーツを使用する場合は、品質表示や下げ札に「金属パーツ使用・金属アレルギーへの注意喚起」を明記しておくと親切です。消費者への安心感を高め、万が一のトラブルを防ぐ先手の対応になります。

アレルギー対応パーツを活用

一部メーカーでは「ニッケルフリー」や「アレルギー対応」の金属パーツも展開されています。選択肢は限られますが、ブランドの信頼性を高める要素として活用を検討するのも良いでしょう。特に子供服(2歳児以下)においては、敏感な肌でニッケルメッキでかぶれなどの症状を引き起こす可能性があるため、ニッケルフリーのパーツを使用するようにしましょう。

ニッケルフリーメッキボタン

まとめ

今回は、金属パーツを使用する際の注意点を4つご紹介しました。

  • 検針への対応
  • 変色・腐食のリスク
  • 生地との相性
  • 金属アレルギー

金属パーツは製品のデザイン性や機能性を高める一方で、見落としがちなリスクを抱えています。サンプル段階から正しい知識を持って対応することで、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。&CROPを運営するクロップオザキでは、金属パーツをはじめ幅広い副資材を取り扱っています。資材選びに不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。安全性と品質に配慮した製品づくりを一緒にサポートいたします。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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