&CROP編集部の野崎です。
以前、裏地の選び方として「タフタ」「ツイル」「サテン」の3種類の織り方の裏地をご紹介しました。
こんにちは。&CROP編集部の野崎です。 服づくりで裏地を選定しているとき「どのように選べば良いんだろう?」と疑問に思う事はありませんか?今回は、織りの裏地に限定し、「タフタ裏地」「サテン裏地」「ツイル裏地」の3種類の特長と使い分[…]
裏地には、着用したときの滑りやすさを向上させたり、汗を吸収したり、動きに追従したりと、着心地を良くするためのさまざまな機能が備わっています。今回はそんな裏地の「機能」に着目して、裏地に求められる機能の種類や素材・機能素材をご紹介します。機能裏地を正しく選ぶことで、製品の着心地・快適性・付加価値は大きく変わります。「裏地の機能性を重視したい」「着心地の良い製品づくりをしたい」という方は、ぜひお読みいただけたら嬉しいです。
裏地に求められる7つの機能
裏地に求められる機能は、春夏物と秋冬物でも異なりますが、主に7つあります。
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機能 |
主なシーズン | 説明 |
| 吸湿性・吸汗性 | 春夏 | 汗や水蒸気を吸収しべたつきを防ぐ |
| 吸水速乾 | 春夏 | 汗を素早く吸収・乾燥させドライに保つ |
| 接触冷感 | 春夏 | 触れた瞬間のひんやり感で涼しく快適に |
| 帯電防止 | 秋冬 | 静電気によるまとわりつき・パチパチを防ぐ |
| 蓄熱保温 | 秋冬 | 体熱を蓄えて衣服内を暖かく保つ |
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吸湿発熱 |
秋冬 | 水蒸気を吸収して自ら発熱する |
| ストレッチ性 | 通年 | 伸縮で体の動きに追従し窮屈さを解消 |
それぞれの機能について詳しく解説します。
吸湿性・吸汗性
吸湿性・吸汗性とは、体から出る汗や水蒸気を吸収する機能のことです。「夏場に裏地が体に張りついて気持ち悪い…」という経験はありませんか?吸湿性・吸汗性が低い裏地を使うと、生地の表面に水分が残ってしまい、肌に触れたときにべたついたり、張りつく原因になってしまいます。特にスカートやワンピースに使用する裏地は、肌にまとわりつくことで歩きにくくなってしまいます。素材選びの段階で吸湿性を意識することでトラブルを事前に防ぐことができます。
吸湿性・吸汗性に優れた素材
基本的に化学繊維よりも天然繊維のほうが吸湿性・吸汗性に優れています。これは、綿などの天然繊維が本来成長するために水分をため込んだり、放出したりする機能を備えているからです。
吸湿性・吸汗性に優れた代表的な素材としては、キュプラ(ベンベルグ)、綿(コットン)、シルク(絹)、レーヨンなどが挙げられます。中でもキュプラは、吸湿性の高さに加えて光沢感や滑らかな肌触りも備えており、ジャケットやコートの裏地として幅広く採用されている素材です。
吸水速乾
吸水速乾機能とは、かいた汗を素早く吸収し、短時間で蒸発させることで肌触りをドライに保つ機能のことです。吸湿性・吸汗性が「汗や水蒸気を吸収する力」に着目した機能であるのに対し、吸水速乾は「吸収した水分を素早く蒸発させる力」も兼ね備えている点が特徴です。吸水速乾素材は、スポーツウェアの裏地として採用されるケースが多いです。「動いても蒸れにくく、汗をかいてもすぐ乾く」という着心地の良さが、スポーツ・アクティブ系アイテムのブランド価値向上につながっているのだと思います。
吸水速乾に優れた素材
本来であれば吸水性に劣るポリエステル繊維ですが、繊維の構造や形状を工夫することで吸水速乾機能を持たせた素材があります。たとえばポリエステル繊維の断面を工夫する(異形断面糸を使う)ことで毛細管現象を編み地に応用した「フィールドセンサー®」や「クールマックス®」「エアファイン®」などが代表的です。
これらの素材はいずれも吸水速乾機能を持ちますが、風合いや伸縮性、コスト感などにそれぞれ違いがあります。アイテムの用途や価格帯に合わせて選定することが重要です。

接触冷感
接触冷感とは、肌が生地に触れた瞬間にひんやりと感じる機能のことです。熱伝導率が高い素材を使用することで、肌の熱が生地へ素早く移動し、冷たさを感じる仕組みになっています。夏場は裏地が肌に触れる面積が多くなるため、接触冷感機能のある裏地を使用することで、着用時の不快感を軽減し、涼しく快適な着心地につながります。接触冷感素材は、肌にずっと触れていると効果を感じにくいです。そのため、ぴったりサイズの服よりも、少しゆとりのある服や風通しのある服に使用するとより効果を感じることができます。
接触冷感に優れた素材
接触冷感性に優れた素材としては、レーヨンやキュプラなど、熱を伝えやすい繊維が挙げられます。
レーヨンはコストを抑えながら接触冷感性を得られる素材として幅広く使われています。一方、キュプラはレーヨンと同じ再生繊維でありながら、より滑らかな肌触りと上品な光沢感を持ち合わせており、高級感を求めるアイテムに向いています。また、特殊な繊維構造を持つナイロン素材「クールインF®」などの機能素材もあり、スポーツウェアや夏向けの製品に幅広く使用されています。
帯電防止(静電気防止)
帯電防止とは、静電気の発生や蓄積を抑える機能のことです。特に空気が乾燥する秋冬は、衣服の着脱時に「パチパチ」とした不快感を感じたり、裏地が肌やインナーにまとわりついたりすることがあります。
裏地に帯電防止機能を持たせることで、静電気による不快感を軽減できるだけでなく、スカートのまとわりつきやホコリの付着を抑える効果も期待できます。
帯電防止に優れた素材
キュプラやシルクはもともと吸湿性が高く、静電気が発生しにくい素材として知られています。また、導電糸を織り込んだ機能性ポリエステル素材「ソーラーセンサー®」なども、機能性と取り扱いやすさを兼ね備えた帯電防止裏地として多く使用されています。ソーラーセンサーは導電糸の織り込みによる帯電防止機能と、炭素粒子による蓄熱保温機能を兼ね備えた多機能素材です。秋冬物のアウターやジャケット裏地として、1枚で複数の機能を担える点が特徴で、当社でもご相談の多い素材のひとつです。
蓄熱保温
蓄熱保温とは、太陽光や人体から発せられる熱を蓄えたり、衣服内に空気の層を作って熱を逃がしにくくしたりすることで、暖かさを保つ機能のことです。秋冬物のアウターやジャケットでは、見た目のデザインだけでなく着用時の暖かさも重要なポイントです。蓄熱保温機能を持つ裏地を使用することで、寒い季節でも快適な着心地を実現できます。
蓄熱保温に優れた素材
蓄熱保温機能を持つ素材としては、炭素粒子やセラミックを繊維に練り込んだ「ソーラーセンサー®」や「サーモトロン®」があります。また、中空構造によって空気を多く含み、高い断熱性を発揮する「サーモライト®」なども代表的な機能素材です。サーモトロンやソーラーセンサーは蓄熱性に優れ、日光を受けやすいアウター裏地に向いています。サーモライトは中空構造による軽量・断熱性が強みで、ダウン代替素材としても注目されています。
吸湿発熱
吸湿発熱とは、人体から出る水蒸気を繊維が吸収する際に発生する熱を利用し、自ら発熱する機能のことです。人は寝ている間だけでなく、日常生活の中でも常に水蒸気を放出しています。吸湿発熱素材はそのわずかな水分を利用して熱を生み出すため、中綿や厚手の裏地を使わなくても暖かさを確保できます。軽量でスッキリとしたシルエットを保ちながら防寒性を高めたいアイテムに向いています。
吸湿発熱に優れた素材
吸湿発熱機能を持つ素材として有名なのは、ユニクロのヒートテックです。生地素材でいうと、多くの親水基を持ち高い吸湿能力を備えた機能性繊維「サンバーナー®」などがあります。冬用のアウターや防寒衣料の裏地として使用されることが多く、軽さと暖かさを両立できる素材として注目されています。
ストレッチ性
ストレッチ性とは、生地が伸縮することで体の動きにスムーズに追従し、着用時のツッパリ感を軽減する機能のことです。
近年では、スーツやジャケットにも快適性が求められるようになり、表地だけでなく裏地にもストレッチ性を持たせるケースが増えています。裏地が伸びないと、腕を動かした際に窮屈さを感じたり、表地本来のストレッチ性能を十分に発揮できなかったりすることがあります。
ストレッチ性に優れた素材
ストレッチ性に優れた素材としては、ポリウレタンを混紡した生地が代表的です。また、特殊なバネ状の分子構造を持つポリエステル素材「ソロテックス®」は、しなやかな伸縮性と形態安定性を兼ね備えており、快適性を重視した裏地素材として幅広く採用されています。
まとめ
裏地は普段あまり意識されることのないパーツですが、着心地や快適性、製品の付加価値を大きく左右する重要な役割を担っています。夏場のムレやベタつきを軽減する「吸湿性・吸汗性」「吸水速乾」「接触冷感」、冬場を快適に過ごすための「帯電防止」「蓄熱保温」「吸湿発熱」、そしてシーズンを問わず動きやすさを向上させる「ストレッチ性」など、裏地にはさまざまな機能が備わっています。
表地やデザインに目が向きがちですが、製品の用途や着用シーンに合わせて適切な機能を持つ裏地を選ぶことで、より快適で満足度の高い製品づくりにつながります。&CROPを運営しているクロップオザキでも、裏地のご提案を行っております。「裏地選びで悩んでいる」という方はぜひご相談いただけたら幸いです。
ここまでお読みいただきありがとうございました!