&CROP編集部の野崎です。
前回の記事では、カジュアルウェアによく使われる織物スレキについて、風合いや価格帯などの視点から選び方を解説しました。
&CROP編集部の野崎です。 洋服のポケットに使われる生地のことを「スレキ」や「袋布(ふくろぬの)」と呼びます。皆さまのブランドでは、スレキをどのように選んでいますか?スレキには、厚みや素材の種類などさまざまな選択肢があります。本[…]
スポーツウェアにはどんなスレキが良いの?
作成するアイテムにもよりますが、スポーツウェアには織物スレキではなく、編み物(ニット)のスレキが使われることが多いです。スポーツウェアは伸縮性が重要であり、スレキも製品の伸縮性に合わせて、ある程度伸び縮みするものを選んだほうが動きに馴染みやすいからです。また、スポーツウェアは着用中に汗をかくことが前提となります。汗でべたついたり乾きにくかったりすると着心地が悪くなるため、速乾性のある素材として、編み地のスレキが適しています。
表生地や裏地と同じ生地をスレキとして使うのはあり?
表生地や裏地と同じ生地をスレキとして使用することは可能です。
ただし、スレキに求められる最も重要な特性は「生地の丈夫さ」です。表生地として使えるクオリティであれば基本的には問題ありませんが、スレキとして使用したときに破れやすい生地や、伸縮性がありすぎてポケットの重みで伸びてしまうような生地はスレキには向きません。また、コストの観点からも、スレキ生地を用意するケースがあります。表生地はスレキ生地よりも一般的に単価が高いため、表生地をそのままスレキに流用するよりも、スレキ用の生地を別途用意したほうが製品の着単価(1着あたりの材料コスト)を抑えられるからです。
スポーツウェアに使われるスレキの素材
スポーツウェアのスレキには、ほとんどの場合ポリエステル素材が使われています。前回の記事で紹介した綿やT/Cは、スポーツウェアのスレキとして使われることはあまりありません。理由は大きく2つあります。1つ目は色落ちのしやすさです。綿やT/Cはポリエステルと比べて色落ちしやすく、汗をかきながら着用し、洗濯頻度も高いスポーツウェアには不向きです。2つ目は速乾性と重さです。綿やT/Cは汗を吸収しやすい反面、乾きが遅く、汗を吸った状態では生地が重くなりやすいです。一方、ポリエステルのニット素材は速乾性に優れており、着用中の快適さを保ちやすいというメリットがあります。なお、スポーツウェアはポリエステルで作られた製品が多いため、「表生地と素材を合わせる」というスレキ選びの基本ルールにも自然と沿う形になります。
スポーツウェアのスレキとしてよく使われる種類
ここからは、スポーツウェアのスレキとしてよく使われる3種類をご紹介します。
- トリコット
- メッシュ
- 起毛トリコット
トリコット
経編(たてあみ)のニット生地のことを「トリコット」と言います。
※経編とは、縦方向に走る糸をからめながら編む方法です。横方向に編む緯編(よこあみ)と比べて、生地が安定しており型崩れしにくい特徴があります。
適度な伸縮性があり、薄手で乾きやすいため、スポーツウェアのスレキとして幅広く使われています。シーズンを問わず、パンツのポケットやブルゾンのポケットなどに定番として採用されることが多いです。トリコットにもさまざまな種類があります。ストレッチ性の高いもの、吸汗・速乾機能を持つもの、制電成分が練り込まれており静電気が発生しにくいものなど、機能面でも選択肢が豊富です。価格帯もリーズナブルなものから高級なものまで幅広く、価格が上がるにつれて風合いも良くなる傾向があります。
トリコットの選び方
トリコットを選ぶ際は、以下の3つのポイントを基準にすると良いでしょう。
- 風合い
- 価格
- 色展開
風合い
トリコットにはさまざまな種類があり、風合いも異なります。スレキはポケットの裏地として手が直接触れることも多いため、触り心地の良さは重要なポイントです。実際にサンプル帳を手に取り、触り心地を確認してから選ぶことをおすすめします。
価格
リーズナブルなものから高価なものまで幅広い価格帯があります。風合いが良いものや機能糸を使用したものは価格が高くなる傾向があります。予算に合ったスレキを選びましょう。
色展開
色展開は品番によって異なります。トリコットは比較的カラーバリエーションが豊富ですが、表地とぴったり色を合わせたい場合は、希望の色が見つからないこともあります。複数の品番のサンプル帳を取り寄せて、希望に近い色がある品番を選ぶのも一つの方法です。
なお、上記3つのポイントに加えて、速乾性・制電性などの機能面で選ぶことも有効な選択肢です。
メッシュ
メッシュとは、網目状の構造を持つニット生地のことです。網目を通して空気が循環するため通気性に優れており、ポケット内に湿気がこもりにくいのが特徴です。汗をかいても乾きが早く、夏場や運動量の多いスポーツウェアのスレキとして重宝されます。また、スポーツ用具(ゴルフのティーなど)をポケットに入れる際に一緒に入り込んだ砂や細かなゴミを、メッシュの網目から自然に落とせるのもメリットのひとつです。主にSS(春夏)シーズンのパンツやブルゾンのポケットに多く使われます。
メッシュの選び方
メッシュを選ぶ際は、トリコットと同様に【風合い】【価格】【色展開】を確認した上で、【網目の細かさ】にも注意が必要です。網目が大きすぎると、ゴルフのティーなど細かい小物がポケットの穴から落ちてしまうことがあります。スレキとしてメッシュを使用する場合は、網目の細かいものを選ぶようにしましょう。
起毛トリコット
起毛トリコットは、表面が毛羽立った状態に仕上げられたトリコットです。秋冬物の中綿パンツやスウェット、アウターなどによく使われます。通常のトリコットと比べて触り心地が柔らかく、起毛している分だけ空気を含みやすいため、ポケットに手を入れたときに温かみを感じやすいのが特徴です。価格は品番にもよりますが、通常のトリコットよりも若干高くなる傾向があります。
起毛トリコットを使うとポケットが膨らむ?
起毛トリコットは起毛している分だけ若干厚みがあるため、「ポケット部分が膨らんでしまわないか」と気になる方もいるかもしれません。基本的に秋冬の厚手アイテムに使われることが多く、製品自体にも厚みがあるため、スレキの厚みが目立ちにくい場合がほとんどです。ただし、よりすっきりした仕上がりにしたい場合は、ポケットの手の甲側にだけ起毛トリコットを使い、手のひら側は通常のトリコットや裏地と同じ生地を使用するという方法もあります。
スポーツウェアのスレキを選ぶ際の注意点
スポーツウェアでスレキを選ぶ際に注意したい点は、以下の3つです。
- 伸縮性
- 汗による色移り・色落ち
- 洗濯での耐久性
伸縮性
スポーツウェアには、伸縮性のある編み物スレキが適していますが、「伸びれば伸びるほど良い」というわけではありません。伸縮性が高すぎると、ポケットに物を入れたときの負荷で生地が伸びてしまい、型崩れの原因になることがあります。製品の表生地の伸縮性に合わせて、適切な伸縮性を持つスレキを選ぶことが重要です。品番によって伸縮性は異なりますので、サンプルで確認してから採用することをおすすめします。
汗による色移り・色落ち
スポーツウェアは着用中に汗をかくことが前提となるため、汗による色移りや色落ちには注意が必要です。綿やT/Cのスレキと比べてポリエステルスレキは染色堅牢度(色の落ちにくさ)に優れていますが、ポリエステル素材同士で起こる「昇華移染」には注意が必要です。
※昇華移染とは、熱や摩擦によってポリエステル生地の染料が気化し、隣接する生地に色が移る現象です。
こうしたリスクを避けるためにも、スレキは表生地と同色か、表生地よりも薄い色(白やベージュなど)を選ぶことをおすすめします。
洗濯での耐久性
スポーツウェアは洗濯頻度が高いため、スレキの洗濯耐久性も重要な確認ポイントです。洗濯による色落ち・型崩れ・毛玉の発生などを事前に確認しておきましょう。はじめて採用する生地については、生地メーカーが保有するハウスデータ(社内試験データ)を取り寄せるか、ボーケン・カケンなどの外部検査機関で試験データを取得しておくと安心です。
まとめ
今回は、スポーツウェアでよく使われるニット素材のスレキとして、トリコット・メッシュ・起毛トリコットの特徴と選び方をご紹介しました。スポーツウェアならではの伸縮性・速乾性・洗濯耐久性といったポイントを押さえながら、ブランドのアイテムやシーズンに合ったスレキを選んでみてください。
本メディア&CROPを運営する株式会社クロップオザキでは、スポーツウェア・カジュアルウェアで使われるスレキを取り扱っています。「実際にサンプルを手に取って選びたい」「どれが自分のブランドに合うか相談したい」という方は、お気軽にお問い合わせください。
ここまでお読みいただきありがとうございました!