ホルマリンに注意!ベビー服に使ってはいけないアパレル資材と代用方法

こんにちは、&CROP編集部の野崎です。

今回は、「趣味でベビー服を作り始めてSNSにアップしたら、予想以上に反響があり、販売を始めることになった。」「それまで大人向けのアパレルブランドを運営していたが、ベビー服に挑戦してみたいと思っている。」など、ベビー服事業に参入したいと考えている方向けのお話しです。

実は、ベビー服を作る際、大人向けの服には使っても問題のない素材でも、赤ちゃんの敏感な肌には適さないものがいくつかあります。そういった素材を使うと、赤ちゃんの肌トラブルを引き起こす原因となってしまうこともあります。今回は、ベビー服に使用してはいけないアパレル資材とその理由について、そして代替できる安全な素材について、詳しく解説したいと思います。

ベビー服の定義について

まず、ベビー服とはどのような服を指すのか、しっかり理解しておきましょう。ここでは「2歳以下の子どもが着る服」と定義します。この年代までの赤ちゃんは、皮膚が非常に敏感で、外部からの刺激に対して過剰に反応することがあるため、素材選びには特に注意が必要です。

ベビー服に使うべきでないアパレル資材とは?

ベビー服に使ってはいけない素材として、まず注意しなければならないのは「ホルマリン」です。ホルマリンは化学物質の一種で、通常は防腐剤や消毒剤として使用されます。また住宅の壁などの建築資材・木製家具に使われていることもありますが、赤ちゃんの皮膚に対して非常に刺激が強いため、常に直接肌に触れる衣類には使用を避けるべきです。

ホルマリンとは?

ホルマリンは、正式には「ホルムアルデヒド」とも呼ばれ、強い消毒作用を持つ化学物質です。日常的には消毒液や防腐剤、さらには染料としても使用されることがあります。しかし、ホルマリンは皮膚や目、鼻、呼吸器に強い刺激を与えることが知られており、特に赤ちゃんや小さな子どもにとっては非常に危険です。赤ちゃんは大人に比べて皮膚が薄く、保護機能が未発達なため、ホルマリンを含んだ衣服を着用することで皮膚トラブルやアレルギー反応を引き起こすことがあります。そのため、ベビー服に使用する資材には、ホルマリンが含まれていないことを確認することが重要です。

ホルマリンを含むアパレル資材と代用方法

ここからは、ホルマリンを含む可能性があるアパレル資材と、その代替品について詳しく見ていきましょう。

ユリア樹脂ボタン

ユリア樹脂ボタンは、尿素樹脂を使用したボタンです。ユリア樹脂は粘土のようなさまざまな色の樹脂を混ぜて柄を作ります。そのため水牛調ボタンやナット調ボタンなど、天然ボタンの柄を再現することができ、大人服には良く使われているボタンです。しかし、ホルマリンが含まれているため、ベビー服には不適切です。

ユリア樹脂でできた水牛調ボタン・ナット調ボタン
代替方法

ポリエステル製のボタンに変更することをおすすめします。ポリエステルボタンは、ユリア樹脂ボタンと同じようなデザイン性を持ちながら、ホルマリンを含んでいないため、安全です。

手芸店で販売しているボタンは、「樹脂製」としか書かれていない場合もあるため、店員さんに確認するようにしましょう。ボタンのサンプル帳を見て購入する場合は、サンプル帳には何の樹脂で作られているかが明記されている場合がほとんどです。

ポリエステルでできた水牛調ボタン・ナット調ボタン

パールコーティングボタン

パールコーティングボタンは、見た目の可愛さから子ども服に使われることも多いですが、土台にユリア樹脂が使用されていることが多いため、2歳児以下のベビー服には向いていません。

代替方法

無鉛パールボタンを使用するのが最適です。無鉛パールボタンは、ABS樹脂というホルマリンを含まない素材を土台に使用しており、見た目もパールコーティングボタンと変わらない美しい仕上がりになります。ABS樹脂はレゴブロックにも使われている樹脂で、ホルマリンを含んでいないため、ベビー服にも使うことができます。

パールコーティングボタン(左)と無鉛パールボタン(右)

写真だとほどんど違いが分かりませんね。

カゼインボタン

カゼインボタンは、牛乳に含まれる「レンネットカゼイン」という成分を原料にした天然素材のボタンです。温かみのある白色が特徴で、染色性も高いため、好みの色に染めて使うことができます。しかし、ホルマリンが含まれているため、ベビー服には適していません。

カゼインボタン
代替方法

ナイロン樹脂製のボタンを使用することで、同じ白色を実現できます。ただし、カゼインボタンのような乳白色よりも真っ白になるため、温かみのある質感を求める場合は、少し異なる質感になる点を理解しておきましょう。

カゼイン樹脂ボタン(左)とナイロンボタン(右)

ウッドボタン(合板使用ボタン)

ウッドボタンは、そのナチュラルな風合いから、コットンなどの天然素材と合わせてさまざまなアパレルブランドで使用されています。しかし、合板を使用しているウッドボタンにはホルマリンが含まれていることがあるため、ベビー服には使用できません。

ウッドボタン(合板)
代替方法

合板でないウッドボタンであれば、ベビー服にも使用することができます。お手持ちのウッドボタンが、合板かそうでないかが分からない場合は、ウッド調のイミテーションボタンを使用するのが良いでしょう。ポリエステル製のウッド調ボタンであれば、木の質感を模倣しつつも、安全に使用することができます。

合板でないウッドボタン
ポリエステルのウッド調ボタン

チュール生地(ハリがあるもの)

チュール生地は、その透け感と軽やかな質感から、ウェディングドレスや帽子の飾り、パニエなど、ドレッシーな服に多く使われます。しかし、特にハリのあるチュール生地は、ホルマリンを含んだ樹脂加工が施されていることがあり、注意が必要です。

チュール生地(例)
代替方法

チュール生地すべてにホルマリンが含まれているわけではありません.。購入時にホルマリン不使用のものを選ぶようにし、必要に応じて購入元に確認をすると良いでしょう。

本革

本革はなめし工程でホルマリンが使用されることが多く、ベビー服には不適切です。

本革
代替方法

ホルマリン不使用でなめされた本革を選ぶか、合皮素材を使用する方法もあります。合皮は本革の質感を模倣しつつ、アニマルフレンドリーな素材であり、ホルマリンの心配もありません。

ニッケルメッキを使用しているアパレル資材

ニッケルメッキを使用した金属素材は、金属アレルギーを引き起こす可能性があるため、ベビー服には使用しないほうが良いでしょう。

ダイカストボタン/ABS樹脂ボタンのニッケルメッキ

ダイカストボタンは、金属の合金を型に流し込んで作られるボタンで、その表面にはニッケルメッキが施されていることが多いです。

ニッケルメッキのダイカストボタン
代替方法

ニッケルメッキを使用しない金属ボタンを選ぶことで、金属アレルギーのリスクを避けることができます。

ポリエステルのニッケルフリーメッキボタン

まとめ

ベビー服にはベビー服特有の注意点がある!

ベビー服に使う素材選びには、大人向けの服とは異なる慎重さが求められます。特にホルマリンを含む素材は、赤ちゃんの敏感な肌に大きな影響を与える可能性があります。安全な素材を選ぶことが、赤ちゃんの健康を守るためには非常に重要です。代替品を上手に選びながら、かわいくて安全なベビー服を作っていきましょう。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

参考文献

株式会社アイリス SMALL BUTTON COLLECTION 

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