リベットとは

  • 2025年7月3日
  • 2025年7月4日

リベットとは

名称(日本語/英語)

リベット(リベットバー・ロバスト)/ rivet

カテゴリ 副資材服飾資材
種類 大カテゴリ(リベット

概要

リベット(日本語名・・・リベット・リベットバー・ロバスト(英語名・・・rivet)とは、ジーンズなどに用いられる金属製のパーツです。「rivet」には、「鋲(びょう)」という意味があります。ジーンズのポケット端や前立てファスナーの下部など、力がかかりやすい部分にリベットを打つことで、縫い目が切れるのを防止する役割があります。補強としての機能性と、装飾性を兼ねているものが多いです。メーカーによって商品名は変わりますが基本はリベットで通用します。
(YKKSF社:リベット/バー モリト社:ロバスト/ロバスト脚 )

 

打ち機

打ち機の例

打ち機とは、リベットを打つための機械です。リベットのメーカーによって対応している打ち機が違います。手動式と自動式がありますが、どちらも駒を上下に取り付けて使用します。YKK SFの打ち機は同社のリベットしか打つことができません(駒の挿入部分が他社との互換性がないため)。

駒とは、リベットを打つための打ち機に取り付けるパーツです。リベットの各パーツにはサイズやデザインが複数ありますが、それぞれぴったりのサイズでできた専用の駒があり、それ以外の使用は推奨されません。(リベットが破損したり塗装が剥げたりする可能性が大きいため)1つのリベットを打つのに2つの駒が必要です。

用途

リベットは、ジーンズ、パンツ等に使われています。

魅力

リベットの魅力は大きく2つ。

  1. オリジナルでロゴ入れも作成可能!幅広い装飾性
  2. 縫い目切れ防止で安心感

魅力1.オリジナルでロゴ入れも作成可能!幅広い装飾性

リベットの魅力は、幅広い装飾性です。
金属のメッキカラー展開はもちろん、お好みの色に塗装することもできます。ジーンズには金属のメッキカラー、カラーパンツには生地と同色に塗装したリベットを使用することが多いです。また、タックボタンやドットボタンと比較すると小さなパーツではありますが、ブランドのロゴを入れることも可能です。

リベットはポケット口などを補強する役割があることから、1着に数個まとめて使われていることがほとんどです。そのため、オリジナルのデザインやブランドロゴを入りのリベットを使うことで、一気に特別感のある製品に仕上がります。

魅力2.縫い目切れ防止で安心感

リベットのもう一つの魅力は、リベットの本来の役割である縫い目切れを防ぐことができるという点です。ポケットに財布を入れるなどすると、頻繁に生地が引っ張られた状態になるため縫い目切れが起こりやすいです。しかしリベットを打っておくことで、縫い目に負荷がかかる手前でリベットが引っ張る力を止めてくれ、生地への負荷が小さくなります。縫い目切れを防ぐ、という目的だけであれば、ミシンでジグザグのステッチをいれる「カンヌキ」仕様にするという方法もありますが、リベットを使うことで見た目もオシャレに、機能性を付与することができます。

代表的なリベットの種類

リベットの種類としては、《サイズ》《デザイン》の組み合わせでできており、いくつかの種類があります。

  1. サイズ
  2. デザイン

1.サイズ

リベットのヘッドは、7.7mmの大きさのものが良く使われています。
種類やメーカーにもよりますが、6.4mm~15mmのサイズ展開があります。

2.デザイン

リベットのヘッドには、多くのデザインがあります。

平たいフラットタイプや中心が膨らんでいるタイプ、四角いダイヤのようなタイプさまざまです。色は金属メッキカラー以外にお好きなカラーに塗装もできるため、製品のデザインや色に合わせて選ぶことができます。

代表的な資材メーカー

リベットの代表的な資材メーカは以下

YKKスナップファスナー株式会社

※画像:YKKスナップファスナー株式会社公式サイトTOPより

メーカー名

YKKスナップファスナー株式会社

URL https://www.ykksnap.co.jp/

YKKと聞くとファスナーのイメージが強いかと思いますが、その子会社で、スナップボタン、タックボタン、リベット等の服飾資材の製造販売をしているメーカーです。
ヴィンテージテイストやオリジナル復刻版等、形状やデザインが豊富です。

モリトジャパン株式会社

※画像:モリモトジャパン公式サイトTOPより
メーカー名 モリトジャパン株式会社
URL http://www.morito.co.jp/

モリト社は、ハトメ、ホック、面ファスナーなどの服飾資材や、カメラ資材、自動車の内装資材、靴用品など幅広く企画開発を行っているメーカーです。
モリト社の打ち機は海外で生産しているリベットにも対応していることが多いため、海外の工場はモリト社の打ち機を持っているケースが多いです。

取扱い上の注意

リベットはヘッドと脚の2パーツで1セットとなっています。脚は画鋲のような形をしていて、先端が尖っています。リベットを購入した際など、気にせずに袋を掴んでしまうと尖った部分が袋を破いて怪我をしてしまうことがあるため、十分注意をしてください。

選定ポイント

基本的な選定ポイントとして、《デザイン》《生地との相性》について説明致します。

3つの基本的な選定ポイント

  1. デザイン
  2. 生地との相性

ポイント1.デザイン

リベットのヘッドには、さまざまなデザインがあります。

基本的に丸型をしている種類が多いですが、中にはリベット自体が星型・花型・ハート型・ダイヤ型をしている種類もあります。また、リベットのヘッド部分に花や星、ドクロの刻印が入っているものもあります。オリジナルでブランドのマークやロゴを入れることも可能です。また、カラー展開も豊富で金属メッキカラーの中でもヴィンテージ感のある錆びの色合いを再現したものもあります。
使用するタックボタンやドットボタンの色に合わせて選定することもおすすめです。

ポイント2.生地との相性

生地の厚みによって、リベットの脚を選定する必要があります。
生地の厚みに対してリベットの脚が短すぎると、うまく付けられずに取れてしまいます。また逆に脚が長すぎるとリベットのヘッドが浮いてしまい、本来の目的である生地の縫い目切れ防止の役割を果たすことができません。それだけではなく、浮いてしまっているヘッド部分に爪を挟んで怪我をしてしまう恐れもあるので、必ずサンプルで確認をして(試し打ち)、生地の厚みに合った長さの脚を選定してください。

資材発注時の注意とポイント

リベットの発注時の注意とポイントは4つ

  1. リベットのヘッドの品番と、対応する脚の品番を両方記入する
  2. 工場に打ち機があるかを確認してから発注
  3. 駒の発注も忘れずに。
  4. 使いたい生地でテストを行ってから量産発注をする。
  5. 打ち損じを考慮して多めに発注

以下、それぞれの注意とポイントです。

発注時の注意とポイント1.リベットのヘッドの品番と、対応する脚の品番を両方記入する

リベットは、ヘッドと脚の2パーツで1セットです。それぞれに品番があるため、発注の際はヘッドの品番と、脚の品番それぞれを記載する必要があります。
例えばモリト社のリベットでヘッド3RT(6mm)を使用したい場合、脚はW2の中から生地の厚みに応じて5種類お選びいただけます。W2-6と決めた場合は、3RT/W2-6というように指定の上でご発注をお願いいたします。

発注時の注意とポイント2.工場に打ち機があるかを確認してから発注

リベットを発注する際は、打ち機にも注意が必要です。
縫製する工場が決まっている場合、工場にある打ち機の種類を必ず確認するようにしてください。YKK SF社の打ち機の場合、駒の挿入部に互換性がないのでモリト社製や他海外製のリベットを打つことはできません。反対も同様です。そのため、初めての縫製工場の場合は特に、必ず打ち機の有無、種類を確認し、対応しているリベットを発注するようにしてください(YKK SF社の場合、打ち機の登録のない工場へ出荷はできません)。

発注時の注意とポイント3.駒の発注も忘れずに

リベットを打つ際に駒が必要になるため、手元や工場に駒があるかを確認し、無い場合は発注をする必要があります。
駒はヘッド・脚それぞれ一つずつ必要で、リベットの品番・サイズごとに種類が違います。打ち機が合っていても駒が違っては正しく打つことができないので、駒の発注にも注意が必要です。

発注時の注意とポイント4.使いたい生地でテストを行ってから量産発注をする。

量産を発注する前に、必ず使用する生地とリベットの相性が問題無いかを確認してください。テスト(試し打ち)をする際は、実際に使用する生地を、製品のリベットを打つ箇所と同じ厚みに折りたたんで行ってください。リベットの脚の長さに対して生地が厚すぎるとしっかり打てずに取れやすくなってしまいます。その場合は長めの脚に替えて再度テストを行ってください。反対に、脚の長さに対して生地が薄すぎる場合は、生地に厚みを持たせる為に芯地を貼る・パッキンを挟むなどして再度テストを行ってください。

発注時の注意とポイント5.打ち損じを考慮して多めに発注

リベットを発注する際のロスは、他資材よりも多めに試算しておくのがおすすめです。リベット以外でも、打ち機で打つパーツに共通して言えるのですが、打ち損じ等でロスが発生しやすいためです。急ぎで追加手配となってしまうと、工場へ出荷する際の運賃の方が高くついてしまう・・・ということになりかねないので、ロスを多めに試算し手配しておくことをおすすめします。

縫製工場へデリバリーする際のポイント

下記4項目に注意をして、スムースにデリバリーが行えるようにしましょう。

  1. 駒の管理に気を付けるようアナウンス
  2. 輸送中にメッキや塗装が剥がれることがあるので注意
  3. 打つ場所がフラットになっているか(生地が重なっていないか)を確認
  4. ロゴやマークが上下正しい向きになっているか確認をして打つようにアナウンス

以下それぞれの詳細です。

注意点1.駒の管理に気を付けるようアナウンス

忘れてしまいがちですが、駒の管理には注意が必要です。
毎シーズン同じ工場で依頼をしている場合、基本的に同じ種類のリベットで、駒が劣化していなければ、前シーズンと同じ駒を使うことができます。しかし縫製工場は他ブランドの仕事も請け負っているため管理が間に合わず、どれが該当する駒なのか分からなくなってしまったり、駒を紛失してしまったりすることがあります。
一種類のリベットを打つのに駒は二種類必要で、種類にもよりますが駒代で総額1万円ほどすることが多いです。高額なものになるため、打ち終わったら品番が書かれている袋にしまうなど、管理を徹底してもらえるようアナウンスしておくことが重要です。

注意点2.輸送中にメッキや塗装が剥がれることがあるので注意

特に海外の縫製工場で縫製する場合は、輸送中のメッキや塗装の剥げに注意が必要です。そこまで頻繁には起こりませんが、数量を多めに試算して手配しておく方が安心です。
白のツヤ消し塗装など汚れや剥がれが心配な商品は、緩衝材でくるんだり、一つひとつケースに入れて出荷したりすることをおすすめします。

 

注意点3.打つ場所がフラットになっているか(生地が重なっていないか)を確認

縫製工場に資材を投入した後、打ち不良が多く発生する場合は、製品のリベットを打つ箇所がフラットになっているかを確認してください。
打つ箇所の生地がフラットになっていない(段差のある個所)と、打った際に圧力が片側にだけ掛かってしまい、圧力がかからなかった側が浮いてしまうことがあります。

注意点3.ロゴやマークが上下正しい向きになっているか確認をして打つようにアナウンス

リベットに、ロゴやマークが入っている場合は、縫製工場にデザインの正しい向きを事前にアナウンスするようにしてください。縫製工場がリベットの向きを誤って打ってしまわないようにどの向きが正しいのか、特に分かりづらいロゴマークデザインのリベット打ちを新規の工場に依頼する場合は、よく確認する必要があります。

販売スタッフ・消費者等に必要なアナウンス

消費者の手に渡った後、消費者側が衣類のメンテナンスをする際に誤った方法をとってしまい、トラブルになるというケースが起こります。以下のケースに注意をしていただけるよう、事前アナウンスを行うのがポイントです。

主な《消費者》へのアナウンス

  1. 無理な力をかけない
  2. 濡れたまま放置しない
  3. メッキ・塗装の剥げに注意
無理な力をかけない

リベットは丈夫生地の縫い目を補強するための資材ですが、無理に力を加えると、生地に負荷がかかり生地が切れてしまう可能性があります。使用用途以外で無理に力をかけないよう、十分注意をしてください。

濡れたまま放置しない

金属製のリベットを濡れたまま放置すると、腐食の原因となります。濡れてしまった際は、すぐに拭き取るようにしてください。

金属ドットボタンを濡れたまま放置しない

固いものに当たると、リベットのメッキや塗装の剥げの原因となりますので、注意してくだい。

おすすめ資材

  1. 刻印入りでオリジナルのリベット
  2. ラインストーン入りリベット

刻印入りでオリジナルのリベット

リベットはオリジナルで、刻印やプリントで文字を入れることができます。ブランドのロゴやマークの入ったリベットは、オリジナリティがありおすすめです。刻印を入れるには型を起こして作成する方法とレーザーで彫刻する方法があります。型を起こした場合、型代が掛かりますが、凹凸をはっきり出すことができます。一方でレーザー彫刻は初期費用は安いですが、凹凸ははっきり出せず、メッキの色が変わる程度になります。

ラインストーン入りリベット

リベットのデザインの中には、ラインストーンが埋めこまれているものがあります。レディースのパンツに使えば、高級感を醸し出すワンポイントとして使うことができます。

まとめ

小さいですが工夫次第で製品のワンポイントにも!リベットを使って魅力的な製品づくりを

リベットは小さなパーツで遠目から見るとあまり目立ちませんが、ロゴを入れたり、色や形に工夫を凝らしたりすることで、製品のワンポイントとして使用することができます。生地に直接取り付けることから生地との相性が重要になりますので、正しく理解をしてクレームや縫製工場とのトラブルを防ぎ、よりよい製品づくりに活かしてください。

 

参考文献

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