こんにちは&CROP編集部のにへいです。
洋服には、生地以外にも数多くの細かな部品が使われています。ボタンやファスナーのような一般的なものはすぐに思い浮かびますが、それ以外にも 見えない部分や目立たない場所にもアパレル資材が 付いています。こうした部品は、服の見た目や着心地を整えるためだけでなく、縫製や仕上がりの品質を左右する重要な要素でもあります。
この記事では、日常的にもよく使われるアパレル資材との名称と特徴 を中心にわかりやすく紹介します。服づくりや素材選びの理解を深めるきっかけになれば嬉しいです。
もくじ
①スプリングホック

レディースのドレスやスカートに使用される、小さなホックのことをスプリングホックといいます。
名称の由来は、Spring(バネ) のような弾力性のある構造と、Hook(引っかける) 機能を併せ持っていることからきています。オス・メスの2つで1セットになっており、小さくても、しっかりと美しく留まるのが特徴です。衣服のラインをきれいに整え、目立ちにくいという重要な役割を担っています。
サイズやカラー展開も豊富なため、アイテムに合わせて最適なものを選ぶことができます。

②前カン

前カンとは、パンツやスカートなどのボトムスのウエスト部分に用いられる留め具のことです。
フロントやサイドファスナーの上部を固定するために使用され、スプリングホックとはサイズ感や形状が異なります。
前カンは「ホック」「カギホック」「ウエストホック」「スカートホック」とも呼ばれ、2パーツ構成のものと4パーツ構成のものがあります。


差し込む側のパーツは「ホック」または「オス」、受ける側は「アイ」または「メス」と呼ばれることが一般的です。
メンズ・レディース向けの違いや、手付けタイプ、打ち込み式タイプなど、用途に応じた種類があります。
③チャイナボタン

絹糸や布製の紐を結んで作られた、装飾性の高い留め具をチャイナボタンといいます。
チャイナドレスなど、中国の伝統衣装に用いられるのが特徴です。オリエンタルな雰囲気と高いデザイン性から、エスニック調や和風スタイルのアイテムに取り入れられることもあります。
④フロッグボタン

フロッグボタンはチャイナボタンの一種で、釈迦結びのような装飾が施されたループに通して留める、コード状の留め具です。
上から見た形がカエル(=フロッグ)のように見えることから、この名前が付けられました。中国の伝統的な装飾品であり、ヨーロッパの軍服にも影響を与えたとされています。前面に施されたブレード装飾とともに、軍服の装飾として使用されていました。
⑤バスケットボタン

編み込んだ籠(バスケット)のような見た目をしたボタンで、革ボタンの代表的な形の一つです。
1本の革紐から、革の硬さや柔らかさを手で感じ取りながら編み込み、大きさが均一になるよう締め具合を調整して作られます。その後、プレス加工によって革を締め固めますが、この工程でも形を見ながら必要に応じて二度押しを行い、微調整しながら仕上げます。非常に繊細で高度な技術が必要なため、機械では作ることができないボタンです。
プレスで締め固めないタイプのバスケットボタンもあり、よりナチュラルで可愛らしい印象になります。いずれも裏足タイプです。
⑥ボタンホールゴム

平ゴムにボタンを留めるための穴が開いているゴムを、ボタンホールゴムといいます。
サイズ調整が可能なため、長期間着用できることが特徴で、サイズ変化の多いマタニティ、ベビー、キッズ向けアイテムによく使用されます。
平ゴムの巾は15㎜、20㎜、25㎜などの規格がいくつかあり用途や使用箇所によって使い分けることができます。カラーは基本的に白と黒が展開されています。
⑦襟キーパー(カラーキーパー)

襟キーパーとは、シャツの襟の形を整え、反り返りを防ぐために、襟裏に挿入するプラスチック製または金属製の芯のことです。
「カラーステイ」「カラーボーン」とも呼ばれています。

襟キーパーを使用することで襟のラインが美しく保たれ、フォーマルな印象を与えます。タイプには、取り外し式 と 縫い込み式 があります。
取り外し式は洗濯時に外せるためシャツが傷みにくい反面、透明で小さいパーツのため紛失には注意が必要です。
縫い込み式は取り外しの手間がなく紛失の心配もありませんが、形が崩れた場合に修正できないというデメリットがあります。
⑧蝶キーパー(バタフライキーパー)

蝶キーパーとは、シャツの襟潰れを防ぐために、襟と第一ボタンの間にセットするプラスチック製のキーパーです。
蝶々の形に似ていることから、この名称で呼ばれています。
ワイシャツの輸送時や店頭に並べるときに、襟がつぶれないように付属していることが多いです。捨ててしまう人も多いですが、自宅でのシャツを重ねて保管する時や、出張など綺麗に持ち運びしたい場合にも使用できますので、アイデアの一つとして覚えておいてください。
⑨マーベルト

マーベルトとは、主にパンツやスカートの内側ウエスト部分に付けられる、ベルト状の生地や生地を加工してベルト裏に縫い付けられたパーツの事です。「腰裏(こしうら)」とも呼ばれています。特に紳士のスラックスに使用されることが多いです。
マーベルトがあることでウエストラインが安定し、フィット感が向上します。滑り止めテープ付きのタイプは、シャツがパンツからはみ出るのを防ぐ役割も果たします。
内側に付くため基本的には見えませんが、見えないお洒落として縞スレキや柄物の生地を使用したものもあります。

またマーベルトは様々な生地や色を自由に組み合わせることが出来、オリジナル性を表現することができるのも特徴です。
⑩バインダーテープ

バインダーテープとは、テープの中央に折れ線が入っており、二つ折りにして生地を挟み込み、縫い付けるためのテープです。
文房具の紙を挟んで綴じる「バインダー」が名前の由来です。
ストレッチ性のあるものが多く、フリースの裾や袖口によく使用されます。
そのほか、ダウンベストのアームホールやポケット口などにも使われており、伸縮性があるためカーブ部分にも縫いやすいのが特徴です。デザインのアクセントになるだけでなく、生地のほつれ防止や、適度な締め付けを実現する機能的なテープです。
サイズ表記は一般的なテープと異なり、「10mm×10mm」のように表記されます。これは、折り線を中心に二つ折りすると仕上がりが10mm、広げた状態では20mm幅であることを示しています。厚手・薄手、グログランテープタイプ、柄物など、種類やカラー展開も豊富です。
まとめ
ご存知のものはありましたでしょうか?普段何気なく着ている洋服にも、実はたくさんの付属が使われています。
今回取り上げた10個のアパレル資材は、どれも服の着心地や見た目を支える重要な役割を果たしているものばかりです。名前や用途を知ることで、洋服を見る目がぐっと深くなるはず。ぜひ次に服を手に取るときや作るときに、この記事を思い出してください。
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