ポリエステルとは

ポリエステルとは

ペットボトルの画像

 

名称(日本語/英語)

ポリエステル(ぽりえすてる) /  Polyester

カテゴリ

主資材

種類大カテゴリ(化学繊維)

概要

名称:日本語名・・・ポリエステル/英語名・・・ Polyester(日本語名:ポリエステル ぽりえすてる/英語名・・・ Polyester)ポリエステル繊維は石油原料由来の繊維で化学繊維の中で最も多く生産されて使用されている繊維です。ポリエステルという呼び方はエステル基を有する多種類の合成化合物の総称として使われています。繊維用途ではPET(ポリエチレンテレフタラート)・PTT(ポリトリメチレンテレフタラート)・PBT(ポリブチレンテレフタラート)・PEN(ポリエチレンナフタレート)が代表的なポリエステルです。中でもPET(ポリエチレンテレフタラート)はペットボトルの原料でもあり原料の価格が安く入手がし易いことから最も広く使われています。

繊維用途に使われる主なポリエステルの種類

ポリエチレンテレフタラート (略称:PET/ polyethlene terephthalate)

ポリエチレンテレフタラートの化学式画像
Jü, Public domain, via Wikimedia Commons

ポリエチレンテレフタラートは石油を原料につくられるテレフタル酸とエチレングリコールを高温・高真空下で化学反応によって縮重合させてつくられる合成高分子樹脂(ポリマー)です。1941年にイギリスで開発され「テレリン(Terylene)」という名称で発表されて生産がはじまります。1945年に米国デュポン社が米国内での権利を取得、1953年に「ダクロン(Dacron)」という商品名で工業生産を開始します。日本では1957年に帝人と東レがイギリスICI社と契約して1958年から「テトロン(Tetoron)」商標で製造・販売がはじまりました。PETは汎用性が高くコストが安いことから繊維をはじめ飲料容器(ペットボトル)・フィルムなどに広く使われるようになり現在に至ります。繊維としては耐熱性・染色性・強度・速乾性に優れています。また製造過程で糸の形状を変化させて様々な特性を付与させることも可能なことから衣料用繊維として天然繊維や他の化学繊維と較べても最も広く普及して使用されている繊維です。

ポリトリメチレンテレフタラート(略称:PTT / polytrimethlen terephthalate)

ポリトリメチレンテレフタラートはテレフタル酸と1,3-プロパンジオールを縮重合してつくられます。原料の1,3-プロパンジオールは従来は化学合成される物質でしたが、近年ではトウモロコシなどの植物由来原料を微生物によって還元させて製造する手法が工業化されたことで環境配慮素材としても注目されています。繊維としては高い収縮性と形態安定性、柔らかい肌触りを特徴としていて特にストレッチ素材ではポリウレタンに較べて加水分解が起こりにくく、長く着用できることやリサイクルするときにポリエステルとして分解・再生できることからも注目されています。PTTを使用した日本メーカーの商品としては帝人の「ソロテックス(SOLOTEX)」や東レの「ライクラT-400(フィッティ)」が知られています。

ポリブチレンテレフタラート(略称:PBT / polybutylene terephthalate)

ポリブチレンテレフタラートはテレフタル酸と1,4-ブチレンテレフタラートを縮重合してつくられます。PTT同様にストレッチ性がありますがキックバック性は緩やかで繊維の縮れによるかさ高性があり保温性や軽さが特徴です。強度や耐熱性に優れることから資材用途に用いられることが多く、繊維素材としては帝人(ファインセル)・クラレ(アートロン®)・ユニチカ(ワンダロン®)などが生産されていましたが、現在は帝人のファインセルのみが極めて少量生産されている状況です。

ポリエステルの特性

ポリエステルの糸の画像

一般的なポリエステル繊維の特性を下記に箇条表記します。

  • 比重1.38  水分率0.4~0.5%  240℃前後で軟化  255~260℃で溶融
  • 耐候性が高く日光・カビ・虫害の影響を受けない
  • 吸湿性が小さく速乾性がある
  • シワになりにくく、縮みにくい
  • 熱可塑性がある
  • 分散染料で高温、高圧で染色し、変退色が少ない
  • 酸やアルカリにも比較的強い
  • 繊維自体には通気性・吸湿性がほとんどない
  • 静電気が起きやすい
  • 繊維の形状によってはピリングが起こりやすい

複合繊維(ポリエステル)とは

混用率の表示画像

最近では混用率に「複合繊維(ポリエステル)52% ポリエステル48%」のように記載されている素材をよく見かけます。ポリエステル100%ではないの? どう言う意味だろう?と 疑問に思ったことがある方も多いと思います。この複合繊維(ポリエステル)とは何でしょうか? 複合繊維はコンジュケート糸とも呼ばれ成分の異なる2種類のポリエステルポリマーを同時に紡出して作られた繊維のことです。例としてはPET(ポリエチレンテレフタラート)とPTT(ポリトリメチレンテレフタラート)を組み合わせを組み合わせて機能性を付加した「帝人のソロテックス」や「東レのフィッティ」のような素材の表記に使われています。混用率表示規定ではポリエステル100%表示で良いのですが素材性能を表す意図で複合繊維と表示していることがあります。複合繊維や様々な化学繊維の改質・改良については別項で改めて説明したいと思います。

国内メーカーの代表的ポリエステル繊維商材

ここではポリエステル繊維を使用した国内合繊メーカーの代表的なテキスタイル素材を簡単に紹介します。非常に種類が多くとても紹介しきれないので各メーカの代表的なポリエステル素材100%の素材をピックアップしています。また他素材との混紡・交織素材は割愛しました。素材のメーカーサイトがある場合はリンクを貼ってあるので必要があればご確認ください。

東レ   

シルック®

シルック®は絹調のポリエステル繊維のテキスタイルシリーズです、上質な絹の風合いとお手入れが簡単のことから和装をはじめフォーマルやファッション素材に広く使われています。

フィールドセンサー®

フィールドセンサーは毛細管現象を応用した編物のテキスタイルで、汗を素早く吸収・拡散させる給水速乾性の機能素材。汗によるベタつきやまとわりつきを防ぎ洗濯耐久性、寸法安定性に優れ汗をかくスポーツや作業服に広く使われています。

シャミラン®

強撚ポリエステル糸を使用した通気性に富む麻調織編物のテキスタイル素材。

リランチェ®

ポリエステル長繊維複合加工糸を使用したスラブ調の織編物テキスタイル素材。

NANODEESIGN®(ナノデザイン)シリーズ

NANODESIGN®は、東レが開発した複合紡糸技術です。ナノスケールで繊維を生成するポリマーの流れをして最大数万分の1の細さの繊維を紡出して形状を制御することで、これまでは難しかった特殊形状の繊維の成形や2種類以上のポリマーを組み合わせることが可能になり。様々な機能性や快適さを追求した繊維創出の可能性が広がりました。現在この技術を用いてkinari®・ust-FIT®・Camifu®・Primeflex®をシリーズ展開しています。

kinari™

NANODESIGN®技術を用いてシルク繊維の構造を再現した天然シルクの上質な風合いと合繊の機能性を兼ね備えたテキスタイルシリーズ。メーカー技術説明リンク(pdf)

uts-FIT®

従来の東レのマイクロファイバー技術にNANODESIGN®技術が加わることで創出された、微細なスパイラル構造の超極細繊維によって嵩高で滑らかなタッチや光沢感、ソフトでありながら型崩れしないユニークな風合いのテキスタイルシリーズ。メーカー技術説明リンク(pdf)

Camifu®

NANODESIGN®技術によって和紙のようにランダムな凹凸とぬくもりのある質感を実現したテキスタイル素材です。原糸の構造によって天然素材のようなランダムさ、凹凸感を備えながら反発性、吸水性、保水性があって家庭で洗えるCamifu®は中空構造になっている為、多様な機能剤を付加できる高機能繊維素材です。メーカー技術説明リンク(pdf)

Primeflex®(プライムフレックス)

プライムフレックス®はスポーツ・カジュアル向けストレッチ素材で有名なFITTY®も含めたNANODESIGN®の複合紡糸技術による2成分バイメタル繊維の総合ブランドです。バイメタル繊維としては0.8dtexという世界一細い単糸繊度を実現しながら、しなやかでストレッチ性のある高機能な複合ポリエステル素材(ナイロン素材も有)を展開しています。メーカーの素材サイト

東レ企業サイト

TORAY

東レ株式会社のウェブサイトです。企業情報、サステナビリティ、製品・サービス、研究・技術開発、株主・投資家情報、採用情報な…

帝人   

SOLOTEX®(ソロテックス®)

ソロテックス®バネのPTT(ポリトリメチレンテレフタラート)を主原料にしたバネのような螺旋形状の構造によって実現したストレッチ性、ソフトな風合い、クッション性や形態安定性、発色の良さが特徴のテキスタイル素材を展開しています。用途に合わせてラインナップ展開があります。またリサイクルPETポリマーと一部に植物由来原料を使用したPTTポリマーの2種類のポリマーを複合したソロテックス®ECO-Hybridやナノレベルの超極細繊維を使用したNONOFRONT®(ナノフロント®)を展開していて衣料から資材まで幅広く使われています。メーカー素材サイト

エアロカプセル®

エアロカプセル®は高中空構造によって中空率を極限まで高めたことによってデッドエアを大量に含んだ軽量で高い保温性を持つポリエステル素材を実現。スポーツウェア・インナーウェアー・アウターウェアーや中綿として広く使われている。メーカーの素材リーフレットpdf

ウェーブロン®

ウェーブロン®は四つ山扁平断面の繊維構造によって淡色での透け感を抑えて、独特のしなやかさとドレープ性、UVカット性があります。また繊維の隙間に水分を吸い込んで繊維表面の溝が拡散を早めることで速乾性も備えていてファッション・スポーツ・インナー衣料をはじめインテリアやカーテン素材として使われています。メーカーの素材リーフレット(カーテン用)pdf

レクタス®

レクタス®は蓮の葉の超撥水性(ロータス効果)に着目して蓮の葉の表面の微細な凹凸構造を極細糸による特殊高密度構造織物によって再現して独自の撥水技術と組み合わせた高耐久撥水織物です。メーカー素材サイト

エコペット®(ECOPET)

PETリサイクル繊維のエコペット®は1995年にペットボトルのマテリアルリサイクル繊維として発売され、2000年からは繊維製品などをケミカルリサイクル手法と併せて用途に応じた豊富なバリエーションを展開しています。メーカー素材サイト

帝人 繊維素材サイト

帝人

テイジンの「繊維・製品」ページです。テイジンでは、アラミド・炭素繊維・樹脂・複合成形材料、ヘルスケア、繊維・製品、ITな…

ユニチカ     

ユニエコロ(Uniecolo)

ユニエコロ®は使用済みペットボトルを再利用した再生ポリエステル繊維です。

クールアート20(Coolart-20)

クールアート®20はユニチカ独自技術の3層構造ポリエステルフィラメントで光の透過を効果的に抑え、防透け性・UVカット性・遮熱性・軽量性を実現したポリエステル繊維です。メーカー素材サイト

サラクール®

サラクール®は通常のポリエステルに較べて2~3倍の太陽光遮蔽性によって衣服内の温度を低く保ち、防透け性と高いUVカット性を兼ね備えたポリエステル繊維です。メーカー素材サイト

サーモトロン ラジポカ®(Thermotron RadiPoka)

サーモトロンラジポカ®は1本のポリエステルフィラメントに吸光熱変換機能剤と遠赤外線放射機能剤を融合することで太陽光を吸収・変換した熱により遠赤外線放射効果を促進する繊維です。メーカー素材サイト

タフレックス®

ファインデニールポリエステル繊維を高密度に織り上げたソフトな風合いの透湿防水素材でスポーツからカジュアル、ユニフォームまで幅広く使われている繊維です。

ユニチカ繊維事業サイト

繊維事業ページでは、ユニチカの繊維事業に関する製品について紹介しています。ユニチカはコア技術である高分子・繊維・無機材料…

東洋紡     

レイブロック®(rayblock)

高捲縮タイプのポリエステル繊維に特殊セラミックを高濃度に含有させて高密度に編成することで薄地にもかかわらず高い紫外線遮蔽率を実現吸汗速乾性とナチュラルストレッチ性を併せ持った素材です。メーカー素材サイト

ドライアイス®(DRYICE)

水分率が高くて吸汗性のある特殊ポリエステルを使用した繊維接触面積の大きいドライアイス®糸を使用することによって体の熱を効率よく移動させながら水分の蒸発により気化熱を奪い運動中のクール感が持続する繊維素材です。メーカー素材サイト

セレスドライ®(CERESDRY)

セレスドライ®は新開発のY字異形断面ポリエステルスパン繊維です。その繊維形状によって汗を素早く吸収拡散させて蒸発させることでドライ感と清涼感があって抗ピル性にも優れた素材です。メーカー素材サイト

デオドライ®(DEODRY)

デオドライ®は従来の吸汗速乾素材にさらに水分拡散性の高い特殊ポリエステルフィラメントを組み合させて高い吸汗性・速乾性を実現。また特殊抗菌防臭消臭加工剤によって臭いのもとになる物質を分解し菌やバクテリアの繁殖を抑える抗菌防臭効果の高い素材です。メーカー素材サイト

エコールクラブ®(ECHORCLUB)

東洋紡のペットボトル再生繊維製品の登録商標。使用済みペットボトルをマテリアルリサイクルによって衣料用短繊維ファイバーへとリサイクルしてバージンポリエステルの品質に限りなく近づけた素材です。メーカー素材サイト

東洋紡機能衣料・快適素材サイト

クラレ     

クラレは自社の登録商標であるポリエステル長繊維「クラベラ」をベースにした特殊繊維を生産しています。ポリエステル100%素材としてはピュアス・ブリーズライト・スペースマスターを展開しています。

ピュアス

ピュアスは汎用ポリエステル繊維ですが通常のポリエステル繊維の染色が130~135℃の高温・高圧で行われるのに対して105℃で染色可能なポリエステル繊維で染色工程でのエネルギー削減を可能にした素材です。メーカー素材サイト

ブリーズライト

ブリーズライトはドックボーンと呼ばれる偏平特殊断面構造のポリエステル繊維で肌への接触面積を小さくしてべたつきを抑えながら表面積の大きさによって汗を素早く吸収・拡散させます。さらに繊維に酸化チタンを練り込むことでUVケア性能、防透け性を兼ね備えた素材です。メーカー素材サイト

スペースマスター

スペースマスターはサンゴの形状をヒントに生まれて十字断面の4本溝形状による毛細管現象で優れた吸水速乾性を発揮します。従来のポリエステル繊維に較べて25%以上の軽量化を実現した繊維素材です。

クラレ製品情報サイト

化学メーカークラレのオフィシャルサイト。クラレグループの主要製品をご紹介します。…

まとめ

低コストで汎用性が高く様々な形状に加工することが出来るポリエステルは耐候性もあって物質として安定しているなど理由から工業化・製品化されると瞬く間に広まって人々の暮らしを一変させました。ポリエステル樹脂は繊維用途ばかりでなく生活のあらゆる場面に取り入れられて利用されたことで日常生活になくてはならない素材となる一方、自然環境下で分解しにくく残留することや製造時に添加される化学物質の影響などによって、大量に廃棄、放置されることで深刻環境問題を引き起こしています。開発されてからおよそ80年を経て、私たちの衣料を含めた暮らしに深く浸透して便利で欠くことの出来ない素材となったポリエステルを含めた化合繊素材は、リサイクルインフラの整備や意識の変化によって環境への影響を極限まで減らすことやより環境負荷の少ない代替新素材の開発や普及も喫緊の課題になっています。

参考文献