天然繊維とは
名称(日本語/英語) | 天然繊維(てんねんせんい) / natural fiber |
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カテゴリ | 主資材 |
種類 | 大カテゴリ(天然繊維) |
概要
(日本語名:天然繊維 てんねんせんい/英語名・・・ natural fiber)とは、綿・カポック(種子毛繊維)・麻(靭皮繊維)などの植物繊維(セルロース繊維)および絹(家蚕・野蚕)・獣毛(羊毛・ヤギ毛・その他)などの動物繊維(タンパク質繊維)の総称です。(鉱物繊維である石綿も天然繊維に含まれる)
成り立ち
天然繊維の歴史は極めて古く広範囲で、その源を辿ることはとうてい不可能です。それぞれの天然繊維の来歴については当該の項目で触れたいと思いますが、最も古い人類の繊維利用の歴史は縄文土器の縄目模様からもあきらかなように縄文時代の草創期にまで遡ることができます。日本国内の縄文遺跡からも「編布(アンギン)」と呼ばれる現在まで伝わる簾を作るのと同じ技法でアカソやカラムシの繊維を使って編まれた布も出土しています。
種類
主に衣料に利用される繊維には植物由来(セルロース繊維)と動物由来(タンパク質繊維)があり、植物繊維には種を保護する綿毛を利用する種子毛繊維(しゅしもうせんい)「綿(リクチメン)・カポック(パンヤ綿)」と植物の茎や葉の繊維を利用する靭皮繊維(じんぴせんい)「亜麻(リネン)・苧麻(ラミー)・大麻(ヘンプ)・黄麻(ジュート)」などの一般的に麻と呼んでいる繊維があります。
動物繊維には昆虫(主に蛾類)が作る繭の糸を利用したまゆ繊維「絹(シルク)・家蚕(かさん)・野蚕(やさん)」と動物の体毛を利用した獣毛繊維「羊毛・カシミヤ・アルパカ・アンゴラ」などがあります。また天然繊維には鉱物繊維である石綿(アスベスト)や食物繊維(水溶性食物繊維・不溶性食物繊維)もありますが、ここでは取り上げません。
魅力
自然由来の原料素材を使用した天然繊維の魅力は綿・麻・ウール・シルクなどの素材により違いがありますが、それぞれの素材独自の風合い・肌ざわり・質感に加えて吸湿性・通気性・保温性に優れ。化学繊維に比べて蒸れにくく、静電気の発生が少なくほこりがつきにくいなどの利点があります。
また様々な加工や経年による風合いの変化を楽しむことが出来るのも天然繊維の大きな魅力です。
性質
主な天然繊維の性質は下表を参照して下さい。
繊維の性質 | 繊維製品に 関する性能 | 綿 | 麻 | 毛 | 絹 |
比重 | 重さ・かさばり | 1.54 | 1.50 | 1.32 | 1.33~1.45 |
水分率(%) | 吸湿性・乾きの速さ | 7.0 | 7~10 | 16.0 | 9.0 |
引張強度 (乾燥時)g/d | 丈夫さ・耐久性 | 3.0~4.9 | 5.6~6.5 | 1.0~1.7 | 3.0~4.0 |
乾湿強力比 (%) | 耐洗濯性 | 102~110 | 108~118 | 76~96 | 70.00 |
伸び率(%) | 剛軟性・伸縮性 | 3~7 | 1.5~2.3 | 25~35 | 15~25 |
ヤング率(%) | 剛軟性・ドレープ性 | 950~1300 | 2500~5500 | 130~300 | 650~1200 |
伸長弾性率(%) (3%伸長時) | 防しわ性・伸縮性 | 74 (2) | 48 (2) | 99 (2) | 55 (8) |
熱の影響 | アイロン温度の適温 | 高温に耐える 高 | 高温に耐える 高 | 高温で黄変 中 | 高温で黄変 中 |
アルカリの影響 | 洗剤の選択 | 強い | 強い | 弱い | 弱い |
染色性 | 直接・バット・塩基性・媒染 などの各種染料で染められる | 直接・ナフトール・バット染料など | 酸性・クロム・バット・塩基性染料など | 直接・酸性・塩基性・媒染染料など | |
燃焼 | 易 | 易 | やや易 | やや易 | |
日光 | 強 | 強 | 弱 | 特に弱 | |
カビ | 弱 | 弱 | やや弱 | やや弱 | |
虫害 | やや強 | やや強 | 特に弱 | 弱 | |
比 重:4℃の水の密度を1としたときの比重。 水 分 率:温度20℃、湿度65%(標準状態)において繊維が吸湿する割合。 引 張 強 度 :繊維を引っ張って切断したときの強力を1デニール当たりの強力に換算した値。 乾湿強力比:水にぬらしたときの強度と乾燥時(標準状態)の強度の割合。 伸 び 率:繊維を引張って切断したときの伸びの割合。 ヤ ン グ率:初期の引張に対する抵抗力。 伸長弾性率:一定の伸び率(3%またはかっこ内の%)に対して回復する割合。 |
代表的な繊維メーカー
- ダイワボウホールディングス株式会社
-大和紡績株式会社 - 日清紡ホールディングス株式会社(NISSINBO)
- 東洋紡株式会社(TOYOBO)
- 倉敷紡績株式会社(クラボウ)
- 日本毛織株式会社(ニッケ)
- 日東紡績株式会社(Nittobo)
- シキボウ株式会社(shikibo)
- 富士紡ホールディングス株式会社(FUJIBO)
ダイワボウホールディングス株式会社ー大和紡績株式会社
メーカー名 | 大和紡績株式会社 |
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URL | https://www.daiwabo.co.jp/ |
日清紡ホールディングス株式会社(NISSINBO)
メーカー名 | 日清紡ホールディングス株式会社 |
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URL | https://www.nisshinbo.co.jp/index.html |
東洋紡株式会社(TOYOBO)
メーカー名 | 東洋紡株式会社 |
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URL | https://www.toyobo.co.jp/ |
倉敷紡績株式会社(クラボウ)
メーカー名 | 倉敷紡績株式会社 |
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URL | https://www.kurabo.co.jp/ |
日本毛織株式会社(ニッケ)
メーカー名 | 日本毛織株式会社 |
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URL | https://www.nikke.co.jp/ |
日東紡績株式会社(Nittobo)
メーカー名 | 日東紡績株式会社 |
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URL | https://www.nittobo.co.jp/index.html |
シキボウ株式会社(shikibo)
メーカー名 | シキボウ株式会社 |
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URL | http://www.shikibo.co.jp/ |
まとめ
ファッション衣料で化学繊維と並んで大きなウェイトを占める天然繊維は歴史、素材の特性から利用方法まで広範囲ですのでそれぞれの天然繊維(綿・麻・毛・絹)の詳細については各項目を参照してください。
参考文献
- 「被服材料への招待」日下部信幸著