もくじ
芯地とは

名称(日本語/英語) | 芯地/interlining |
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カテゴリ | 副資材 |
種類 | 大カテゴリ(芯地) |
種類
芯地は大きく分けて4種類あります。
そして接着芯地とフラシ芯地(糊なし)、2つに分類されます。
概要
芯地は、洋服やその他雑貨品にも使用される副資材になります。美しいシルエット作りや型崩れを防ぎ、表地にハリを持たせます。特に洋服作りには欠かせないものであり、表生地と目的に応じた使用箇所(前芯、衿芯、袖口芯、ポケット芯、ベルト芯)に合わせて芯地の種類を設定しなければなりません。接着樹脂がついている接着芯地と、樹脂が付いていないフラシ芯地があり、昨今では接着芯地が主流となっています。
成り立ち
日本人の服装が和装から洋装に移る時代に芯地の歴史ははじまります。
昭和初期(1925年頃)当時の芯地は、そのほとんどをヨーロッパからの輸入に依存していました。
1945年頃になると、ようやく家内工業的な規模で芯地製造が始まり、糸作り技術を使った麻糸やガラ紡績糸の芯地が作られていきました。1950年頃には、人の髪の毛を利用したものとレーヨンとを混ぜて糸を紡績することを開発、その糸で毛芯地を製造することに成功します。
接着芯地の歴史は、綿布の表面に熱可塑性の樹脂を塗布し、芯地として使用するという特許がヨーロッパで公告され、その始まりは1900年の初めごろとされています。
その後、ヨーロッパでは第二次世界大戦の終わりによっての労働力不足、熟練の縫製技術者不足の要因によって衣料づくりの改革が生じた為、合理化と簡略化とともに、生産性のある接着芯地へ発展と需要がより高まっていきました。そして1951年に英国で創立されたステーフレックス社は、世界で初めて接着芯地の技術開発に成功した、いわば接着芯地のパイオニアであります。
日本でも1960年前後に、不織布メーカー各社がシンタータイプ(樹脂を粒子にしてランダム散布)の接着芯地を発売していますが、本格的な縫製に適応する織物接着芯地の登場は、ヨーロッパの接着芯地について数年にわたって調査・研究していた日本クロス工業(現=ダイニック)が英国のステーフレックス社と技術援助契約を締結し、1965年に同社の織物タイプ、編物タイプの接着芯地の生産・販売システムを導入することで、日本で初めて織物ベースの接着芯地を発売しました。
そして1977年に、日本の織物接着芯地の先発メーカー5社による(旭ピカルディ、ダイニック、東海サーモ、日東紡績、日本ハスケル)
接着芯地協議会が結成されました。
用途
衣服
紳士、婦人スーツの前身頃、前身見返し、衿、地衿、ラペル、ベンツ、ポケット、フラップ、玉縁、ボトムのウエスト、ファスナー部分の見返しに使用されており、またシャツの襟や前立て、カフス、ワンピースの首周りの見返し等にも使用されています。
それぞれのデザインやシルエットに合わせて、芯地を選定し仕様します。
雑貨
バッグには織芯、不織布芯ともに広く使用されており、帽子のツバには主に不織布のフラシ芯が主に使用されています。
魅力
芯地の大きな魅力といえば、使用する基布の種類や厚み、また織り方や風合いの選択によって、自由自在に洋服のシルエットを表現出来るところにあります。
仮に同じデザイン画、表生地でも選ばれる芯地によって、フォルム(型)やシルエットの魅せ方を変えられるというわけです。特に薄手の表生地には顕著に現れる傾向があります。
例えば、衿に硬い芯地を使用にすれば、衿を立たせて颯爽とした雰囲気に仕上がりますが、
反対に柔らかい芯地を使えば、大人しい印象の柔軟なシャツに上げることが出来ます。
スーツ生地でも薄く仕立て映えのしない安価な表生地でも、緯糸がしっかりしている保形性の良い高級芯地を使用すれば、丸みのあるしっかりとジャケットに仕立て上げることが出来たりもします。その他に、芯地を使用する事により保形性=耐久性にも繋がり、表生地への補強をすると同時に型崩れの抑制効果も期待出来ます。
特徴
芯地は大きく分けて、接着芯地、フラシ芯地(接着なし)と2つに分類されます。
接着芯地とは芯地の基布に樹脂が付いているタイプで、接着条件に(温度、圧力、時間)合わせて、表生地に接着して使用する芯地です。
また反対に、フラシ芯地とは接着樹脂が付いておらず、そのまま表生地に重ねて縫製していきます。その為、接着芯地の取り扱いより技術が必要となります。
芯地を使用するメリットとして、
- 成型保形性
- シルエット審美性
- 寸法安定性
- 補強耐久性
- 可縫生産性
などがあります。
ただし、もちろんデメリットもあります。特に接着芯地を使用した場合は、接着の糊による影響で表生地の風合いが損なわれてしまうケースがあります。また接着時のトラブルにより糊が透けて見えたり、光ったりする場合もありますので、事前の接着テストが必要となります。
接着樹脂の種類
- ポリアミド樹脂
- ポリウレタン樹脂
- ポリビニールアルコール樹脂
- 高密度ポリエチレン樹脂
代表的な芯地
毛芯

毛芯は弾力のある馬やモヘアの毛と綿糸などを交織したもので、糊が付いていないフラシ芯になります。糊の影響が表地に出ないことで、本来の表生地の風合いを殺さずに保形性、補強性を実現する芯地です。最近では高価な資材な為、高級スーツ、高級ジャケットの前身頃、衿等に使われています。
織物芯

<短繊維系織物芯地> 綿芯やポリエステル綿混紡の芯地を指します。
寸法安定性に、保形性に優れており、非常に取り扱いやすく、シルエットが出やすいです。特に綿のフラシ芯は、綿シャツに馴染みが良く人気があり、多く使われています。
<長繊維系織物芯地>現代における主流の加工糸芯地で、繊維に撚りがあることによりストレッチ生地に馴染みが良く、追従性に優れている芯地です。
汎用性も広く、とても人気があります。
不織布芯

繊維を糸にしないで固めた芯のことで、軽くて通気性、保温性、ろ過性の特性があります。モアレ現象が出にくく、低コストのため大量生産向きの芯地です。衣料に使用される基布の繊維はポリエステルが主流で、基布の主な種類は2種類になります。
ひとつはバインダーで結合させるケミカルボンド法で、しわになりにくく、ほつれもなく、コシがあるタイプです。パーツ芯にお勧めです。ふたつめは、熱で溶融させて結合させるサーマルボンド法です。ソフトな風合いでドレープ性があります。
代表的な芯地メーカー
- 日東紡 https://www.nittobo.co.jp/business/textile/index.htm
- 東海サーモ https://www.thermofix.co.jp/
- 日本バイリーン http://www.vilene.co.jp/product/amenity/v000095.htm
- ダイニック https://www.dynic.co.jp/product/product_04.html
- 田幸 http://www.takoh.co.jp/cloth%20material.html
取り扱い上の注意
芯地の取り扱いには、非常に注意が必要となります。
大きな理由として表生地に接着してしまった芯地は元に戻すことが出来ないためです。剥がして、他の芯地を付け替えることなどが出来ません。
そのため必ず芯地メーカーにおいて、接着テストをして表生地との状態を検査確認する必要があります。試験項目としては、接着力、縮率が一番大切となり、洗濯水洗い後、クリーニングドライ数回後にも接着力が最低限保たれているかなど、確認しておきます。
またその他にも、接着後における不良、トラブルが起きていないかも見て確認します。例えば、接着樹脂のシミ出し、基布によるモアレ現象、カール現象、表から見える樹脂光りなどがないか、きちんと確認してから使用してください。
接着テスト依頼時の注意とポイント

メーカーへ接着テストを依頼する時には、各メーカー毎に指定の接着テスト用紙が用意されてあります。そこには、テストをする表地の混率、地の目の方向、芯地の使用箇所など詳しい情報を記載してください。縮率、水洗い、クリーニングのテストも必要かどうか提示してください。
芯地は使用する箇所によって、必要な接着力の差異があります。
加工・縫製工場へ渡す際の注意とポイント
量産前には必ず接着テストを行い、品番毎の接着条件に伴った取り扱いをするように指示をしておくのが良いでしょう。よく中国の縫製工場であるのが、効率、生産性を上げるため、指定の条件より高温に設定し、接着時間を短くしたりしてトラブルが起きていることがあります。時間を短縮すると、なにが起きるかというと接着力不足に陥ります。また高温にするとシミ出し、収縮現象などが発生したりする可能性があります。
芯地テストの詳細を事前に渡しておくことが肝要となります。
選定ポイント
芯地を決めるポイントは、表地の組成や風合いを理解した上で、どのようなシルエットやフォルムにしたいかを考えて行きます。
その為には、あらかじめ自分の好みの芯地の軸を決めておくのが良いでしょう。それを軸にしてイメージをしていくと芯地が選びやすくなります。また表地が天然素材ならば、やはり芯地も天然素材に近いものを選定するのが望ましいです。
おすすめ芯地
① 新触感融合の加工糸芯地(品番 SN717)
特殊糸を使い、軽量なのに適度なコシもあるふんわり新触感の融合芯地になります。
まろやかな風合いなのに、寸法安定性も兼ね備え、優れた一押し芯地です。
ふんわり柔らかな前身頃のシルエットになります。(主にレディース向き)

➁ オールマイティーな加工糸芯地 (品番 GS5075)
数ある加工芯の中で、おススメなのがこの品番になります。
タテ50dヨコ75dでどんな使用箇所でも汎用性が広く対応できます。
しなやかさと適度なヨコハリ感で、仕立て映えのキレイさに満足出来ます!
特にジャケットやコートの見返し使いに真価を発揮します。(主にメンズ向き)

製品の魅力を引き出す提案
芯地は、表地の魅力や風合いを最大限に引き出しことが大切です。
上衣においては、保形性のある芯地を使用する事で製品の仕立て映えが上がり、本来の体形よりスタイルを綺麗に見せることも出来ます。
表地との馴染み感にこだわりつつ、使用箇所に合った硬さの芯地を選定し、デザインシルエットを表現する芯地を選ぶと良いでしょう。
まとめ
芯地はあくまでも裏方でありますが、仕立て上がった時や、着衣した時にその真価が分かります。不思議なことに接着芯地は、表地と結合することでその本来の芯地の風合いが変化することが多々あります。結合して性格が変わるという表現が分かりやすいかもしれません。そのため、それぞれの芯地の特性を理解し、選定するには案外経験と時間が必要なります。だからこそ芯地は楽しくもあり、非常に奥深い資材なのです。
参考文献:文化出版局 『ファッション辞典』
株式会社 田幸 『毛芯の歴史』http://www.takoh.co.jp/hairinterlining.html#:~:text=%E3%82%8F%E3%81%8C%E5%9B%BD%E3%81%AE%E6%AF%9B%E8%8A%AF%E3%81%AE,%E3%81%AB%E4%BE%9D%E5%AD%98%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%9F%E3%80%82
ダイニック株式会社 『接着芯地の歴史』 https://www.dynic.co.jp/company/80/chno5/ch05-8.html
公開日:2023.2.1
更新日: