もくじ
中綿とは
名称(日本語/英語) |
中綿/padding/insulation(読み方:パディング/インサレーション) |
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カテゴリ | 副資材 |
種類 | 大カテゴリ(繊維資材) |
種類
概要
中綿とは、冬物のアウター等のウェアや布団の中に詰めて保温性を高める役割をする資材です。合繊性のものが多く、ダウンの代替えや廉価品として使用されてきました。
ここでいう中綿とは、アパレル向けなどで使われる化学繊維、天然繊維で人工的に作られた綿のことを指しています。特に多く使われている原料は、化学繊維のポリエステルで作られているものが多く、あらゆる防寒着の断熱材として主流となっています。安価なレギュラー中綿から~機能性に優れた高価な中綿まで幅広くあります。原料が化学繊維の特徴からとても取扱い易く、耐水性にも優れている点も人気の要因です。
羽毛(ダウン)に比べると保温性、軽量性はやや劣りますが、高機能中綿においては超微細マイクロファイバー素材で作られているものも多く、今までにない画期的な断熱性、防寒テクノロジー商品があり、さまざまな分野で使われています。
用途
防寒、保温、嵩増しなどで使われるもので、防寒用ウエア、小物、ブーツ、寝具、クッション、ぬいぐるみなど。
衣服
ダウンジャケット、ダウンベスト、モッズコートのライナー、防寒パンツ、スカート、ウインタースポーツウエア(スキー、スノボーなど)
その他
レッグウォーマー、手袋、掛け布団、クッション、巾着キルト袋、雪山用のシューズ、キルト生地のインテリアグッズ等
魅力
中綿の最大の魅力は、種類の豊富さや取扱い易さ、縫製の生産性が高いことです。昨今においては、羽毛タイプの高機能中綿が進化し、薄くて暖かく、軽くて暖かいのも大きな魅力です。科学的な分析に基づいて生産されており、快適性をより追求している素材となっております。
またその他に、天然のダウンと比べると価格メリットも嬉しい魅力の一つです。高機能性の中綿でも種類やメーカーによってはそこまで単価が高くなくて、コストパフォーマンスが可能です。
特徴
中綿の原料は化学繊維が多く使われています。その為、耐水性に優れており、また取り扱いが易しく、縫製加工でも生産性が高いです。やや板状に近いレギュラータイプの中綿なら偏りも起きにくく、場合によっては水洗い可能です。
また高機能中綿素材であっても耐久性、通気性に優れており、さらにプラス機能として収納性、柔軟性、保温性、軽量性、快適性があります。
代表的な中綿商品(主にアパレル向け)
レギュラー中綿
昔からあるタイプの化繊中綿のことで、特に機能性もありません。高機能中綿に比べるとややハリやコシがあるので縫製がしやすく偏りもでにくいです。キルト加工においても生産性が高く、ファッション以外の資材用にも向いています。中綿の中では低価格品で、一般的に30g~120g/mまで重量(嵩高)の商品規格展開があります。
主な用途;防寒着、裏地キルト綿、雑貨やインテリアのキルト綿等、
機能中綿
ここでいう機能中綿とは、アパレル向けの高機能中綿のことを指しています。昨今様々な機能性、保温性があるものが増えてきています。スポーツウエア、カジュアルウエア、ユニホームにも欠かせない中綿になっています。
代表的な商品として
ソロテックス®×エアロカプセル®γECO (帝人フロンティア㈱ 衣料用高機能中綿)
帝人フロンティア㈱のPETボトルリサイクル素材ECOPET®シリーズの「エアロカプセル®γECO」と構成するポリマーの一部が植物由来である「ソロテックス®」を配合し、環境に配慮した高機能中綿です。
今回使用したのは「ソロテックス®」の中でも、PTTとPETの2成分で構成された中空立体捲縮繊維。バネのような、らせん状の分子構造を持つPTTを立体捲縮繊維にすることで、やわらかく、かつ形態回復に優れます。また、「エアロカプセル®γECO」は「ソロテックス®」と同様、繊維の中の大きな空洞に大量の空気を封じ込める中空構造。これらの素材を複合させた中綿は、やわらかく、保温性に優れている商品です。
主な用途:スポーツウエア、アウターウエア等
3M™シンサレート™高機能中綿素材
シンサレートは、優れた断熱性を実現した高機能中綿です。様々な機能によって中綿の種類が分かれており、10種類程度の中から選ぶことが可能です。
例えば、薄くて暖かい軽量性・保温性に優れているスタンダードやウルトラタイプ、またソフトで嵩張らずドレープ性に富んでいるEx-Softタイプなど、それぞれ特徴があります。
その他にもHI-LOFT等があります。 (シンサレートは3M社の商標です)
主な用途:スポーツウエア、アウターウエア等
ドミット芯
アパレル向けには部分使いに使われることが多いのが、このドミット芯になります。中綿よりも目付が良く、ボリューム感、嵩高保持に優れています。フラシタイプ(糊無し)と樹脂が付いている接着タイプと両方あります。小売店などではよく、商品名が「キルト芯」ドミットタイプと売られている場合もあります。
衣料パーツ芯、雑貨キルト芯など
粒中綿
トップサーモ粒綿
一般的な中綿は板状になっている場合が多いですが、粒中綿は名前のとおり繊維が粒状になっている中綿です。やはり原料はポリエステルなど化学繊維や、再生繊維から作られています。
板状の中綿に比べると嵩高性に優れている為、繊維の間に空気を含ませ保温性もUPさせることが出来ます。但し、板状中綿の取扱いに比べると、天然のダウンと取扱いが同じになりますので、補填機械が必要になります。ダウンパックにするなど少々取扱いに手間が掛かります。また吹き出しにも、板状より注意が必要となってきます。
代表的な中綿メーカー
国内メーカー
- 帝人フロンティア https://www2.teijin-frontier.com/product/category/thread/?page=2
- 3M https://www.3mcompany.jp/3M/ja_JP/thinsulate-jp/#CONTACT%20US
- 倉敷繊維加工 https://www.kurasen.co.jp/product/clothing.html
- 岩崎産業 https://www.is-iwasaki.co.jp/company.html
海外メーカー
- プリマロフト https://www.d-breath.co.jp/primaloft/about/index.html
- デュポン https://www.dupont.co.jp/
取り扱い上の注意
粒中綿の場合、ダウンパックのように補填機械が必要です。
嵩高がつぶれたり、へたれたりしないように保管に留意してください。
高温の(夏場の締めきった室内等)場所は避けるようにしてください。
選定ポイント
企画や使用用途によって、どんな機能が必要なのか考えていきます。そして中綿の種類や品番にどんな機能があるのかを確認していくと選定しやすいと思います。またどのような形状で製品へ使用するのか、嵩高(厚み)のイメージや弾力性、軽量性なども決めるポイントになります。
キルト加工する場合などは、キルト柄と見合わせながら嵩高、凹凸感などを考えて中綿を決めていくのが良いでしょう。糸が沢山入るキルト柄は、その糸面積部分は潰れていきますので、その点を考慮していく必要があります。
資材発注時の注意とポイント
それぞれの製品企画において、量産に入る前にはサンプルで使用上に問題が起きないか、確認をする必要があります。表地と中綿による相性チェック、特に吹き出しの確認をしてください。
また、海外メーカーのブランド中綿商品などは、在庫で現物をおいておらず受注生産の商品が多いです。その為、発注から納品まで納期がかかりますので、予めリードタイム(加工納期)を確認しておくことが肝要です。
加工・縫製工場へ渡す際の注意とポイント
縫製やキルト加工の際には、表生地の種類や硬さにもよりますが、吹き出し防止としてスパンボンドを付与して加工するのが望ましいです。スパンボンドは、片面入れと両面入れとどちらかを選べます。表地側に付与するのが普通です。但し、表生地の柔らかい風合いを損ないたくないなどスパンボンドを使用されたくない場合は、事前に問題(吹き出し)が起きないかを確認してください。
保管方法については、高温の(夏場の締めきった室内等)場所は避けるようにしてください。品番よってはバインダー〈糊〉を使用した製品の場合、ベトベト感が出ることがあります。
また、組成にポリプロピレンがある場合は、紫外線に直接長時間当てないこと(日陰に保管してください)、高温設定でのアイロン、乾燥機をしないことなど注意が必要です。
おすすめ資材
<ESX>ソロテックス×サンバーナー×特殊レーヨン
ESXは、帝人フロンティア㈱のPETボトルリサイクル素材ECOPET®と機能素材を使った環境に配慮し、かつ、機能性を持った中綿商品です。
今回使用したのは「ソロテックス®」の中でも、PTTとPETの2成分で構成された中空立体捲縮繊維。バネのような、らせん状の分子構造を持つPTTを立体捲縮繊維にすることで、やわらかく、かつ形態回復に優れます。また、「エアロカプセル®γECO」は「ソロテックス®」と同様、繊維の中の大きな空洞に大量の空気を封じ込める中空構造で保温機能を実現しています。
次に「サンバーナー®」は、多くの親水基を持つことで高い吸湿能力を持ち、吸湿時に「吸着熱」を発生させます。繊維がまわりの水蒸気を吸収し、吸湿発熱の機能を発揮します。
最後に、特殊レーヨンについてですが、この素材はレーヨンの持つ吸湿能力に加え、特殊加工による消臭能力を兼ね備えています。
これらの機能素材をミックスすることで、形態回復、軽量性、保温性、吸湿発熱、消臭、制電の機能を併せ持つ、多機能中綿を実現させました。
高品質なアウターウェアなどの衣料系にお勧め商品です。
<HI-LOFT> 3M™シンサレート™高機能中綿素材
ハイロフトは、ドレープ性に富み、嵩高保持に優れ、また弾力性にも優れています。この中綿でキルト加工するとキルト柄が美しく出来上がります。
その他の特徴では、厚みがヘタリにくい為、ボリューム感を保ちつつ保温性を長くキープする事ができます。また圧力、クリーニングによるヘタリにも従来の中綿より大幅に改善されています。
アウターウエア、ウインタースポーツなどにお勧め商品です。
提案:製品の魅力を出す工夫
特に最近のアパレル向けでは、差別化可能な高機能中綿を使用することが多いです。使用するブランド中綿には専用アテンションやタグがある場合が多く、それを付与することによって高機能商品と打ち出し、消費者にアピールする事ができます。
最も大切なことは表地との相性です。表地の風合いと中綿とのボリューム感や軽量感のバランスが、作ろうとしている企画イメージにぴったり合えば、素敵な製品に仕上げることが出来るでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
現代の化学繊維の中綿は高機能がますます進化しており、ダウンにはない特性がたくさんあることが分かっていただけたかと思います。科学的な分析に基づいて生産されているものも多く、保温性、軽量性、快適性をより追求している素材となっております。
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参考文献:
参考URL
https://www.3mcompany.jp/3M/ja_JP/thinsulate-jp/#CONTACT%20US
https://www2.teijin-frontier.com/product/category/thread/?page=2
“公開日:2024.2.13
更新日: