ブランドネームとは

ブランドネームとは

 

名称(日本語/英語)

ブランドネーム / Brand Label

カテゴリ副資材
種類大カテゴリ(ネーム

概要

ブランドネーム(日本語名・・・ブランドネーム(英語名・・・Brand Label)とは、ブランド名やブランドロゴ、サイズなどが表記されている資材です。アパレル副資材の中でも、自社の生産・販売・取扱い等であることを表すため、「商標資材」に分類されます。

ブランドネームは、洋服の襟元・脇腹付近・バックの内側などに縫い付けられていて、ブランドネームを取り付けることで、製品にそのブランドとしての価値を与えることができます。ブランドネームは特に、副資材の中でも「ブランドの顔」として重要視されており、どこのブランドの製品なのかを分かりやすくするための役割だけでなく、ブランドネームの美しさが製品自体の価値を上げることもあります。

用途

衣類

襟元、脇腹付近

小物

バッグやポーチの内側

魅力

まさにブランドの顔!ブランドの価値をネームで表現できる

ブランドネームは、ボタンやファスナーとは違い、ほとんど全ての製品に付ける資材です。

副資材がほとんどつかないTシャツやニットでも、大体の製品にはブランドネームが付いています。ブランドネームは内側に取り付けることがほとんどなので、表から見えることはあまりありません。しかし、高級ダウンブランドなどは、ブランドネームにもこだわりを持って作っていることが多く、まさに「ブランドの顔」となる重要な資材のひとつと捉えています。ブランドネームのデザインや色遣いが製品自体の魅力を左右することもあります。

バリエーションが豊富

ブランドネームのもう一つの魅力は、バリエーションが豊富な点です。ブランドネームには、織りでデザインを表現するタイプや、プリントで表現するタイプなど数種類の製造方法があり、お好みのデザインを取り入れることができて自由度が高いことも魅力です。基本的にはどの製品にも使用される資材ですので、デザインや製法にこだわった1点を作ることができる、というのは、どの製品にもそのこだわりを取り入れることができるということであり、大きな魅力となっています。

代表的なブランドネームの種類

代表的なブランドネームの種類(手法ごと)を紹介させていただきます。

ブランドネームは大きく分けると4種類

  1. 織ネーム
  2. プリントネーム
  3. 転写プリントネーム
  4. タグレスプリントネーム

それぞれの特徴について解説していきます。

1.織ネーム

織ネームの画像
織ネーム

織ネームとは、ベースとなる生地自体を織りながら作成し、「織り」でブランド名やロゴを表現していく手法で作成したネームです。織り方が数種類あり、デザインや表現したい色によって、選定していく必要があります。織りの種類によっては、表現したい色がうまく出なかったり、デザインの細かい表現ができなかったりすることがあるため、注意が必要です。織りネームはプリントネームと比較して作成に手間がかかりますが、その分耐久性にも優れ、織りでロゴを表現することで高級感もあり、ネームとしてはプリントネームより人気が高いです。

 2.プリントネーム

プリントネームの画像
プリントネーム

プリントネームとは、ベースとなる生地(テープなど)にブランド名やロゴを印刷する手法で作成したネームです。既存のテープをベースとして、プリント後にレーザーカット等で処理をして作成することが多いです。印刷方法が数種類あり、デザインや表現したい色によって、選定していく必要があります。織ネームと比較すると印刷が薄れるなどの経年変化の恐れがあるため注意が必要ですが、ベースのテープの価格にもよりますが、比較的安価に作成できるところがメリットです。

 3.転写プリントネーム

転写プリントネームの画像
転写プリントネーム

転写プリントネームとは、ブランド名やロゴなどのデザインが予めプリントされたPETフィルムを生地にのせ、熱を加えながらプレスすることで生地に転写させる手法で作成したネームです。縫い付けるタイプの織ネーム・プリントネームと違い、生地に直接貼り付けるため、着用時に違和感を与えにくいことが特徴です。見た目は直接プリントしたようになりますが、プレス機さえあれば加工できるので、縫製工場においては加工が簡単です。転写する際の接着条件が決まっており、使用するためには、プレス機が必要です。

 4.タグレスプリントネーム

タグレスプリントネームの画像
タグレスプリントネーム

タグレスプリントネームとは、PAD印刷機を使って生地や製品に直接プリントをする手法で作成したネーム(プリント)です。見た目は転写ネームと似ていて、同じく着用時に違和感を与えにくいことが特徴ですが、PETフィルムやリケイ紙などの廃棄物を使用しないため、環境にやさしいと言われており注目されています。印刷機の導入など初期費用が掛かりますが、一度導入すると他のブランドネームよりもコストが安いことも特徴です。

代表的なブランドネーム メーカー

ブランドネームの代表的な資材メーカは以下

  • テンタック株式会社
  • ナクシス株式会社
  • 東京吉岡株式会社

テンタック株式会社

テンタック㈱トップページ画像
※画像:テンタック㈱TOPページより

 

メーカー名

テンタック株式会社

URLhttps://www.tentac.co.jp/

テンタックは、ブランドネーム、下札、品質表示、パッケージ等 商標資材全般を取り扱っている会社です。素材の凹凸にかかわらず、細部にわたるシャープな表現を可能としたプリントネームを得意としています。最近はRFIDの導入を積極的に行っています。貧困問題と環境問題をビジネスの観点から解決しようとする試みである「フェアトレード」にも参画しており、社会的・経済的に弱い立場の人々の自立支援、環境保護に繋げています。

ナクシス株式会社

ナクシス㈱トップページ画像
※画像:ナクシス㈱TOPページより

メーカー名

ナクシス株式会社

URLhttps://naxis.net/

ナクシスは、織ネーム、プリントネーム、タグ、パッケージ、ケアラベル、転写マークなどを企画製造販売している会社です。様々なブランドイメージに対応できる、アイデアと開発力を生かした提案を得意としています。ナクシスもRFIDに力を入れている一社です。

 

東京吉岡株式会社

東京吉岡㈱トップページ画像
※画像:東京吉岡㈱TOPページより

メーカー名

東京吉岡株式会社

URLhttps://www.tokyo-yoshioka.co.jp/

東京吉岡は、織ネーム、プリントネーム、タグ・フラッシャー、ワッペン、転写シートなどを取り扱っている会社です。近年の多様化したアパレルブランドにも対応できるよう、素材・形状・技法など多角的に取り組んでいます。

 

ネームメーカーは扱い商品が多岐に渡るため、自社で製造しているものもありますが、協力工場に作成を依頼しているものもあります。ネームメーカーでなく、副資材卸でもネーム類を扱っています。副資材卸に頼むことで、他の資材とまとめて発注することができるので、生産管理の手間が省けます。

取り扱い上の注意点

手配間違い・縫製間違いに注意

ブランドによっては、企画の種類によって複数のブランドネームを使い分けることがあります。また、製品のどこに取り付けるかによって、仕上げ(二つ折り・ブックホールドなど)が異なります。そのため、ブランドネームの手配間違い・縫製間違いには注意が必要です。ブランドネームの付ける位置や仕上げを間違えてしまうと、ブランドロゴが逆さになった状態で製品に付いてしまうこともあります。

ブランドネームの選定ポイント

使うブランドネームの種類を選定する方法としては、《デザイン》《質感》《肌当たりの良さ》があります。

3つの基本的な選定ポイント

  1. デザイン(表現したいデザインと手法が合っているか)
  2. 質感(凹凸のある/さらっとした質感など)
  3. 肌当たりの良さ(ネームの付け位置と肌当たり)

選定ポイント1.デザイン
ブランドネームのデザインの細かさ・色遣いによって選定

同じデザインでも、ネームの種類によって見え方が変わってきます。例えば、とても細かい柄を白と黒など対照的な色遣いで表現したい場合は、プリントネームや転写プリントネームがおすすめです。織ネームは織りでデザインを表現するため、経糸の色の影響を受けて求めている色が表現できないことがあります。織ネームはプリントネームや転写マークより細かなデザインを表現しづらいですが、高密度織りの技術の発達により織り方によっては細かな部分まで表現できるようになりました。サンプルを作成して確認をするようにしてください。

高密度の織ネームの画像
高密度の織ネーム
  • とても細かい柄を対照的な色遣いで表現したい場合
    ⇒プリントネーム/転写プリントネームがおすすめ
     ※織ネームは経糸の色の影響で求めている色が表現できないことがある。

選定ポイント2.質感
ブランドの高級感をブランドネームにも反映

ネームの種類によって、質感が大きく異なります。織ネームは織り方にもよりますが、プリントネームに比べて厚みがあり、デザインの部分に小さな凹凸が出ます。これが織りならではの手触りで、高級感があります。ブランドネームにブランドとしての価値や高級感を与えたい場合は、織りネームを使うことをおすすめします。

選定ポイント3.肌当たりの良さ
直接肌に触れる位置に取り付ける場合は、肌当たりに注意

ブランドネームは内側に取り付けることが多く、肌に直接触れる可能性があるため、肌当たりの良さも選定の重要なポイントになります。最も肌当たりの良い種類だと、タグレスプリントネームや転写プリントネームがおすすめです。また、織ネーム・プリントネームの場合でも、織り方を工夫したり(ネーム端に耳を付ける等)、柔らかい素材の生地やテープを選んでプリントしたりすることで、肌当たりを改善することができます。

  • 肌当たりの良い種類
    ⇒タグレスプリントネーム/転写プリントネーム
  • 工夫が必要な種類
    ⇒織ネーム/プリントネーム

資材発注時の注意とポイント

織ネーム、プリントネームの仕上げに注意

織ネームとプリントネームは、製品に取り付ける際に、製品のどこに縫製するかによって、仕上げが異なります。仕上げの種類としては、エンドホールド、ブックホールド、センターホールド、マイターホールドなどがあります。仕上げの指定も、発注の際に記載いただく必要があります。仕上げ方法の指定を間違えてしまうと、縫製する場所によっては逆さに付いてしまったり、ネームの端始末部分が見えてしまったりするのでご注意ください。

ネーム 仕上げ加工の種類の画像
ネーム 仕上げ加工の種類

織ネームは、色指定に注意

織ネームは経糸に緯糸を製織していきます。基本的に経糸は一色となるため、織ネーム全体が経糸の色の影響を受けます。そのため、発注の際に選んだ糸見本の色の通りにできあがらないことがあります。織り方によっても色の見え方が異なるため、発注先とよく打ち合わせを行い、量産の前にサンプルを作成して、どのような色になるのかを確認してください。基本的に経糸には白と黒があり、経糸の違いによる緯糸の見え方を掲載したサンプル帳もあります。

白い経糸と黒い経糸の比較画像(緯糸は同じ色)
白い経糸と黒い経糸の比較(緯糸は同じ色)

プリントネームは、土台の生地(テープ)選びに注意

プリントネームを発注する際、ネームの土台となる生地は、既成のテープから選ぶことが多いです。そのため、土台となるテープとプリントするインクとの相性が重要となります。相性が悪いとプリントが剥離してしまうことがあるので、事前に確認が必要です。また、杉綾テープのようにざっくりとした柄のテープに小さい文字をプリントすると、凹凸面に綺麗にインクがのらず、文字がつぶれてしまうことがあります。そしてテープの織り方だけでなく、素材にも注意が必要です。撚りが少なく、毛羽立っている綿のテープを使用すると、インクが綺麗にのらないことがあります。テープを選定する際は発注先と相談の上、サンプルを作成してから量産の発注をするようにしてください。

ネームの土台に使われるポリエステルグログランテープの画像
ネームの土台に使われるポリエステルグログランテープ
グログランテープのプリントネームの画像
グログランテープのプリントネーム

また、濃色のテープをベースにする場合、テープ自体の染色堅牢度に注意が必要です。テープ自体の染色堅牢度が悪いと、ネームが接している部分(アウターの場合は、内側に着ているシャツ等)に移染する可能性があります。テープメーカーもしくは、ネーム発注先に試験データを確認して選定するようにしてください。

プリントネームをカットする場合は、肌当たりに注意

土台となる生地(テープ)をヒートカットや高周波でカットする際、カットしたテープ端が少し硬くなります。素肌に触れる製品の場合は、テープ端が肌に当たらないような仕上げ加工をするなど、工夫が必要です。

転写プリントネームは、接着する生地との相性に注意

転写プリントネームは、生地に直接圧着させるため生地との相性が重要となります。生地との相性が悪いと、接着強度不足による剥離が起きたり、生地の色を転写したネームが吸ってしまう昇華がおこったり、ネームが変色してしまうことがあったりします。これも発注先と十分打ち合わせを行い、進めるようにしてください。

転写ネーム
転写ネーム

加工・縫製工場へデリバリーする際のポイント

縫製工場へデリバリーする際のポイントは2つ

  1. 海外輸送時の高温に注意

  2. 転写ネームは、転写アタリに注意

以下それぞれのポイントの詳細です。

ポイント1.海外輸送時の高温に注意

海外で縫製をする際は、プリントネームのプリントの移りに注意が必要です。東南アジアで縫製し、コンテナ船で輸送する場合、赤道近くの高温地域を通過します。その際、コンテナの中がプリントネームを作成するときの温度と同じくらい高温になり、剥離することがあります。また、同じように転写プリントネームも高温状態には注意が必要です。転写ネームを生地に圧着するために付いている樹脂が輸送中の高温状態原因で溶けてしまうと、袋や箱にくっついてしまう恐れがあります。転写ネームを輸送する際は、納品時に1枚1枚の裏側に貼られているリケイ紙を剥がさずに、そのまま出荷するようにしてください。

ポイント2.転写ネームは、転写アタリに注意

転写ネームを圧着させるときは、アタリに注意が必要です。転写ネームはPETフィルムにくっついている状態になっており、PETフィルムごと熱を掛けてプレスし、生地に転写ネームだけを圧着させます。そのため、圧着させた際にPETフィルムがある部分と無い部分では、生地にかかる圧力や熱が異なり、その影響でPETフィルムの形に生地が変色してしまったり、跡がついてしまったりすることがあります。(これを”アタリ”と呼びます。)アタリを防ぐための方法としては、圧着の際に土台となるシリコン台を転写マークと同じ形のものに変え、PETフィルム部分に圧力がかからないようにします。また、大きいシリコン台の下に小さいシリコン台を置くことで、なだらかな形の土台をつくり、圧力を分散させる方法もあります。

 小売の際の注意とポイント

販売スタッフ・消費者等に必要なアナウンス

ブランドネームの使い方により消費者の手元に届いた後にトラブルになるというケースがあります。ブランド価値を下げてしまわないよう以下のケースに注意し、取扱の注意点を下札に記入するなどの対策を取ってください。

主な《消費者》へのアナウンス

織ネームやプリントネームを両端のみを縫い合わせたり、角4点のみを縫って固定したりすることがあります。その場合、ネーム部分に指などが引っ掛かりやすく、引っ掛けると生地が切れたりネームが破損したりする恐れがあります。また、ネーム部分には直接アイロンをかけないようにしてください。特に転写ネームの場合は、剥離、位置ずれの原因となります。アテンションネームなどで注意を促すようにしてください。

おすすめ資材

サスティナブルなネーム

リサイクルPETネーム

ペットボトルをリサイクルして作られた、織りネームとプリントネームです。リサイクルPETを使用することで石油資源利用の節約に加え、二酸化炭素の排出量を抑えられます。そのため、環境にやさしいネームと言われています。

リサイクルPETネームの画像
リサイクルPETネーム

オーガニックコットンのプリントネーム

オーガニックコットンのテープにプリントを施したブランドネームです。オーガニックコットンとは、認証機関に認められた農地で、栽培に使われる農薬・肥料の厳格な基準を守って育てられた綿花のことです。オーガニックコットンの認証は厳しく、その農地はオーガニック農産物等の生産方法の基準に従って、2 ~ 3 年以上のオーガニック農産物等の生産の実践を経て、ようやく認められます。農薬を使っていないため環境や肌にやさしく、また労働の安全や児童労働などの社会的規範についても基準があるため、人にもやさしい製品となっています。
(参照:NPO法人 日本オーガニックコットン協会「オーガニックコットンとは」

オーガニックコットンのネームの画像
オーガニックコットンのネーム

超高密度レピア織りネーム

高級感のある織りネームのなかでも特におすすめしたいのが、「超高密度レピア織りネーム」です。高密度なので、離れてみるとプリントしているように見えるほど、細かい部分まで表現できます。他の織り方と比べると値段は高くなりますが、ブランド価値を最大限に引き出したブランドネームを作りたい!という場合に、おすすめしたいネームです。

高密度レピア織ネームの画像
高密度レピア織ネーム

まとめ

ブランドネームはブランドの顔!こだわりのブランドネームでよりよい製品作りを

ブランドネームは内側に取り付けられていることが多く目立たない副資材です。しかし、ブランドネームの美しさが購入の決めてのひとつになるほど重要な資材です。こだわりのブランドネームを使うことで製品としての価値を上げて、より良い服作りに活かしてください。